共働き世帯など家事になかなか手がまわらない家庭が多い今、ロボット掃除機の国内普及率は高まっています。2022年は、国内のロボット掃除機のシェアの大部分を占めるiRobot社のルンバだけで国内世帯普及率が約8%。そのルンバが今年7月に、ロボット掃除機の中では低価格といえる3万9800円のエントリーモデル「i2」シリーズが発売され、ますますロボット掃除機が身近になってきています。
ただ、ロボット掃除機1台で部屋の掃除は完結するのか、やはり、部屋の角など隅々まで掃除したいなら「2台持ち」は必須なのか、気になる人もいるでしょう。家電ライターの田中真紀子さんに、改めて「ロボット掃除機だけで掃除は事足りるのか?」を聞いてみました。その答えは――。
ロボット掃除機のほかにも掃除機は必要
「結論から言えば、ロボット掃除機があってもセカンド掃除機は必要になります。ロボット掃除機は部屋全体を掃除するのは得意ですが、ピンポイントで掃除するのは苦手だからです。例えば物をこぼしてしまったとき、ゴミが気になる場所があったとき、わざわざロボット掃除機を持ってくるほうが大変です。
製品によっては、リモコン、あるいはスマホをラジコンのコントローラーのように使って誘導できるものもありますが、コードレスの掃除機を持ってきたほうが早いです。
また、残念ながらロボット掃除機が見落としてしまったり、部屋の構造や家具の配置上、ロボット掃除機がはいり込めない場所もあるので、そこはセカンド掃除機で掃除することになると思います」(田中さん・以下同)
ロボット掃除機を持つメリット
とはいえ、田中さんはロボット掃除機を持つメリットは大きいと話します。
「ロボット掃除機はあくまでも掃除の手間を大幅に軽減してくれるアイテムであって、掃除の手間をゼロにしてくれるものではありませんが、掃除嫌いな人はもちろん、掃除好きな人にもメリットがあると思います。
日常的にロボット掃除機を使いつつ、自分でも掃除すれば、そのぶんホコリが溜まるペースは落ち、室内を清潔に保てますし、ベッドやソファの下など、掃除機がけしづらい場所、見落としがちな場所にも入り込んで掃除してくれるからです。掃除嫌いな人にとっては言わずもがな、です。
あとはセカンド掃除機を使う頻度をどれくらい下げたいか、によって選ぶロボット掃除機も変わってきます。最近のトレンドは、カメラやAIを搭載し、間取りをマッピングしながら部屋の隅々まで掃除してくれるタイプ。
ルンバでいえば『s9+』『j7+』など上位モデルに搭載されていて約13万円(『j7+』アクセサリーセット)するなどかなり高額ですが、掃除の正確性が高いため、やり直しが少なくてすみます。掃除は自分でもやるので“サポートだけしてくれれば”という人は、AI非搭載のモデルで十分です」
ロボット掃除機とセカンド掃除機、それぞれの使い分け
それでは、ロボット掃除機、そして併用する掃除機は、どう選んだらよいでしょうか。
「まず一戸建でロボット掃除機を使用する場合、ロボット掃除機を1階と2階とで移動させるのは大変ですので、必要に応じて各階に1台ずつ置くことになるかもしれません。その場合、部屋数が少ない方の階にシンプルなコスパモデルを、複雑な方にAI搭載の高機能モデルを置くのもいいですね。
床に洗濯物やおもちゃが置かれていることが多く、ロボット掃除機が動かせないとあきらめている人は、『ルンバj7+』やエコバックスの『DEEBOT X1 OMNI』など障害物を認識して避ける機能が優れたタイプを選ぶといいです。もちろん掃除できる範囲が限られるため、物がないに越したことはありませんが、物があるせいで掃除できないより清潔に保てるはず。併用するなら、ヘッドが小さく小回りが効くコードレスタイプがおすすめです」
セカンド掃除機はコードレスタイプを
セカンド掃除機は、「必要なときだけ使うことが多くなりますので、やはり出しっぱなしにできるコードレスタイプがおすすめ」と、田中さん。
「特に階段は軽量タイプのコードレス掃除機を。コードレスには、今主流の、手元にモーター部分がある手元重心タイプと、足元にモーター部分がある足元重心タイプがあります。階段で使う場合は、先端が軽くて高いところでも持ち上げやすい、手元重心タイプを選ぶといいです。後述する『ラクかるスティック』がその一例です。
共働きや単身世帯、子育て中などで忙しく、掃除の手間をできるだけ省きたい人は、ロボット掃除機、コードレス掃除機ともに、充電ドックにゴミ収集機能がついたタイプを選べば、都度ゴミを捨てる手間がなく、いつでもゴミがゼロの状態から使えます」
おすすめのロボット掃除機は数多くある中、田中さんが「特に忙しい人」に注目のロボット掃除機、そして階段掃除などに重宝するコードレス掃除機は次の通りです。