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薄井シンシアさん「時間の節約は頭のトレーニング」、PCのマウスを動かす距離も最短に

薄井シンシア
薄井シンシアさんが効率的に働くために心がけていることとは?
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17年間の専業主婦を経た薄井シンシアさん(64歳)が、再就職してから今年で17年。専業主婦歴と再開したキャリアの期間が同じになりました。家庭でも職場でも徹底した無駄を省くシンシアさんが、効率的に働くために心がけていることとは? 全3回にわたってご紹介する「シンシア流仕事術」の2回目は、わずかな無駄も省く理由を聞きました。

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1秒でも時間を節約するためにやり方を工夫

私は、どの職場に入っても、まずは働く人たちをよく観察して仕事の流れを覚えます。ずっと働いてきた人たちが築き上げた方法には、それなりの理由があるでしょう? その人たちがやってきた方法で仕事に慣れた頃、もっと効率的なやり方が無いかと考えて、上司に提案します。そうすれば、とんちんかんな提案にならないし、もともと働いている人たちの反発もありません。

ホテルで宿泊の営業を担当していた頃は、お客さまの住所や氏名を入力する作業がありました。そのときに私はまず、お客さまがリピーターかどうかを調べました。リピーターなら過去のデータを使えるので入力の手間を省けるでしょう?

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私は予約システムやエクセル表の入力1つとっても、時間の短縮法を探します。真っ先に使うのは、検索機能。「スミス」や「マーク」などの氏名で検索したり、住所で検索したりします。研修で異なる入力手順を教わっていても、私の見つけた手順のほうが、早く次のページへ飛べるなら、自分のやり方を通します。1秒でも時間を節約したいから、PCのマウスを動かす距離や、手の動きまで無駄のない方法を考えるんですよ。

効率化は「頭のトレーニング」

「1秒の差なんて、どうでもいい」と思われるかもしれません。確かに、時間的に見れば大した節約にはならないかもしれません。でも、「いかに効率的に働くか」を考える癖をつけることが頭のトレーニングになるんです。

専業主婦としてバンコクに住んでいたときも、時間を効率的に使うことを意識していました。あの街はひどく渋滞します。だからタクシーで出かけるときは、常に最短ルートや動線を考えました。

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私は運転をしませんが、地図を暗記して「あの道で右折できる」「車は〇〇でUターンする」と運転手さんに指示していました。常に効率的に動く癖をつけることが大事だと思います。

もちろん即決して失敗することもある

もちろん即決して失敗することもあります。例えば、ホテルの営業をしていたとき、ブランドにこだわるお客さまがいました。飲料メーカーに勤めている人から「自分の商品以外は客室に欲しくない。全部撤去してください」と言われたので、「わかりました」と請け負いました。

でも1部屋ずつ撤去するのは、想像以上に時間と人件費がかかります。追加料金を受け取らなかったのは失敗したなと思って、次からは撤去費用をいただくことにしました。

ゴルフツアーでニュージーランドから団体客が来たときも、同じような失敗がありました。お客さまから「事前にゴルフバッグを送るので、荷物を部屋に入れておいてください」と頼まれたので、私は「いいですよ」と引き受けました。

でもスタッフが部屋ごとにバッグを配達するのは時間と手間がかかります。「失敗したな」と思って、二度目からはデリバリー料金を取ることにしました。人件費は無料じゃありませんから。

◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
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1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

構成/藤森かもめ

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