美容

冬の「肌の乾燥」、注意すべき“乾燥ジワ” 肌を傷めないスキンケア術

口元に手を当てている女性
乾燥から感染症から肌を守るスキンケア方法を福田さんが伝授(Ph/photoAC)
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冬は空気が乾燥する季節です。肌から水分が奪われることによって、肌のトラブルが生じやすくなったり、感染症のリスクが高まったりします。美容と健康のためにどんな対策を講じればいいのか、医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんに聞きました。

コロナ禍の冬は肌トラブルだらけ

冬は冷たい外気とエアコンによる暖房により湿度が下がり、皮膚が乾燥しやすくなります。そこにコロナ禍特有の注意すべき肌トラブルも重なってきます。

「肌の乾燥によって女性が気になるのは、“乾燥ジワ”ですね。このシワは小さいのですが、放っておくとシワの数が増えて、大きなシワの原因になります。しかも毎日のようにマスクをしていると、肌はダメージを受けている可能性があります。特にマスクの縁が当たっているところは擦れやすく、皮膚を守ってくれているバリア機能が弱っているかもしれません。肌が弱ると、シミやそばかす、くすみができやすくなります。

さらに、肌が乾燥していると、それを補おうと皮脂を分泌しようとします。皮脂が出すぎてしまうと毛穴が詰まってニキビの原因になります。これらは、きちんとスキンケアをすることで防ぐことができるので、“マスクをしているからやらなくてもいいや”と美容関係の手を抜いていた人は要注意です」(福田さん・以下同)

スキンケア
マスクをしていてもスキンケアは手を抜かない(Ph/photoAC)
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かゆみだけがある皮膚掻痒症の可能性も

乾燥するのは顔の肌だけではありません。体にかゆみがある場合は、皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)かもしれません。

「皮膚掻痒症とは、発疹など目立った症状がないのにかゆみだけがある疾患です。かいてしまうと炎症を起こして、二次的に湿疹などができることがあります。皮膚が乾燥していると、本来は深部に位置しているかゆみを感じる神経が角質層まで伸びてくるので、わずかな刺激でもかゆみを感じるようになるのです。また、患者さんを診ていると、コロナストレスによる蕁麻疹(じんましん)も増えているようです」

感染症のリスクも高まる

風邪やインフルエンザなどの感染症が冬に流行しやすいのは、喉が乾燥することも要因です。コロナ禍以降はここにもマスクの罠が潜んでいます。

「口や鼻から入ったウイルスが喉の粘膜に吸着することで感染症になるのですが、通常は粘液や唾液の働きによって守られています。ところが、喉が乾燥していると、この“バリア機能”が発揮されません。

のど
喉が乾燥していると感染症になる確率が高くなる(Ph/photoAC)
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マスクは本来、喉の乾燥を防いでくれるものですが、息苦しくて口呼吸になっている場合は喉が乾燥してしまいます。また、マスクをしていると口の中が湿っているため、渇きを感じにくく、水分補給のタイミングを逃してしまうケースがあります」

今冬はスキンケアを見直すフェーズに

政府は屋外で周囲に人がいない場面でのマスク着用は原則不要とし、今後は屋内でのマスクも”緩和”という方向で検討が始まっています。いつマスクを外してもいいように、今こそコロナ禍前のスキンケアに戻すタイミングかもしれません。

「マスクで隠れているからと、スキンケアをサボっていた人におさらいです。メイクを落とす際にはよく泡立てた石けんで丁寧に洗い、化粧水で水分を補給して、美容液をつけて肌の水分を保持。その上に乳液を塗って肌から水分が蒸発するのを防ぐ。これが基本でしたね。

大きなシワは、皮膚を支えているコラーゲンが伸びたり切れたり弱ったりすることで起こります。肌に無理な力をかけるとコラーゲンを伸ばし、シワやたるみの原因になるので、スキンケアは優しく行いましょう」

両手をほほにあてている女性
スキンケアは強い力加えず、優しく行うこと(Ph/photoAC)
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フェイスパックは使用方法を厳守

肌を労わるために、加湿器で湿度50%を目安にして、室内の乾燥を防ぐことも対策の一つです。

「体にかゆみがある場合は、入浴時に洗うときも強くこすらないようにしましょう。皮膚を守る皮脂膜が落ちてしまいます。入浴後は顔と同じように、体にもボディ用の保湿剤を塗って乾燥を防ぎます。また、下着はかゆみを引き起こしやすい化学繊維より、木綿やシルクといった肌に優しい素材がおすすめです」

ボディケア
体同様ボディの保湿もしっかりと(Ph/photoAC)
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フェイスパックをする際には、しっかり使用方法を守りたい。

「例えば、“10分間使用”と記されたシート型パックを長時間肌にのせたままでいると、シートが乾燥して、肌から潤いを奪ってしまうことがあります。使用する回数も製品の使用方法を守りましょう」

紫外線もシワの原因になります。夏よりも量は減るとはいえ、冬でも紫外線は降り注いでいるので、季節を問わず対策を心がけたいところ。Withコロナとなった今、スキンケアを改めて見直したいですね。

◆教えてくれたのは:医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん

医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
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1988年に慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとしてテレビやラジオ番組への出演、執筆、講演などで活動。『そもそも血糖値ってなんですか?』『高たんぱく質レシピ151』 (ともに主婦の友社)、『危ない! 命を縮める健康法』(アントレックス)など著書・監修書多数。https://fukuda-chiaki.com/

取材・文/小山内麗香

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