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脊髄梗塞の発症から2か月という異例の早さで退院できた佐藤弘道さんが語るリハビリ体験「根気よく続けると昨日無理だったことでも今日できるようになる」 

壮絶なリハビリ体験を語る佐藤弘道さん
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 NHK『おかあさんといっしょ』の第10代「たいそうのおにいさん」として知られる佐藤弘道さん(57才)は、2024年6月に仕事で地方に向かう最中、左足に違和感を覚えた。 

「左足だけ泥沼にグンと落ちるような感じがして倒れてしまいました。その後、足がだんだん動かなくなって腰まわりを締めつけられる感覚があり、腰から下が完全に動かなくなりました」(佐藤さん・以下同) 

 出張先の病院に緊急搬送後、脊髄の血管が詰まって神経が壊死する「脊髄梗塞」の疑いがあると診断された。 

「まったく知らない病名だったのでスマホで調べると、確立された治療法がないことがわかり“これは治らない病気だ”と思った。心が折れて未来に絶望しました」 

 そのまま入院して翌日から下半身まひのリハビリを開始。最初は意欲がわかなかったが、「生きてるんでしょ? 生きてればいいじゃん」という息子の言葉に励まされた。 

 入院直後に闘病を公表して復帰を宣言したことも「もうやるしかない」と気持ちに火をつけた。 

「息子の一言で生き返り、歩きたい、家に帰りたいという一心でリハビリを始めました。でも本当にきつく、ひとつの課題をクリアして次の課題へ進むことが延々と続きました。最初は足の指先をひたすら動かし、次は右足の上げ下げ。それから理学療法士さんに支えられて平行棒に掴まり、ちょっとずつ足を前に出す練習を繰り返しました」 

 入院から3週間後に東京の病院に転院し、その後リハビリ専門病院に移った。その間のリハビリでもっともつらかったのは「すぐに成果が出ないこと」だった。 

「いまやっているトレーニングの課題がいつどのタイミングでクリアできるのかわからないのがいちばんきつかった。それでも根気よく続けるうちに昨日無理だったことが今日急にできるようになることがあり、理学療法士さんと一緒に“できた!”と声をあげました」 

リハビリをする佐藤弘道さん
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 脊髄梗塞は約6割の患者が車いすのままとされる。しかし、「帰ってきたら一緒にごちそうを食べよう」と前を向く家族とスタッフの支えもあって車いすから歩行器、一本杖と徐々に回復度が上がり、退院前には杖なしで歩けるようになった。 

 緊急入院から2か月という異例の速さで家に帰れた理由は「目の前のことに集中したから」と振り返る。 

「リハビリ中は“何でこれができないのか”という葛藤を抱えつつ、目の前の課題を一生懸命にこなすだけでした。リハビリ病院に移ってからは心が折れる暇もなく、やめたらここで止まってしまうとの思いでリハビリに集中しました」 

 現在も下半身にまひは残るが、昨年大晦日には、ももいろクローバーZ主催のイベントで得意の体操を披露した。病気やけがの種類にかかわらず、リハビリを続ける人たちに佐藤さんはこんなメッセージを送る。 

「リハビリ患者のなかにはなかなか好転しない現状に希望を失ってうつ病になるかたもいますが、いまやっていることは明日明後日ではなく半年後、1年後に成果が出るかもしれないと信じて一緒にがんばりたい。 

 ただし人によって症状やゴールが違うのでがんばりすぎず、ほどほどにすることも大事です。体のスペシャリストである作業療法士さんと理学療法士さんを信じてすべて任せて、体を動かすトレーニングを焦らずじっくりやってもらえればと思います」 

※女性セブン2026年3月26日・4月2日号 

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