使うたびに洗うべきなのは重々承知なものの、どうしても後回しにしてしまいがちな魚焼きグリルの掃除。放っておくと、コンロに汚れや悪臭がこびりついてしまうかもしれません。
魚焼きグリルは直接食材に触れる場所だからこそ、きちんとした掃除法を知っておきたいもの。「世界一清潔な空港」に7回も選ばれている羽田空港の清掃の実技指導者で、最年少で全国ビルクリーニング技能競技会1位を獲得した経験もある“環境マイスター”である掃除のプロ・新津春子さんに、魚焼きグリルの掃除のコツを聞きました。
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グリルの掃除、洗剤は何を使えばよい?
魚の油は酸性なので、しつこい汚れはアルカリ成分で中和して落とすのが基本です。洗剤を選ぶときには、アルカリ性のものをチョイスしてくださいね。
お掃除のときには、洗い桶、ワイヤーブラシ、食器用洗剤、タオル、スポンジ、重曹、クレンザーを用意しましょう。加えて、アルカリ性洗剤、スチールたわしなどもしつこい汚れを撃退したいときに必須です。水を多く使うので、手荒れが気になる人は、ゴム手袋をしてから掃除を始めましょう。
魚焼きグリルの正しい掃除法
魚焼きグリルを掃除するときの段取りは、まず、網、トレー、扉(ガラス部分)など、外せるパーツを漬け置きします。グリル本体の内部は、食器用洗剤とスチールたわしで汚れを削り落とします。
それでは、この作業を細かく解説していきましょう。
◆手前のガラス部分と網をきれいに
魚焼きグリルのトレーや網などのパーツを外し、カウンターに並べます。洗い桶にお湯をためてから食器用洗剤(5倍希釈)を入れて混ぜ、グリル手前のガラス部分と網をつけ込みます。汚れが落ちない場合は、アルカリ性洗剤を使用してください。
つけ込んだあとは、素材や形状に合わせて、掃除アイテムを使い分けながらグリル手前のガラスを磨きます。ガラスはスポンジ、フレームはスチールたわし、細かい部分は歯ブラシで、丁寧に掃除しましょう。
◆汚れやすいトレーの掃除のコツは?
トレーはグリルを使用したら必ず洗うことを心がけましょう。スポンジと食器用洗剤で洗いましょう。
トレーに汚れがこびりついている場合は「重曹泡パック」がおすすめ。シンクに置いたトレーに粉末の重曹を100g盛り、お酢またはクエン酸を少量かけます。すると泡が発生するので、パックするように置いておきましょう。ここに網の油汚れも一緒につけ込めば、一石二鳥。パックで汚れを浮き上がらせることができるので、その後しっかりとスポンジで洗いましょう。
◆仕上げにグリル内部もピカピカに!
グリルの内部も、使うごとに重曹水などで拭き掃除をするようにしましょう。それできれいにならない場合は、10倍希釈の食器用洗剤やアルカリ洗剤を染み込ませたタオルを使います。ゴム手袋を付けた手でタオルの先端を持ち、グリルの内部を磨きましょう。
その後、しっかり水を絞ったタオルで水拭きして、洗剤を拭き取ってください。通常レベルの汚れなら食器用洗剤、重度の汚れの場合はアルカリ性洗剤、と使い分けてきれいにしましょう。
最後にスイッチ周りと全体をタオルで仕上げ拭きしましょう。すき間に溜まった汚れは、竹串にタオルをかぶせて細かく清掃すればOK。パーツを元に戻せば、清潔なグリルに生まれ変わっているはずです!
掃除が苦手なズボラさん向けQ&A
さらにグリル掃除の悩みに答えてくれた新津さん。これならズボラさんでもきれいにできるはずです!
◆グリルの網の汚れが取れません…
グリルの網は汚れが溜まると、スポンジでは落とせなくなります。使うたびに洗うようにしましょう。
あまりにも汚れが取れないときには、スチールたわしと、研磨剤で磨きましょう。だいたいの汚れは落ちますよ。
◆グリルの内側が狭くて掃除しにくいです。コツはありますか?
なるべく使うたびに掃除してほしいですが、確かにに手がはいりにくいので掃除がしにくいですよね。
せめて使ったあとに、中をタオルで水拭きしてほしいです。煙が出るところも含めて拭き掃除をしないと、すすのような汚れが溜まっていく一方になります。
汚れが溜まってしまうと、プロが掃除してもグリルの中だけで2時間はかかります。長持ちさせて、グリルで焼いた料理をおいしく食べるためにも、マメにお掃除をするようにしましょう。
教えてくれたのは:新津春子さん
にいつ・はるこ。1995年、日本空港技術サービス(現:日本空港テクノ)に入社。1997年に(当時)最年少で全国ビルクリーニング技能競技会1位に輝く。以降、指導者としても活躍し、同社ただ1人の「環境マイスター」として、羽田空港全体の環境整備に貢献し、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)で5回にわたって取り上げられた。著書に『子どもと一緒に身につける!ラクして時短の「そうじワザ」76』(小学館)など計12冊+DVD1部。http://www.jatec.co.jp/house-cleaning/
撮影/生熊友博 構成/イワイユウ
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