面接では自分が選ぶ目線も必要、企業との相性を確認すべし
面接では、相手の質問や話しぶりから企業の文化や社風を感じ取り、相性を確認することも大切です。求めるスキルがあるかどうかを判断するための質問を、いろんな角度から投げかけてくる会社は信用できますね。大事なことなので、深く追及してもらって全然構わない。こちらも全力で答えます。
一方、面接を受けたなかで1社だけ、私から日をおかずにお断りした会社があります。面接官の方が、私から質問したわけでもないのに「うちは65歳定年なんですよ」とおっしゃって。「健康上の問題はありませんか?」とも質問なさったので、年齢差別のニュアンスを感じました。別の方が「定年を70歳に延長する制度を、会社として導入する方向で検討しているところです」と補足してくださいましたが、一度ネガティブな印象を持ってしまうと難しいです。
「失礼だなと感じたら断るべき」
私が63歳で、年齢差別を受けて嫌な気持ちになったという正直な心の動きは否定しませんが、感情の問題とは別に、先入観や偏見を隠さないスタッフが面接官を務める会社だというのも、やっぱり気になるところでした。
ざっくりした言い方になりますが、失礼だなと感じる会社は断るべきです。採用市場の在り方が変わっているのに気が付かず、いつまでも「雇ってやるかどうかこっちで決める」とふんぞり返っている会社は先が心配です。
また、応募者もその会社が手掛けているBtoCやBtoBtoCのビジネスのお客さまであるか、今後そうなる可能性があるのに、そうした想像ができていないのもどうだろうと思います。
面接はどちらの立場が上で、どちらが下というものではありません。マッチングの場です。こちらが偉そうにするのはおかしいですが、変にへりくだったり我慢したりする必要はありません。仕事をする場を選ぶのですから、あくまで合理的にいきたいですね。
◆薄井シンシアさん
1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia
撮影/黒石あみ 構成/赤坂麻実
●薄井シンシアさん63歳、外資系大手企業に転職「異業種への転職は簡単ではないが無理ではありません」と語る理由