猫と暮らす人なら誰しもが、愛猫の健康と長生きを願うもの。猫にとっての「真の健康」――そうした考えが今注目を集めています。猫を愛する人たちは「真の健康」のために、どんなことをしたらいいのでしょうか? 個々の猫のニーズにきめ細やかに応える栄養バランスを提供するプレミアムペットフードブランド「ロイヤルカナン ジャポン」の山本俊之社長に伺いました。また、「真の健康」を叶えるためのノウハウや新たな猫の魅力を知ることができる注目キャットショーの様子もリポートします。
進むペットの高年齢化により、健康管理がさらに重要に
犬は14.65歳、猫は15.66歳。平均寿命は犬猫ともに2010年以来、最長を記録しています(2022年発表「一般社団法人ペットフード協会」調査より)。愛犬や愛猫が長生きしてくれることはペットオーナーにとってうれしいことですが、健康寿命を延ばすために、より大事になってくるのが犬や猫たちの健康管理です。
コロナ禍以降、犬や猫と過ごす時間が増えたことで、健康管理への関心がより高まっていると山本社長も言います。
「ご自宅で愛犬や愛猫と過ごす時間が増え、今まで気づかなかったことにも目がいくようになったペットオーナーさんが増えたと思います。食欲の有無や水を飲む回数、便の状態など、日々の健康状態チェックや細かな変化に気づくことは、私たちが大切にする『真の健康』を叶えるにはとてもいいこと。ペットが生涯にわたり健康で豊かな生活を送るために、健康管理は基本ですし、極めて重要なことです」(山本社長)
「真の健康」のためにペットオーナーが知っておきたい大切なこと
ロイヤルカナンが猫の「真の健康」を追求するのは、家族の一員であり特別な存在である愛猫が生涯にわたり豊かな生活を送るために必要不可欠だから。
「病気ではないから健康ということではなく、毛並みや色つや、身のこなし、目の輝きといった、その猫が持つ本来の美しさが表れている状態こそ、『真の健康』だと私たちは考えています。猫は体調の悪化を隠す傾向があるため、『真の健康』を叶えるには日々の健康状態をチェックし、細かな変化を見逃さないようにすることが大事。私たちがそうしたことを発信することで、猫オーナーさんの理解を深め、一頭でも多くの猫に『真の健康』を届け、『ペットのためのよりよい世界』の実現を目指していきたいです」(山本社長)
ペットにとってよりよい世界を目指すロイヤルカナン。「猫の真の健康を育む5つの意識と行動」を提唱し、啓発活動に努めています。
【1】猫は人とは異なる動物であり、種類や個体によって身体的特徴、性格、行動(癖)が違うことを理解して接する。
【2】品種・年齢・身体サイズ・ライフスタイル・健康状態により栄養ニーズが異なることを理解し、適切な量の最適なフードを与える。
【3】猫は言葉を話せず、体調不良を隠す習性もあるため、日常的によく「観察」し、変化に対して適切な対応をとる。
【4】猫は人の4倍以上の速さで歳を取ることを理解し、定期的に健康診断を受けさせる(年2回を推奨)。
【5】栄養や健康に関する正しい知識を持つ専門家に、日常的に相談して適切なアドバイスを得る。
「真の健康」を学び猫の新たな魅力を知るキャットショー
そんな「真の健康」や新たな猫の魅力を学べるのが、2023年10月8日に開催されたロイヤルカナン主催の「ジャパン キャットショー」。キャットショーに詳しくない人はもちろん、全ての猫好きが気軽に楽しめるコンテンツが満載のイベントです。
ロイヤルカナンがキャットショーを開催するのは、猫の健康についての知見を高め合うパートナーであるキャットショーの運営団体と一緒に、猫の専門家・ブリーダーのサステナブルな発展を支援したいという考えから。
「今回の『ジャパン キャットショー』をCFA Japan RegionとTICA Asia East Regionの2団体と協働したのも、彼らが『猫の真の健康を育む5つの意識と行動』を実行し、猫に対して熱い思いを注いでいるからです。そうした姿を、来場者をはじめとした多くの方々に知っていただくことで、キャットショーとショーを運営する団体の皆さんの認知度が上がり、ショーが持続的に成長していく土壌になったらと考えました」(山本社長)
そして何より、「ジャパン キャットショー」を訪れた猫オーナーたちに猫の健康への関心、そして正しい知識を持っていただきたいと山本社長。
「キャットショー団体への一般のお客さまからのお問い合わせの中には、あふれる情報の中から正しい知識を選べていなかったり、猫のことを誤解していたり、正しい飼育方法が分からない猫オーナーのかたが多くいらっしゃるそうです。ロイヤルカナンは“愛猫の『真の健康』のために大切な5つのポイント“を猫オーナーの皆様に提唱し、さまざまな機会を通じて啓発をしています。『ジャパンキャットショー』でも、団体の皆さまと協力し、猫オーナーの方々へ正しい情報や知識をお届けしていきたいと思っています」
ロイヤルカナンにとって開催することに重要な効果と役割があるという「ジャパン キャットショー」。猫オーナーとして必要な知識を学べる猫専門病院の獣医師によるセミナーから、初めてキャットショー訪れる人にも楽しんでもらえるような仕組みが満載なのも特徴的。ここから先は、そんな「ジャパン キャットショー」の様子を紹介します。
「Cat Showの楽しみ方講座(TICA)」
猫の品種の基準やコンディション、美しさなどを審査するキャットショー。そのため、猫界の“美男美女”が勢揃いします。初めてだと、「敷居が高そう」「ルールが難しそう」というイメージを抱くかもしれませんが、この講座では安心してキャットショーを楽しめるヒントがたくさん。
例えば、会場で同時進行している審査を覗いてみるだけでも楽しいと、TICAの田崎尚枝さん。
「キャットショーでは、体格(ボディ)やコート(被毛の美しさやカラー)、ヘッド(耳の形や鼻先の形、目の色や形)など猫種ごとに決められた審査基準に従って、審査員がそれぞれ評価していきます。厳正な審査が行われていますが、初めてのかたならそうした様子を見ながら、『あの子かわいい!』と直感的に楽しんでいただいてOKです」
続けて、「真の健康」に触れられるいい機会だと話します。
「キャットショーには、健康美に優れた猫たちが一堂に会します。そんな『真の健康』を実際に目にし、いっそう愛猫の健康を追求するきっかけになったら嬉しいですね。それから、猫について深い知見のあるブリーダーさんと交流できる貴重な機会にもなると思います」
「TICA Kitten(子猫)クラス 審査ファイナル&表彰式」「CFA kitten(子猫)クラス TOP5の紹介&表彰式」
歴史ある2大血統書登録団体「CFA Japan Region」と「TICA Asia East Region」によるキャットショー「ジャパン キャットショー」。イベントの締めくくりには、それぞれの団体でKitten(子猫)クラスの審査結果や表彰式が行われました。
まずは、1906年に創設された「TICA Asia East Region」による審査ファイナル&表彰式から。今回、TICA Kitten(子猫)クラスに出場したのは、33頭。その中から第1 Ringのベスト10の猫が壇上に上がると、会場のお客さんからも笑顔が溢れます。
そして1位に選ばれたのは、ベンガルの男の子。その選出理由について、審査員の貝塚奈穂子さんはこう語ります。
「ベンガルは野生の猫から作出された猫。だから、家庭猫としての従順な態度が大事ですが、その点この子は非常に穏やかな気質です。そして滑らかなコートのミンクのような感触、コントラストのあるロゼット模様、ワイルドキャットの流れを組んだ幅が広い鼻、まんまるの目もすばらしい。子猫ながら月齢に沿って筋肉もしっかりと発達していて、まさにベンガルのお手本のような子ですね」
次は、キャットショーを行う世界最大の団体の一つ「CFA Japan Region」による、Kitten(子猫)クラス第1 RingのTOP5の紹介&表彰式。
TOP5に選ばれたのは、ラグドール、シンガプーラ、メインクーン、シャムネコ、ノルウェージャン・フォレスト・キャット。見事に1位に輝いたのは、メインクーンです。審査員のラリーさんは、「ベストキャット」と評します。
「子猫クラスなのにしっかりと成長していて、長い胴体と美しいコートもお見事。まさにベストキャットです」
「スマホでもカメラでも♪愛猫を素敵に撮るコツ教えます」
かわいい愛猫を写真で残したいと思いつつも、なんだかマンネリになりがち……。そんなお悩みを解決すべく、ペトグラファーの第一人者・小川晃代さんが、家庭でも実践できる愛猫の写真撮影方法をそのポイントとともにレクチャーしました。
・アングルと構図にこだわる
「一番いい表情を押さえるため、猫ちゃんと同じ目線でスマホやカメラを構えるのがおすすめです。その時にとくに大切なのが構図。おしゃれな雰囲気にしたいなら、猫ちゃんが目立つよう空間をもたせること。例えば、猫ちゃんの目線の先に空間を持ってくると、バランスがいい写真になりますよ」
・自然光を上手に使う
「窓から入る自然光で猫ちゃんを撮影すると、毛の輪郭や毛並みも美しく撮れます。正面から光が当たる順光は避け、斜めや後ろから光が入る斜光〜逆光で撮影すると良いと思います」
・目線をコントロールする
「猫ちゃんの目線をうまくコントロールすると、より豊かな表情の1枚に。猫じゃらしや音の出るアイテムで猫ちゃんを誘導しながら、ぜひ撮影してみてください」
撮影方法をレクチャーしたあとは、会場を訪れていたお客さんに実際に猫を撮影してもらう場面も。小川さんに習った通り、猫じゃらしを使ってスマホで撮影すると、いつにも増して素敵な1枚が撮れた人が多かったよう。
「特別セミナー下部尿路疾患 病気のサインから再発まで 予防のポイント教えます」
トイレに行ってもおしっこが出ない、おしっこに血が混ざるといった、猫に多い下部尿路疾患の症状や対処法を東京猫医療センター院長・服部幸先生が解説。
「下部尿路疾患の症状として、頻尿、血尿、排尿痛、トイレ以外での排泄などがあげられます。なので、普段からトイレをよく観察してください。中でも下部尿路疾患の一つとしてあげられる、猫特発性膀胱炎は投薬治療では効果が期待できません。トイレ環境を見直す、飲水量を増やす、食事を考えるなど、猫のストレスを軽減する環境改善が大切です」
中でもトイレの心地よい環境作りは大切。猫のトイレのいやいやサインを見逃さないでほしいと言います。
「猫のトイレのいやいやサインとして、側面をひっかく、壁や床をひっかく、側面に足が2本以上乗る、排泄中、側面に足を置いているか足を上げている、排泄前に砂を掘らない、滞在時間が短い、近付くが使用せずに立ち去る、排泄物を隠そうとしない、トイレに入ってもすぐに出ることがあげられます。
愛猫のためにも、理想的なトイレ環境を整えてください。大きさは体長の1.5倍くらい、砂を掘っても底が見えない深さ、カバーは無い方がベターで、数は猫の数+1以上、トイレ砂は猫の好みのものをたっぷり入れ、こまめに清掃し、静かで真っ暗にならないさまざまな場所においてください」
まだある!注目セミナーで学ぶ「実は知らなかった」猫のこと
これからの愛猫との生活に役立つ、ロイヤルカナンによるミニセミナーも開催。「愛猫が急にご飯を食べなくなった」。そんな猫の食性にまつわる悩みの原因と実践できる解決方法を伝授したほか、意外と知られていない猫の便秘や、猫をもっと理解して仲良く暮らす方法をクイズ形式で説明しました。
キャットオーナーとして必要な知識とテクニックを新たに知り、会場のお客さんもよき学びとなった様子でした。
「ロイヤルカナンブース(キャットオーナーズチャレンジ)」
豊かな知識を得るためのポイントや、自分の愛猫にぴったりなフードが見つかるロイヤルカナンブースも設置。
なかでも、『「猫の真の健康」を学び、実践する』をテーマに7つのクイズに挑戦し、知識豊かなキャットオーナーを目指すクイズラリーは、終日大賑わいでした。
「真の健康」についてロイヤルカナンが今伝えたい思い
日頃の企業活動はもちろん、「キャットショー」などで猫の「真の健康」を啓発しているロイヤルカナン。ペットの専門家との連携を通じて「ペットのためのより良い世界」をつくるため、ロイヤルカナンの属するマースグループとオックスフォード大学の経営大学院が共同開発したビジネスモデル「互恵の経済学」を掲げています。
「自社の財務利益のみを追求するのではなく、猫と犬を取り巻く団体や獣医師、ブリーダー、ペットショップなどすべてのパートナーの持続的な発展にも配慮。相互に恩恵を得られ、ひいては猫と犬の真の健康の実現につながるよう、自社の活動を構築していくことを目的にしています」(山本社長)
「ペットのためのより良い世界」を実現するため、ペットを取り巻くパートナーと手を取り合いながら、健康管理の重要性の発信を続けていきます。
「私たちは、大切な愛猫、愛犬が末永く健康に暮らすために定期的な健康診断の受診を推進しています。その重要性を届けるため、ペットの予防医療と健康管理の普及・啓発活動を推進し、ペットにやさしい社会の実現を目指す獣医師団体(一社)Team HOPEの活動をファウンディングパートナーとして支援したり、猫にやさしい動物病院の“道しるべ”となるグローバルな認証制度『キャット フレンドリー クリニック(CFC)』の日本での普及をサポートしています。
それから『ジャパンキャットショー』もまた、猫オーナーさんに『真の健康』を伝えるためにも、重要な位置付けだと考えています。今回は3回目の開催となりましたが、今後も継続的に開催し、キャットショーの運営団体と一緒にブリーダーのサステナブルな発展を支援していきたいと考えています」(山本社長)