
「加齢とともに太りやすくやせにくい」「むくみやすくなった」「便秘がちになった」―これらすべて年齢とともに代謝が下がったことが引き起こしているのかも。健康長寿を叶えるため、私たちに生まれながらに備わっている「代謝機能」を高め、味方につけよう。
《以下の10人の医師と食の専門家に代謝を上げて若返る「最強の食品」と「究極の習慣」を最大10個挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計。10点以上の項目をランキング化した。
石原新菜さん(イシハラクリニック副院長)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、鎌田實さん(医師、作家)、斉藤雅也さん(さいとう内科クリニック院長)、佐野こころさん(医学博士)、谷本哲也さん(ナビタスクリニック川崎院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、真野わかさん(養腸家、セラピスト)、望月理恵子さん(管理栄養士)、山本佳奈さん(医療ガバナンス研究所医師)》
厳しい暑さが続いているが、たくさん汗をかけば代謝が上がって健康的…なんて思っていたら大間違い。実は、夏こそ代謝が下がる時期なのだ。さいとう内科クリニック院長の斉藤雅也さんが説明する。
「夏の汗は代謝が上がっているサインではなく、単に体温を調節し体を冷やすための生理的な反応に過ぎません。実際には、体温を上げようとする冬の方が代謝は高まるというのが医学的事実なのです」
そもそも代謝とは、体が生命を維持するために栄養をエネルギーや物質に変換する化学反応の総称で、基礎代謝と新陳代謝の大きく2つに分けられる。
「基礎代謝は生きるために必要な最低限のエネルギーを燃やす力、新陳代謝は古い細胞を新しい細胞に入れ替え若返らせる働きのことをいい、互いに密接に関係しています」(斉藤さん)
生命を維持するために欠かせない機能である代謝は、アンチエイジングにも関係しているという。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが言う。
「代謝がアップすると、全身の血流がよくなり、栄養素や酸素、水分が全身の細胞に行き渡ります。そうすることで古くなった細胞が速やかに入れ替わり、炎症を起こす老廃物を排出して乾燥肌やシミ、髪の毛のパサつきを改善してくれます。
また、脳細胞の代謝も活発になることで、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβというたんぱく質が排出され、認知機能の向上にもつながる。代謝を上げるということは老化を防止し、細胞から若返るということなのです」
さらには免疫力の向上やダイエットにも重要な役割を果たす。
「代謝が上がると体温が上がる。体温が1℃上がると免疫機能が約30%向上するとされており、感染症などへの抵抗力が高まります。さらに、エネルギー消費量が増えるため、体脂肪が燃えやすくなりダイエットにも効果的。血糖や血圧、血中脂質のコントロールも改善されます」(斉藤さん)
このように、さまざまなメリットをもたらしてくれる代謝は、年を重ねると機能が低下してしまうという。医師で作家の鎌田實さんが話す。
「加齢に伴う筋肉量の減少やホルモンの影響によって、代謝は自然に落ちていきます。加えて活動量が減っていくので、さらに代謝は下がってしまう」
しかし、「年だから」と諦めるのはもったいない。鎌田さんが続ける。
「一度代謝が落ちてしまっても、食事や生活習慣の改善によって再び代謝を上げることは充分に可能です。代謝がよくなれば、体全体の若々しさを保ってくれる。何才になっても手遅れになることはありません」
健康的で若々しい体づくりには代謝を上げることが必須。そこで専門家10人に、代謝を上げて体を若返らせる「最強の食品」と「究極の習慣」を聞いた。
食事にちょい足しして代謝アップ
専門家10人のうち8人が代謝を上げる食品だと名前を挙げたのが、1位の「納豆」だ。ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也さんが説明する。
「代謝を上げるためには、筋肉と腸が重要です。筋肉量を増やせば基礎代謝が上がり、腸内環境を整えると栄養の吸収効率が改善して、全身の代謝が向上します。その点、納豆は大豆たんぱくが筋肉を維持し、発酵成分が腸内環境を支えることで、代謝低下を防いでくれる優秀な食品です」

さらに、納豆には血管の老化を防ぐ成分も含まれている。管理栄養士の望月理恵子さんが話す。
「納豆には正常な新陳代謝を促進する『ポリアミン』という抗老化成分が豊富に含まれている。細胞の新陳代謝を促すことで、血管の老化を防ぎ、動脈硬化の予防・改善にも役立ちます」

ほかにも「みそ(8位)」や「キムチ(13位)」、「ヨーグルト(15位)」など多くの発酵食品が、「腸内環境を整えて代謝をサポートする」として名を連ねた。
2位の「さば」、3位の「鮭」は、良質なたんぱく源であると同時に、肝臓への効果が高く評価されている。
「代謝といえば筋肉が注目されがちですが、実は肝臓こそが、代謝の司令塔です。そのエネルギー消費量は筋肉とほぼ同等。つまり、肝臓を元気に保つことが全身の代謝の底上げにつながります。さばには良質な脂質であるEPA・DHAが豊富に含まれており、肝臓の脂質代謝を直接促進してくれます」(斉藤さん)
これに加えて、鮭には「細胞のさびつきを防ぎ、代謝を底上げする抗酸化作用のあるアスタキサンチンが豊富に含まれている」(医学博士の佐野こころさん)と推す声もあった。

5位の「しょうが」は、体を温める効果が評価されてランクイン。管理栄養士の中沢るみさんが言う。
「血流をよくして体温を上げ、代謝を高めます。特に加熱すると効果が高まるので、みそ汁などにちょい足しするのがおすすめです」

乾燥させた粉末のものでも効果があるので、冷房による冷えが気になる人は積極的に活用したい。

朝日を浴びてスイッチオン
食品で内側から代謝を上げると同時に、日々の習慣で代謝が高まる体をつくることも重要。専門家が選んだ代謝を上げる習慣1位は、「質のいい睡眠」だった。医療ガバナンス研究所の医師・山本佳奈さんが言う。
「睡眠不足は食欲を調整するホルモンの乱れや血糖値を下げるインスリンの効き目の低下、慢性炎症を引き起こし、代謝を低下させます。代謝機能を維持するためには質のいい睡眠が欠かせません」
年齢とともに睡眠は乱れやすい。寝苦しい夏は、特にしっかり眠ることを心がけたい。

一日の中で代謝にいちばん重要なのが朝の習慣だ。「朝日を浴びることで、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになり、代謝リズムが作られます。また、朝食を食べることでも体内時計がリセットされ、一日の代謝スイッチが入りやすくなります。代謝をサポートするたんぱく質は毎食摂る(2位)のが理想ですが、特に朝食に取り入れると効果的です」(管理栄養士の金丸絵里加さん)

運動も欠かせない。養腸家の真野わかさんが重要性を説く。
「無理のない筋トレ(6位)は筋肉量を維持し、基礎代謝が高まるので若々しい体を維持しやすくします。さらに、ストレッチ(11位)で筋肉や関節の柔軟性を保つことで、肩こりや腰痛を防ぎ、日々の活動量の増加にもつながります」
日常的に体を動かすことで、代謝が上がり、体の不調も改善する。
「加齢で代謝が落ちてきた人も、少しの運動で代謝のいい体に戻ることが可能。スクワット(3位)や骨代謝を促進する“かかと落とし”などの運動習慣を身につければ代謝が上がり、血圧が下がるなど体調が整います」(鎌田さん)
夏本番を迎えたこの時期に実践し、若々しい体を取り戻そう。
「朝に日光を浴びると交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになり、代謝リズムが作られる。さらに朝食をとることで体内時計がリセットされ、一日の代謝スイッチが入りやすくなる」(金丸さん)、「骨の代謝がよくなる。手のひらだけ太陽に当たるようにして15分程度過ごすだけでも効果がある」(鎌田さん)、「朝食を抜くと体内時計が乱れ、次の食事の際に血糖値が急上昇する血糖値スパイクにより、脂肪がつきやすくなる」(斉藤さん)
※女性セブン2026年8月13日号