
食器洗い乾燥機は、食後の食器洗いの手間を大きく軽減してくれる、時短の王道家電。ただしお手入れを怠ると、かえって食洗器自体の動きを悪くしてしまうことも。家電ライターの田中真紀子さんに、食洗器の正しいお手入れ方法を教えてもらいました。
食洗器のお手入れを怠るとカビやニオイの発生、水アカ付着の原因に
そもそも、食洗器はなぜお手入れが必要なのでしょうか。
「食洗機はお皿の汚れを洗い落としてくれる家電。下洗いをしてある程度残さいは取り除いてから入れたとしても、細かい食べカスや調味料、油などが付着したまま食洗器で洗うため、それらが洗浄後、庫内に残ってしまう場合があります。
その状態で放置すると、お手入れしていない排水口同様、ぬめりやカビ、ニオイの原因に。また水道水を使っているため、ミネラル分が水アカとして白く残り、かたまりになることで食洗機自体の動きを悪くしてしまう可能性も。お手入れは欠かさず行いましょう」(田中さん・以下同)
庫内の壁に見える白い付着物の正体は、水アカ…。初めて気づいた人も多いのではないでしょうか。
では、日常的に行うべきお手入れとは――?
食洗器を使う前から、洗い終わったあとまでのチェックポイントを一通り挙げてもらいました。
下洗いをして食べカスなどを洗い落とす
「まず、食洗機自体のお手入れの手間を減らすうえでも、できるだけ下洗いを」と、田中さん。
余裕があれば、食後はお皿をお湯につけてドロドロの油汚れなどを浮かしておいたり、食べカスや魚の骨、茶こしについた茶葉などの汚れはさっと洗い落としたうえで、食洗器に入れましょう。
洗浄後、最後まで乾燥させる
「洗浄後はふたを開けて自然乾燥させる人もいますが、乾燥機能がある食洗器なら、しっかり最後まで乾燥させて水分を飛ばした方がカビの発生を抑えることができます。乾燥させない場合、あるいは乾燥機能がない場合は、内部をしっかり拭き上げましょう」

残さいフィルターのお手入れは鉄則
洗浄後の大切なお手入れはもうひとつ。できれば毎回、少なくとも週1回は残さいフィルターの汚れを取りきること。

「やり方は簡単。残さいフィルターを取り外し、フィルターにたまった残さいを捨て、こびりついた汚れやぬめりがあれば古い歯ブラシなどでこすり落とすだけ。水洗いでOKですが、汚れが気になるときは、食器がはいっていない状態で、食洗器用洗剤を通常の2倍量入れ、強力コースで洗いましょう」
もし残さいフィルターをお手入れせず、放置すると――。
「フィルターに残さいがたまりっぱなしだと、そこにゴキブリが出るという話はよく聞きます。そうでなくても、食洗機はカビが好む栄養と温度、湿度が揃っていますので、ここに残さいがあるとカビやニオイがより発生しやすくなります。またフィルター自体が目詰まりを起こしてしまうことも。何よりフィルターに残さいがたまった状態で次の食器を洗うことを想像すると、気分が悪いですよね…」
月に1回程度のお手入れが理想
そのほか、内部や周囲は月に1回程度お手入れするのが理想。もちろん、庫内の白い水アカなど明らかに汚れていれば、気づいた時点で庫内洗浄を。
「特に回転ノズルの動きが悪くなると、食器洗いの精度が下がりますので、取り外してしっかり洗いましょう。洗剤投入口がある場合は、粉末状の洗剤や粘度の強い洗剤などが詰まる場合がありますので、気づいたらお湯を流して溶かしましょう。
そのほか、排水口カバーのお手入れや、どんな洗剤や用具を使って洗えばいいかは、卓上タイプかビルトインか、またメーカーや機種によって異なります。詳しいお手入れの方法は、取扱説明書を確認してください」
漂白剤、クエン酸、重曹を使った庫内洗浄はおすすめせず
庫内を洗浄する際、手持ちの漂白剤や重曹、クエン酸などで洗う人もいるでしょう。ですが、田中さんによればそれはNG。
「ネット上では、『食洗機のお手入れに漂白剤を入れて運転するといい』という記事を多く見かけますが、メーカーは傷や変形の原因になることから、漂白剤の使用は推奨していません。
また漂白剤の中には、界面活性剤を配合し、泡立つタイプのものもありますが、食洗機は泡が苦手。そもそも泡立ちのよい食器用洗剤を使うことを禁止しています。使ってしまうと庫内が泡でいっぱいになり、ノズルが泡を吸い込んで回転が止まったり、水漏れを起こしたり、故障の一因になるからです。
重曹は、研磨作用によって傷つけたり、成分が固まって故障の一因になるためNG。また水アカ対策にクエン酸を使うことも、錆びる原因になるとして禁止しているメーカーもあります。
汚れが気になる場合は食洗機洗浄用洗剤を使いましょう。取扱説明書に書かれていない洗剤を使う場合は自己責任となりますのでご注意を」
パナソニックなど、メーカーによっては食洗器専用の庫内クリーナーを販売しています。専用のクリーナーを使う方が、庫内の汚れ落ちは期待できるでしょう。すでに庫内の壁に白い汚れ=水アカがついている人はぜひ試してみては。
ただ、こうしたお手入れがなかなかできない人は、除菌効果の高い食洗器など、お手入れが軽減する食洗器を選ぶのも一つの方法。田中さんから2点、ご紹介いただきました。
【1】パナソニック『食器洗い乾燥機 NP-TZ300(卓上タイプ)』

こちらは、ニオイ抑制、除菌、残さいフィルターのお手入れ軽減と、清潔を保ちやすさが特徴。
食器を洗うだけで除菌。残さいフィルターのお手入れは週1回の目安でOK
「『ストリーム除菌洗浄』機能が搭載され、洗浄とすすぎは、50℃以上の高圧水流で食器を洗いながら、しっかり除菌。洗浄、乾燥後は、ふたが閉まった状態でも庫内に『ナノイーX』を含む風を送り込むことで、庫内のニオイを抑制し除菌します。1日分の食器をまとめて洗っても、庫内を清潔に保てます。
残さいフィルターに関しては、液状や粉、ご飯粒といった小さな固体などフィルターを通り抜ける大きさや形状の残さいは、洗浄液とともにホースをつたってシンクに排出されます。そのため、残さいフィルターのお手入れも週1回の目安でOK。もちろん、フィルターに残っていれば、都度お手入れを」

【2】アクア『食器洗い機(送風乾燥機能付き)』ADW-GM3

お手入れが軽減しやすいよう、素材から設計されているのが、こちら。

汚れがつきにくいステンレス素材&洗うたびに庫内壁面もクリーンに
「アクアの食器洗い機には、汚れやニオイがつきにくいとして、プロの厨房にも使われるステンレス素材を採用。さらに、約2mの高さまで飛ぶ強さの高圧水流が庫内4つノズルから噴射され、食器を洗うたびに庫内の壁面まで洗浄されるので清潔に保てます。またドアには、汚れを拭き取りやすいガラス素材のクリアウインドウを採用しています。
気になる残さいフィルターは、半密閉のボックスタイプなので、ニオイも抑え、目が細かいので残さいもしっかりキャッチ。ただしこちらも週1回はお手入れすることを推奨しています」
どちらも、決してお手入れが「不要」になるわけではありませんが、普段なかなかお手入れができない人はぜひ選択肢に入れたい機種です。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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