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序盤は苦戦した『六本木クラス』の視聴率が右肩上がりな理由とは?役者の「表情対決」が楽しすぎる

泥臭い「宮部新」は男として魅力的

竹内は、本来持つキラキラでさわやかなトレンド感、「竹内涼真感」を見事に消し去り、武骨で泥臭い「宮部新」を好演しています。

『六本木クラス』場面写真
(C)テレビ朝日
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なによりこの宮部新というキャラクターに包容力があり、男として、先輩として、友人として、上司として魅力的。頑固なわりには年下の意見に耳を傾ける柔軟性があり、信じた相手には無防備で、「信念と気合、それが俺の生き方なんで」なんてサラッと言ってしまうところも素敵です。

平手友梨奈の圧倒的な存在感

韓国版ではキム・ダミが演じたヒロイン役で、新をまっすぐに愛するヒロイン・麻宮葵を演じる平手友梨奈は、最初は演技があまりに尖りすぎていてムズムズしていたのですが、次第にソシオパスなキャラクターにゾクゾクする面白さがやみつきになりました。

『六本木クラス』場面写真
(C)テレビ朝日
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第8話では、物語の要となる葵と龍河の対峙シーンが大きな話題になりました。葵が「死ぬほど愛している」社長のために、長屋ホールディングスの出来の悪い跡取り息子・龍河を手玉に取るのですが、軽いノリで龍河の調子に合わせているところから一転、本気で怒りを感じ、表情がどんどん”激情”を帯びていくさまは圧巻でした。平手と早乙女太一の呼吸がぴたりと合い、殺気を帯びた表情のぶつかり合い、激しいセリフの掛け合いは間違いなく本作の見どころです。

早乙女太一のゲスっぷりがいい!

ドラマ『半沢直樹』(TBS系)の大和田常務を彷彿とさせる、クセの強い長屋会長を演じる香川の怪演ももちろん見応えがありますが、私は今回、会長の息子・龍河を演じる早乙女に注目して、毎回「バカ息子ぶり」を楽しんでいます。

『六本木クラス』場面写真
(C)テレビ朝日
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チンピラでゲスの極みが板についていて実に素晴らしいのです。ところが長屋会長の取ったある行動により、一瞬ですべてを悟って腹をくくったときの無言の表情は、それまでのバカ息子の影はまったくない別人の顔。深く心に響くシーンでした。