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薄井シンシアさん流「仕事の時短術」、コミュニケーションを効率化するための質問のテクニック

相手のイメージと、こちらのイメージのギャップを減らす

宴会では、お客さまのタイミングや動線も細かく考えます。例えば、ディナーパーティーの主催者から「途中でゲストにお土産を渡したい」と頼まれたとします。そういうとき、私は「わかりました」と答えず、「どのタイミングで渡しますか? お客さまが入場したときですか? 会議のときですか? 食事中ですか?」とタイミングまで確認します。

もし「食事中に配りたい」と言われたら、「食事の前ですか? 食事の途中ですか? 食後ですか?」と、さらに聞く。そうすれば、相手のイメージと、こちらのイメージのギャップが減るでしょう? そこまで聞いたら「あとは任せてください」と、こちらで段取りを考えて配ります。

ウェルカムドリンクは写真撮影の前?

イベントは、式次第も重要です。よく主催者から「パーティーの冒頭にウェルカムドリンクを配ってください」と頼まれます。でも、その後に集合写真を撮る予定が入っていたら、どうですか? ドリンクを持ったままでは撮影できませんよね。大量のグラスは、どこに置くんですか? くだけた雰囲気の写真では、ゲストが後で困る場合もありますよね。

主催者は乾杯のタイミングまで考えて発言していないんです。だから私は「その後に写真撮影が入っていますが、ドリンクを持ったまま写真撮影するんですか?」と尋ねます。

ネットワークづくりが目的の宴会は椅子を置かない

お客さまによっては「ここにバーカウンターを作ってください」と、部屋の配置まで指示する人もいます。でも私は「あなたがしたいことを全部言って、配置は私たちに任せてください。実現するのが私たちの仕事です」と思います。

例えばビュッフェの場合、人数によってビュッフェ台を1つ立てるのか、3つ立てるのかが変わってきます。もし、パーティーの目的がネットワークづくりなら、絶対に椅子は置きません。椅子を置けば、みんな座ってしまって動かないでしょう?

もし、主催者がゲストに散らばって交流してもらいたいと考えていれば、バーカウンターを複数に分けることも考えます。真ん中に一か所にまとめてしまうと、そこにしか人が集まらないでしょう? だから「会の目的は何ですか?」と、主催者のイメージを具体的に聞き取ることが大切なのです。

◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
薄井シンシアさん
写真4枚

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

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撮影/黒石あみ 構成/藤森かもめ