「自己受容」と正比例する「他者受容」
面白いことに、自己受容ができるようになると次第に自己肯定感も上がってきます。また、他人に対して優しさを持てるようになります。自分を受け入れることができると、それに比例して他人を受け入れられるようになります。自己受容と他者受容は正比例するのです。
さらに、自分をあるがままに受け入れるようになると、自分と他人を比べなくなります。自己受容ができていれば、なにがしかの優越感によって自分を保つ必要もありませんから、人と比べて勝ち負けを考えることから解放されるのです。
私たち人間は不完全で弱い存在です。その不完全さや弱さを見て見ないふりをしていると、それが心の奥底に抑圧されて、不安となって私たちを苦しめます。
不完全で弱い自分をしっかり直視し、それも含めた自分の存在そのものを受け入れるとき、地に足がつき、心が安定します。そして、次第に力が湧きおこり、自然に向上心が育つのです。
どんな生き方をしようが、どんな仕事をしていようが、あなたがあなたであること。それをいつも心で抱きしめてあげられること。そこからすべてが始まるのです。
◆教えてくれたのは:心理カウンセラー・野口嘉則さん
15歳から対人恐怖症に悩むが、19歳のときに心理学に出合い、これを実践することで克服する。その後、リクルート入社を経て、1999年に心理カウンセラーとして開業。主な著書に、ミリオンセラーとなった『鏡の法則』(総合法令出版)、『3つの真実』(サンマーク出版)などがあり、最新刊『自分を好きになれない君へ』(小学館)が話題に。