
近年、勢いが増している焼きいもブーム。その甘さのせいかダイエッターにはなかなか手を出しづらい食材です。管理栄養士の菊池真由子さんは、食べ方を少し工夫するだけでダイエット食に変えられるといいます。菊池さんに太りにくい体を作る焼きいもの食べ方と適量を教えてもらいました。
焼きいもは冷やせばダイエット食材に
「寒い季節に食べたくなるほっかほかの焼きいもですが、やせたい人は冷やして食べるのが正解です。実は、焼きいもに含まれるでんぷんは冷やされるとレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)に変化します。レジスタントは“消化されにくい”、スターチは“でんぷん”の意。
つまり、消化されにくいでんぷんということ。消化の悪い食べ物は胃腸に負担がかかるためよくないイメージがある一方で、メリットもあります。消化されにくいということは、食べ物が胃の中にとどまっている時間が長くなるため満腹感を得やすい。少量食べて満足できますから、ダイエットに向いています」(菊池さん・以下同)

食物繊維の効能も得られる
また、レジスタントスターチは食物繊維に似た効果を発揮します。
「食物繊維には、便のかさを増やす、腸を刺激しぜん動運動を活発にして便通をスムーズにする働きがあります。腸内環境が整えられるため、便秘によるポッコリお腹の解消やメタボ予防に有効です。
中でも、ヤラピン(切ったときに出る白い液体)には、便をやわらかくする働きがあるので、カチカチ便の人にはおすすめ。水分摂取が減る冬の時期は便が硬くなりやすいので、さつまいもは積極的に取り入れたい食材の1つです」

さらに、レジスタントスターチは消化されないまま腸内を移動するため、消化もゆるやか。血糖値の急な上昇やコレステロールの吸収が抑制され、糖尿病など生活習慣病の予防にも効果的です。
適量は1日150g、食べすぎれば太る
冷やせばダイエット食材になるのなら、たくさん食べてもいいのでしょうか?
「1日150gが目安です。やせる成分は増えますが、カロリーは245kcal(100g当たりのカロリーは『八訂 食品成分表2022』より、以下同)。ご飯1杯分(150g)234kcalと比較してもいい勝負。ですから、食べすぎはNGです。脂肪はほぼ0なので、3食のうち1食分のご飯を冷やし焼きいもと置き換える工夫はいいですね」

では、どのくらい冷やせば効果が上がるのでしょうか?
「粗熱をとる程度では、でんぷんはレジスタントスターチに変化しませんから、ダイエット効果もありません。ひと晩冷蔵庫に入れて中心が冷たくなるまで、しっかり冷やしましょう。1日中冷蔵庫においても問題ありません」

ビタミンたっぷりで美容にも効果あり
さらに、さつまいもには抗酸化作用の強いビタミン類が豊富に含まれています。
「ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールが多く含まれているので、シミやしわの改善、若さを保つアンチエイジングに有効です。コラーゲンの生成を促すビタミンCもたっぷりなので、潤いのある美肌作りをサポートしてくれます」
ダイエットにも美肌にも有効な冷やし焼きいも。忘年会や新年会などが増えるこれからの季節、冷やし焼きいもを上手にとり入れて太りにくい体に整えましょう。
◆教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん

管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。新刊『食べて、やせる! おうちdeダイエット』(三笠書房・以下同)が2.5万部超えのヒット。10万部超えの『食べても食べても太らない法』などダイエットや美容に役立つ食事について解説した本がベストセラーに。https://www.diet-class.com/
取材・文/佐々木めぐみ