頭皮を清潔に保つシャンプーは日々の生活に欠かせないものだけれど、自分に合ったものをちゃんと選べている?
「多種多様な商品が販売されているので、逆にどんなシャンプーを選べばいいのか迷ってしまう人も多いと思います」と語るのは、「頭皮と肌の専門店~希翠(きっすい)~」の店舗責任者で、毛髪診断士の田邊未奈美さん。
田邉さんによると、自分に合ったシャンプーを選ぶことが髪や頭皮の悩みを解決する第一歩になるという。そこで、ありがちな髪の悩み別にオススメのシャンプーのタイプを教えてもらった。
髪・頭皮タイプ診断
チェックリスト形式で向いているシャンプーを診断するので、悩みがいくつもあるという人は当てはまる項目が多いタイプを確認してみて。
◆ハリコシ不足タイプ
□猫っ毛
□ボリュームが出ない
□すぐにペタンとしてしまう
□髪の毛が絡まりやすい
◆ハリコシ不足タイプにオススメのシャンプー
髪の毛にハリやコシがなくボリューム感がいまいちという人は、髪の主な成分であるたんぱく質が十分ではない可能性が。下記のような、ケラチンたんぱく質成分やたんぱく質の元であるアミノ酸を配合したシャンプーを選んで、たんぱく質不足を補うのが◎。髪の立ち上がりがよくなり、ボリューム感もアップ。
・加水分解ケラチン
・エンドタンパク質
・アミノ酸(ジラウロイルグルタミン酸リシンNaなど)
・ヘマチン
「このタイプのかたには、髪の毛をまとめる作用の強いオイル系、シリコン系シャンプーは不向きです。また、シリコンはシャンプーをするときの髪の毛の摩擦を減らして指通りを良くするのに適していますが、基本は髪の毛をコーティングするものなので、ハリコシのないかたは使うことでより重くペタンとしてしまいます。髪の毛の長いかたで絡まりやすい場合は、トリートメントとして中間から毛先にかけてシリコン入りのものを使用するのはOK。その際は地肌につかないように気を付けましょう」(田邊さん・以下同)
◆ダメージタイプ
□パサつく
□よくカラーやパーマをする
□色の退色が早い
□切れ毛や枝毛が多い
◆ダメージタイプにオススメのシャンプー
特にカラー剤やパーマ剤といった科学的なダメージを受けている髪は、ナチュラル系のものでは補いきれないこともあるのでコーティングしてくれる成分がはいっているものがよい。オススメは下記の成分のような補修効果の期待できるアミノ酸系や保湿成分を含むシャンプー。
・PPT(ポリペプチドタイド)成分配合(加水分解シルク・コラーゲン・コメタンパク質)
・天然由来のオイル成分(ホホバオイル・アルガニアピサノ核油など)
・保湿成分(ハチミツ、グリセリン、セラミド)
また、シリコン入りのシャンプーやオイルタイプは髪のすべりがよくなるので◎。傷んだ髪に使うときにしみが出やすい石けん系やノンシリコンシャンプーは、摩擦によってダメージが悪化することもあるので要注意。
「一時期ノンシリコンシャンプーが流行したことで、シリコンは悪だというイメージをもつかたもいるかもしれませんが、最近では企業努力などにより、一般に販売されているものも粗悪なものが少なくなっています。シリコンは髪の毛の摩擦を軽減し、手触りをよくするには必要な成分ですが、基本的に地肌には必要のない成分になので、トリートメントとして適切に使用していただきたいと思います」
◆うねり毛(くせ毛・チリチリ毛)タイプ
□まとまらない
□広がりやすい
□ゴワゴワしている
□切れ毛や枝毛が多い
◆うねり毛タイプにオススメのシャンプー
うねり毛は水分が均等ではなく偏っていることによってできる。ダメージを受けやすいので保湿を意識し、ダメージ毛と同様のイメージでケアを行ってOK! 下記の成分がはいっているものを選んでみて。
・保湿成分(ハチミツ、グリセリン、セラミド)
・PPT成分配合(加水分解シルク・加水分解コラーゲン)
・天然由来のオイル成分(ホホバオイル・アルガニアピサノ核油など)
「このタイプは、髪の水分量によるくせ毛、加齢とともに毛穴が歪むことによるうねり、毛穴の汚れが蓄積したことによるうねりの3つが主な原因として考えられます。水分量が偏っているタイプは、洗い流さないトリートメントもミスト系のものを付けてからオイルやミルクタイプのものを重ね付けすると水分も調整できてまとまりやすくなります。ナノ化CMC配合のヘアケア剤もオススメです。毛穴が問題の場合は、洗い方を見直してみてください。毛のカーブにより、ストレート毛に比べて根元に汚れが溜まりやすいことを意識してシャンプーをするのが大切です。根元の部分をしっかりもみ洗いしましょう」
◆炎症(痒み、吹き出物)タイプ
□痒みが出やすい
□吹き出物ができやすい
□においが気になる
□抜け毛が多くなった
◆炎症タイプにオススメのシャンプー
地肌へのダメージやトラブルが原因になっていることの多いタイプのため、薬用成分など頭皮をケアできるシャンプーを選ぶ必要がある。頭皮トラブルがある人は、刺激の少ないノンシリコンシャンプーを選ぶのも一手。シャンプーを変えても改善しない場合は、皮膚科やヘッドスパなどの頭皮の専門店で診てもらうことも視野に入れよう。
・炎症の鎮静→グリチルリチン酸2K・ピロクトンオラミン
・菌の抑制→イソプロピルメチルフェノール
・においの改善→カキタンニン・炭配合
「髪の毛を洗うというより、地肌を洗い清潔に保つのが大切。特に炎症が起こっているときは髪のケアより、頭皮ケアができるシャンプーを選びましょう。細かいフケが出る場合は乾燥、大きなフケがで出る場合は炎症などの可能性が高いです。また、スカルプシャンプーは頭皮がさっぱりしますが、頭皮の脂を必要以上に流してしまう可能性もあるので、乾燥肌のかたは避けた方がいいでしょう。さらに、乾燥が原因で頭皮が脂を出している場合もあるので注意を」
4大髪ダメージに注意
たんぱく質でできている髪は熱の影響を受けやすく、ゆで卵のように一度変質すると元に戻らない。そのため、シャンプーの成分でリカバーするだけでなく、ダメージを与えない生活をすることも髪の悩みの解決につながる。
「髪のダメージの主な原因はドライヤーなどの熱、カラーやパーマの薬剤、洗髪時やタオルドライ時の摩擦、紫外線の4つです。できるだけこれらのダメージを予防できるように心がけましょう」
教えてくれた人:田邊未奈美さん
たなべ・みなみ。美容師、介護福祉士、美容福祉師、毛髪診断士の資格を所持。美容福祉士の資格を取れる学校を卒業し、福祉施設や介護の仕事をした後、美容の世界へ。そこでシャンプーやマッサージで喜んでもらえることに一番の幸せを感じ、その技術を追求したいとエステやヘッドスパ専門店での経験を積んだのち、専門性を求めて希翠へ入店。現在は店舗責任者を務めている。女性誌やWEBメディアで頭皮ケアの記事の監修などを数多く手がける。http://kissui.tokyo/
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