健康・医療

誰もがやりがちな “間違ったダイエット習慣”について1年で24kg減量した専門家が解説

サラダを食べる女性
誰もがやりがちな ”間違ったダイエット習慣”とは?(Ph/イメージマート)
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長年ダイエットをしているのに、体重はいっこうに減らない……そんなかたも多いはず。それは、そのダイエットのための習慣が、逆効果だからかもしれないと専門家は指摘します。今回は、体重78kgから1年間で24kgのダイエットに成功し、その後トータルダイエットカウンセラーとして活動、今はヘルスフードサイエンス研究家の大西ひとみさんに、ダイエッターがやりがちな“間違ったダイエット習慣“について教えてもらいます。

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逆に太る選択となってる?痩せたいときにやりがちな習慣

短期決戦の極端な食事制限ダイエットは身体によくないし、リバウンドしてしまうことはダイエットをたくさん経験してきたかたならきっと気づいていると思います。そんな経験のある人はきっと自分なりのダイエットルールを作って継続する努力をしていると思いますが、なかなか効果が出ないと悩んでいませんか?

24㎏減量に成功した大西ひとみさん
24kg減量に成功した大西ひとみさんのビフォーアフター
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それは、痩せると思って実践していることが、逆に太る選択となってしまっているからかもしれません。今回は私自身の過去の失敗や私が過去にみてきた生徒さんから学んだ“痩せたいときにやりがちな間違った習慣”ご紹介したいと思います。

【間違った習慣1】「健康的なもの」を食べ過ぎる

身体によいものはたくさんありますが、いくら身体によいものでも食べすぎると理想の体型には近づけません。スムージー、ナッツ、果物は適量であればダイエットにも健康にも効果的かもしれませんが、これらは摂取しすぎると太る原因になる典型的なヘルシフードと言えると思います。

【1】スムージーには、注意が必要!?

スムージーは一時期とてもブームになった飲み物ですね。野菜や果物が入っていて食物繊維やビタミンがたっぷり摂取できるという理由で注目されました。多くの場合、野菜に加えて果物を入れて作ります。確かに多くのビタミンや食物繊維が摂取できますが、果物が粉砕された状態ではいっているので、必然的に“そのもの”を食べるより摂取量が増え、カロリーが高くなりがちです。

また、これらは液体なので消化が早くなり、お腹が空きやすくなってしまうこともしっかり覚えておく必要があります。

スムージー
カロリーが高くなりがちなスムージー(Ph/イメージマート)
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食物繊維やビタミンの効果は得られてもカロリー摂取が高くなってしまうと、結局は思ったように体重を落とすことができないのは当然です。同じ野菜と果物を食べるなら粉砕されているものより野菜、果物そのものをそのまま食べるほうが食べすぎずに済むので、カロリーも低くなりやすいです。満足度も得られやすいので、お腹も空きにくくなります。

【2】ナッツ好きな人は、ポリポリ食べすぎに要注意!

ナッツ類も間食におすすめのおやつとして人気です。ナッツも少量であればいいのですが、手軽に食べられることからついつい食べ過ぎてしまいがち。ナッツはアーモンド10粒で約60kcal、カシューナッツ10粒で約90kcal、くるみ1かけで約20kcalもあります。1日1回数粒の間食ならさほど問題ありませんが、知らぬ間に100kcal~200kcal食べてしまっていることも。

間食におすすめだからといって食べすぎると、体重がなかなか落ちないということが私自身の経験も含め、ありがちです。

【3】“身体によい”からといって果物を大量摂取していない?

果物はビタミンや食物繊維が豊富なので“ケーキやスナック菓子を食べるよりはよいだろう”と、甘い物の代用としてダイエット中に食べる人がいると思います。果物も適量であればケーキやスナック菓子を食べるより間違いなくよいのですが、果物は果糖が多く含まれていることから血糖値をそこまで上げません。そのため、満腹中枢に刺激がいきにくく、ついつい食べ過ぎてしまうのです。

したがって果物をたくさん摂取していると、なかなか期待している体重変化が見られないという状況になってしまうのです。

【間違った習慣2】カロリーや食物繊維に囚われすぎる

野菜やこんにゃくは食物繊維が豊富でカロリーが低い上にさまざまなダイエット効果のある栄養素が含まれているケースが多いので、積極的に摂取することで体重が減りやすいと思っているかたが多いと思います。

食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、水溶性食物繊維は水に溶けて水分を抱きこんでゲル化し余分なコレステロールなどを吸着して排出する作用があり、腸内をゆっくり移動するので血糖値を上げにくいだけでなく、不溶性食物繊維に比べ、腸内で発酵して腸内細菌の餌になる効果が高いのも特徴です。水溶性食物繊維はいも類、わかめや昆布などの海藻類、大豆、大麦、ライ麦などの麦類などに多く含まれています。

大麦、ライ麦
大麦、ライ麦には水溶性食物繊維が多く含まれる(Ph/イメージマート)
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一方、不溶性食物繊維は水に溶けず水分を吸収して膨れ、腸壁を刺激してぜん道運動(主に腸の内容物を移動させる働き)を促す作用があります。不溶性食物繊維は大豆、ごぼう、きのこ、穀類などに多く含まれています。

不溶性食物繊維に偏りすぎてしまうと、便秘を引き起こす原因に

同じ食物繊維でも不溶性食物繊維に偏りすぎてしまうと、便秘を引き起こす原因になります。特に低カロリーでダイエットに活用する人が多いこんにゃくは要注意。こんにゃくの主成分は水分を除くとグルコマンナンという水溶性食物繊維です。しかし、市販の多くのこんにゃくは製造過程において凝固剤の水酸化カルシウムが使われて作られているため、水溶性から不溶性に変わってしまっています。

麺類の代わりにこんにゃくをたくさん食べてダイエットをした経験などある人は、便秘に悩まされ体重が減らずお腹が苦しい思いをした経験がある人もいると思います。

私もまだ何も知識がなかった時代に単にカロリーが低いからと言う理由でこんにゃくダイエットを実践したことがあり、ものひどい便秘に悩まされて結局体重が思ったように落ちずに断念してしまったことがあります。

便が排出されずに腸内に留まっていると、水分と一緒に体内へ再吸収され、皮下脂肪として蓄えられてしまうだけでなく代謝機能も低下すると考えられているので注意が必要です。

便秘ぎみな女性
便秘ぎみだと代謝機能も低下(Ph/イメージマート)
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食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく摂取してこそ効果があります。カロリーが低いことや食物繊維だけに囚われてしまうと、努力してもなかなか努力が報われない結果を招いてしまう可能性があります。

【間違った習慣3】自分の体型への理想が高すぎる

私がトータルダイエットカウンセラーとして活動した経験から感じることは、多くの女性が体型の理想が高すぎることです。理想が高すぎると、無理なダイエットを選択してしまい、結果として太りやすい体型を自ら作ってしまうケースが多くみられます。

いつもきれいでいたいと思う気持ちや行動、努力はとても大切ですが、その一方で自分の体質や変えられないライフスタイルを受け入れ自分らしくきれいでポジティブでいることを忘れてはいけないと思います。自分自身の体型を受け入れられると心が楽になり中からの魅力が出てくることで女性としてより輝けると思います。

これは私が出版した全ての本で伝えていることですが、私自身も決して人がうらやむ体型をしているとは思っていません。私は長い間、理想と現実の体型に葛藤した末にようやく自分の体型を受け入れられた時期がありますが、そのころと比べ今は自分に自信が持てるようになりました。自信は人としての魅力の一つになると思います。

モデルさんのような体型だけが女性としての「美」ではないことを忘れないでほしいです。

意外にやりがちな “間違ったダイエット習慣”、いかがでしたでしょうか。ぜひなにかひとつでも参考にして、少しでも努力が結果につながるダイエットを実践してもらえたらと思います。

◆教えてくれたのは:ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん

ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん
ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん
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9年間、米ロサンゼルスでパーソナルトレーナーとして活動後帰国。トータルダイエットカウンセラーとして7冊の本を出版、ダイエット商品・食品の商品開発の監修などをはじめさまざまなメディアで活動。2017年に自身のギルトフリースイーツブランド「h+diet(エイチプラスダイエット)」(https://h-plusdiet.com/)を立ち上げ、現在は東京・武蔵小山で『h+diet laboratory』をオープン。野菜を使い、甘味料・人工甘味料不使用、グルテンフリーの「栄養学から考えるオーガニックスイーツ」を販売、他社の商品監修などに携わるなどヘルスフードサイエンス研究家としても活動。

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