《「長生き血管」「長生き血液」のつくり方》第一は生活習慣 減塩とともに重視されるのは「摂取するナトリウムとカリウムのバランス」 水分補給を意識してコーヒーを飲むのもおすすめ

24時間365日、私たちの体に酸素と栄養を絶えず届けてくれている血液と血管は「無休の臓器」。血液と血管を長持ちさせることが、健康寿命を伸ばす秘訣でもある。そのためにすべきことを専門家に取材した。【全4回の第2回。第1回から読む】
重視され始める「ナトカリ比」
長生き血管をつくるには、生活習慣が第一。高血圧予防の第一歩は、過度な塩分摂取を控えることだ。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信さんが言う。
「ナトリウム(塩分)は血液中に水分を貯留する働きがあるため、摂りすぎると血液量が増えて、血圧が上がります。また塩分で交感神経が活性化されて血管が収縮すると、血液が固まりやすくなります。そうして血栓で血管が詰まると、心筋梗塞や脳梗塞が生じます」(東丸さん)
とはいえ、徹底した減塩は食事の楽しみを奪い、一生続けることは難しい。そこで近年は、塩分の量を減らすことよりも、ナトリウムとカリウムのバランスを取ること、すなわち「ナトカリ比」が重視され始めている。循環器専門医の渡辺尚彦さんが説明する。
「カリウムは塩分の排出を助けるだけでなく、血管を拡張させる作用もあります。塩分を摂りすぎたときは、カリウムを多く含む食材を摂りましょう。いまの時期ならみかんやりんご、バナナ、いちごなどに豊富です。また、濃縮還元のレモン汁を大さじ1杯飲むのも効果的です。酸っぱすぎるなら水で薄めて、はちみつなどで甘みをつけてもいいでしょう」
長生き血管をつくるには「肉より魚」「酒よりコーヒー」
高血糖や血糖値スパイク(食後に血糖値が乱高下すること)は血管にダメージを与え、動脈硬化を招くと指摘される。糖質を摂りすぎず、早食いは避け、「ベジファースト」を意識することも重要だ。
信濃坂クリニック院長で東京医科大学名誉教授の高沢謙二さんが言う。
「先に野菜を食べることで、後から摂る脂質やコレステロール、糖の吸収を抑えられます。野菜の量は1日350g、茶碗1杯半程度をめざしましょう」
野菜の中でも、特に色の濃い野菜を多く摂取したい。抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富で、血管の老化を防ぐ働きが期待できるからだ。 池谷医院院長で循環器専門医の池谷敏郎さんが言う。
「例えば、ブロッコリーやトマトなどはポリフェノールだけでなく、同じく抗酸化作用の高いビタミンCも豊富。また緑茶に含まれるカテキンもポリフェノールの一種なので、積極的に飲むといいでしょう」(池谷さん・以下同)

主菜はできれば、肉だけでなく魚も選んでほしい。
「動物性脂肪の摂りすぎはLDLコレステロールの増加につながります。私も肉を食べるときはできるだけ脂身は取り除き、霜降りよりも赤身を選んでいます。
一方、魚に含まれるEPAやDHAといったオメガ3不飽和脂肪酸には、血管の内側の細胞を強くする働きがあることがわかっています。血管を強くしなやかに保ち、血栓を防ぎ、さらには動脈硬化の原因になる中性脂肪を減らす作用も期待されています」
ドロドロ血液や血液減少を防ぎ、血圧と血管を正常に保つためには、水分補給も欠かせない。
「毎晩、眠っている間に約200mlの水分が汗として失われるため、一日のうちで朝はもっとも脱水している状態だといわれています。朝起きたら、コップ2杯ほどの水を飲む習慣をつけてください」(渡辺さん)
水分補給を意識しつつ、朝食や休憩時間には、コーヒーを飲むのがおすすめだという。
「コーヒーには、内臓脂肪の代謝を助けるカフェインや、血糖値の上昇をおだやかにするクロロゲン酸、脂肪燃焼に役立つトリゴネリンなどが含まれ、長生き血管をつくるのに役立ちます。ただし、飲みすぎると過剰なカフェインにより心拍数が上昇して血圧が上がる可能性があるため、1日4〜5杯までにしましょう」(池谷さん)
