健康・医療

《70才から始めたい「友達」作り》人と会話することで免疫細胞が活性化、がん予防にも期待 友達探しの場は「ボランティア」「社交ダンス」「推し活」がおすすめ

人と会って話をすることは幸福感を高める(写真/PIXTA)
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 100年の“人の一生”年を1日に置き換える「人生時計」の考えでは、70才はまだ「午後5時」にあたる。仕事や家事をようやく終えて、自由時間を迎えたばかり。悔いのない最期のために、誰とどこへ行くか、何をするか、そして何をしないか、すべて自分で選び取ろう。そこで医師や専門家に「60才ではじめること」「70才でやめること」を取材した。【全3回の第2回。第1回から読む

いつまでも若いのは「おしゃべりな人」

 都内に住むAさん(47才)は昨年、母を亡くした。亡くなる少し前、83才の誕生日プレゼントに母が欲しがったのは「友達」だった。

「離れて暮らしていたし、認知症のような症状が少し見えはじめていたのもあって数年前からデイサービスに通っていました。でも、なかなか周囲のかたとコミュニケーションがとれず、寂しい思いをしていたようです。長く専業主婦だった母はあまり社交的なタイプではなく、たしかに友人は多い方ではありませんでした。そのことをぽつり、ぽつりと話しながら、“もっとお友達をたくさんつくっておけばよかった”“お父さんが死んで、あんたたちも嫁いじゃって寂しかった”って。母の気持ちに気づけず申し訳ないと思うと同時に、私はいま友人たちを大切にしているだろうかとハッとしました」

 子供の結婚や出産、夫や知人との死別など70才前後から人間関係に大きな変化が表れる人は少なくない。

 加齢とともに脳が衰えていくからこそ、人と会って話をすることは幸福感を高めるなど大きな意味を持つ。

 人と会話することの医学的効果について、高齢者専門の精神科医である和田秀樹さんが解説する。

「人と会話することで、思考や感情を制御する脳の前頭葉を効果的に鍛えられます。さらに、免疫細胞の一種であるNK細胞が活性化して、がん予防効果も期待できるのです。70才からこそ、共通の趣味を持つ友人を見つけましょう」

 80才を超えても50代と同じくらい頭の回転が速い「スーパーエイジャー」には、おしゃべりな人が多いという。医師・作家で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さんが言う。

「ニュースを見たり、雑誌や新聞を読んだりして世の中に興味を持ち、そこから得た情報を誰かに話すことで、記憶を固定化できます。いくつになっても世の中と人に興味を持つことが、スーパーエイジャーになる秘訣です」

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 ただし、「不要な人間関係」はやめるべきだ。

「好きでもない人と無理につきあうとストレスが増して免疫機能が下がり、精神的にも悪影響です。現役時代は損得勘定で苦手な人ともがまんしてつきあうこともあったでしょうが、70才を過ぎてからの人間関係は、自分が楽しいかどうかを優先しましょう。一緒にいて楽しい人とだけつきあえばOKです」(和田さん)

 では、どんな場所で友人を見つけるのがいいのか。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが言う。

「自治会やボランティア、習い事などの地域活動、そして趣味、仕事。家から出て、誰かとかかわる要素があることが大切です」

 鎌田さんは「一日中、テレビの前で座っているだけでは時間をムダにしている」と続ける。

「『行くところがない』『もう年だし家でおとなしくしていよう』という考えはもったいない。生活にゆとりがあれば趣味や習い事、買い物に出かけるのもいいし、お金がなくても散歩に行けばいい。散歩がてら図書館に行けば冷暖房費タダで本や雑誌が読み放題です。70才から生きがいや一生ものの趣味に出会うこともあるし、それは人生後半戦を豊かにします」(鎌田さん)

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