野菜を食べるのはダイエットに効果的?
――残さない工夫をすれば「もったいない」の感覚が軽減されるということですね。ではダイエット中、野菜ばかり食すると、どういうことになりますか。
岸村:野菜はカロリーが低いので、とり続けると痩せることが可能です。でも野菜だけしか食べない人はたんぱく質が不足するので、結果的に筋肉の量が減ったり、ホルモンが影響を受けたり、しわになりやすくなったり、骨がもろくなったりします。
野菜を意識するのは大切ですが、たんぱく質も積極的に摂りましょう。一時的にリセットしたいときには野菜だけでもいいですが、長期的に続けるときには、ぜひたんぱく質も意識してもらいたいすね。
――「野菜だけ」は間違ったダイエット法ですね。では流行りの糖質制限がいかがでしょうか?
岸村:糖質制限は、短期間で結果を出しやすい方法です。その反面、リバウンドもしやすい方法とも言えます。私も以前、糖質制限にはまり、野菜に含まれる糖質が気になってあまり食べなかったり、白米もとらないなど、ことごとく糖質を抑えていたら、一時的に体重が減りましたが、そのあとが横ばい。一向に下がりませんでした。
糖質制限でリバウンドする理由は、糖質を摂らなさすぎの反動です。他の食欲スイッチが入りやすくなって、つい食べ過ぎてしまうからです。
糖質制限だけで痩せるのは難しいので、適量の糖質をたんぱく質と一緒に摂ったり、食物繊維が多い大麦ごはんや玄米をとるのがおすすめです。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の特長を持つ「レジスタントスターチ」が生成される冷やご飯などもいいでしょう。これらは腸の奥まで届き、腸の中で発酵することで腸内環境を改善し、血糖値をコントロールしたり、免疫機能を活性化させる働きが期待できます。
ラーメン、パスタの“太らない食べ方”のコツ
――高カロリーのラーメンはいかがでしょうか?
岸村:同じラーメンでも、一般的なしょうゆラーメンはとんこつラーメンに比べて脂質が少ないため、とんこつラーメンよりカロリーが低い傾向があります。最近は「麺少なめ」を注文できるお店も増えたので、ぜひ活用してみましょう。
また、ラーメンは汁もおいしいので、つい全部飲み干してしまいたくなりますが、腹八分目の目安で汁を残すことで、塩分も約半分以下にカットできます。
バランスを整える食べ方はしょうゆラーメンにメンマや卵、ねぎなどをトッピングしましょう。メンマや卵から先に食べることで、血糖値が急激に上がるのを防止することができます。それから高カロリーのラーメンは夜よりも昼間に食べることをおすすめします。
自宅でラーメンを作る場合は、麺を少なめにして具沢山にしましょう。麺を春雨に置き換えるとヘルシーで低カロリーとなります。
――パスタ好きの女性は多いと思います。太らないおすすめの食べ方を教えてください。
岸村:量に注意することですね。パスタは量次第で、白米よりも高カロリーになりがち。一般的な量のパスタだと約400~500kcal、大盛は800kcalを超えることもあります。
また、パスタソースや具材によってもカロリーが異なります。トマトソースやシーフードを使用したパスタのほうが、ベーコンやバターなどを使用したパスタよりもカロリーが低いです。また、チーズを大量に使用したパスタも高カロリーになりがち。パスタも選び方次第です。パスタランチのように、サラダやスープなどでお腹を満たしてからパスタを食べると、少量でも満足感を得ることができますよ。
◆教えてくれたのは:管理栄養士・岸村康代さん
管理栄養士。野菜ソムリエ上級プロ。一般社団法人「大人のダイエット研究所」代表理事。1万人以上の食べ方の指導をもとに、不健康な食事を改善させてきた食べ方の専門家。ダイエット指導では2000人以上を成功に導き、落とした脂肪は合計10トンを超える。ダイエット失敗経験を経て、論文や研究データや専門書を読破し、医療現場での臨床経験も活かして食について学び直し、自身も15kgの減量に成功。『あさイチ』(NHK)、『ヒルナンデス!』(日本テレビ)など、メディア出演も多い。http://www.power-food.jp/
取材・文/夏目かをる