
スマートフォン(以下、スマホ)と連携した「スマート家電」が身近になってきている今。スマホをリモコン代わりにして家電を遠隔操作できるだけではなく、スマホで操作しなくても家に近づくとエアコンが起動するなど、スマート家電は大きな進化を遂げています。家電ライターの田中真紀子さんに最新事情を教えてもらいました。
気づけば身の回りのあらゆる製品がスマート家電化
実は、身の回りにあるさまざまな家電がスマート家電化しているそうです。エアコンから調理家電、ロボット掃除機、洗濯機、照明まで…
「スマート家電は、10年ほど前から徐々に登場し、その数も非常に多くなっています。
代表的なのがエアコン。上位モデルに搭載されている機能として、消し忘れたときに外出先からオフにできるほか、室内の温度を確認する、帰宅前にオンにして帰宅時に快適な室温にしておく、さらには空気清浄機と連携して室内の空気の状態をチェックできるモデルもあります。
調理家電では、スマホでメニューの閲覧や料理検索をして、選んだメニューを本体に送信すると、調理時に必要な加熱の設定ができるものもあります。また掃除機でいえば、高機能なロボット掃除機は、スマホ連携が前提になっているものも珍しくありません。ほか、外出先から洗濯スタートなどの操作ができる洗濯機、点灯のオン・オフができる照明も増えています」(田中さん・以下同)
電気代や食品のムダを減らせるメリットも
最近では、単なる電源オン・オフだけでなく、次のような使い方も可能に。

「中でもスマート化と相性がいいエアコンは、さらなる進化を遂げています。例えば近年のモデルでは、自宅から離れるとエアコンをオフにする、近づくとオンにする、といった通知が出るものもあり、電気代のムダを減らしながら快適さも享受できます。
またドラム式洗濯乾燥機は、乾燥後はシワ軽減などのためにもすぐに洗濯物を出さないといけないため、帰宅時間から逆算して運転をスタートさせたり、予約を変更できたりするものも。冷蔵庫に関しては、庫内に搭載したカメラで扉を開けるたびに庫内の撮影ができ、外出先からアプリで在庫がチェックできるものも登場。今後どのようにフードロス問題を解決するか注目しています」
いずれもスマート家電ならではのメリットですが、一方でこんな注意点も。
「セキュリティー面でいえば、ロボット掃除機や上記の冷蔵庫はカメラを搭載しているため、情報漏洩のリスクはゼロでありません。メーカーとしては対策を強化していますが、流出が絶対ないとはいえないので、不安な人は慎重に検討を」
購入後すぐに設定でき、操作のしやすさも容易に
当然ながら、スマート家電のメリットを享受するには、初期設定は避けて通れません。特にスマホ操作が苦手な人にとって、この第一歩にハードルを感じる人もいるでしょう。ただし、田中さんは「初期設定は以前に比べてだいぶハードルが下がってきています」と言います。
「当初は、Wi-Fiをつなぐ機器を別途用意する必要があるものもありましたが、近年はほとんどがWi-Fi機能を内蔵しているため、購入してすぐに設定が可能です。
その設定も、従来のように工程が複雑ではなく、例えばQRコードでアプリを読み込んだのち、スマホの画面上に出る指示に従って操作していけば設定が完了するものが増えています。基本操作自体は、おそらく高齢者でも使いやすいでしょう。
ただ、できる操作が多い分、人によってはかえって複雑に見え、全機能を使いこなすのは課題かもしれません」
さて、田中さんが選ぶ最先端のスマート家電とは? 以下の2点に注目です!
【1】パナソニック『自動計量IH炊飯器 SR-AX1』

こちらは業界初となる、米と水の計量から炊飯までをアプリ上で遠隔操作できる炊飯器。
遠隔操作で無洗米の自動計量と炊飯が可能

「現在、先行体験製品のみの提供(募集受付は終了)ですが、今後実用化が楽しみな炊飯器です。あらかじめ米タンクに無洗米を、水タンクに水をセットしておけば、アプリから指定した量の米と水を自動で計量し、炊飯してくれます。外出先から遠隔操作ができるので、帰宅時間に炊きあがるよう設定することも可能。自宅で炊飯予約をしそびれて外出したときでも、スマホ操作によって帰宅後すぐに炊き立てが食べられるのは画期的です」
【2】issin『スマートバスマット』

こちらは一見、無地のシンプルなバスマット。でも実は体重を自動的に記録してくれる体重計なんです。
バスマットで足を拭くだけで体重やBMIを自動計測


「体重計の上に珪藻土のバスマットを乗せており、足を拭くだけで自動的に体重が測れます。体重はその場では表示されず、アプリに転送され、日々の体重の増減やBMIの変化が自動的に記録されます。毎日体重を測るのが面倒くさい、体重の増減で一喜一憂したくないという人でも、無理なく体重管理ができるのがうれしいですね。珪藻土マットはソフトタイプで、洗濯機で洗濯も可能。もちろん、洗い替え用のマットも3色、別売りしています」
いずれも、数年前には想像もできなかった機能です。今後、各分野のスマート家電がどう進化していくのか、ますます目が離せません。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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