
開幕して3か月以上が経つ「大阪・関西万博」(以下・万博)。当初のネガティブな口コミはすっかり覆り、いまとなっては連日多くの来場者でにぎわうようになった。日を追うごとに状況も変わり、以前問題になっていたことも解決されつつある。まだまだ厳しい暑さが続くが、これから行きたいと思っている人へ、これを知っておけば、残暑の万博を快適に楽しめる!というあれこれを、万博取材担当記者が紹介する。
休憩&クールダウンには、ミスト扇風機や「氷のクールスポット」利用を
取材日となった8月某日は33度と、比較的過ごしやすく、熱中症で運ばれていく人を見ることはなかったが、残暑が厳しいなかでは熱中症になる危険も。そのため、会場ではさまざまな熱中症対策がなされていた。まず、基本的に日中は日影があまりない万博内では大屋根リングの下は大きな日よけ&休憩所として大活躍。さらに、ミストが発するパビリオン(いのちパークなど)や、大型ミスト扇風機も涼を誘う。

ダイキン工業が手掛ける「氷のクールスポット」も見逃せないクールスポット。自然エネルギーを利用した休憩所で、格子を使った開放的な木造建築の中に、表面温度が3~8度の「氷パネル」を設置。中に入るとひんやりとし、まるで氷の中にいるよう。中には座るスペースもあるが、座らずとも中に入るだけでも涼がとれ、疲れもとれる。会場の南西部に位置する「進歩の広場」にあるので、要チェックを。

ほかにもこんなユニークな休憩スポットも。大手自動車メーカー「ヒョンデ モビリティ ジャパン」は、休憩スポットとして電気バスを設置。「会場内を走るの?」と近くにいたスタッフに質問する人もいたが、こちらは動くことはなく、休憩専用。中は公営バスのようなシートだが、涼をとりながら座るには十分な座り心地だった。しかも電気バスのバッテリーからUSBポートで充電もできるという優れた休憩スポットでもある。スマホの充電が心配な人にもおすすめだ。国内メーカーでは、いすゞもEVバスを利用した休憩所を提供している。

もちろん、この暑さの中、訪れるのであれば、事前に日焼け止め、そして、陽射し対策の帽子や日傘、サングラス、ハンディクーラーなどの用意も忘れず。給水所や飲み物の自動販売機も多いので、水分補給はしっかりと。
レストランやカフェ利用だけ、と割り切っていくのもあり
相変わらず、人気パビリオンは行列しているところも多いが、「最近は展示スペースのパビリオンとレストランの入場を別々にするところも増えていますよ」と万博マニアでEXPOサポーターズのmiyaさんが教えてくれた。パビリオンによっては展示を見ないと、レストランに入れないところもあるが、入り口が別々のところは、レストランやカフェの利用だけが可能なところもある。
6月26日に再オープンした「アンゴラパビリオン」では、展示のほうには行列ができていたが、レストランスペースは昼12時にも関わらず、並ばずすんなりと入れた。
暑い中、パビリオンに長時間並ぶのは辛い……という人は、パビリオンの外観だけで雰囲気を味わいつつ、食べ物をメインに、という楽しみ方もありだろう。
記者が注文したアンゴラ料理「フェイジョアダ」(1950円)。粘り気が少なく、パラパラとした「パスマティライス」に黒豆と豚肉のシチューをかけている。
人気のミャクミャクグッズは、会場内のあちこちで買える
発表当初は、気持ち悪いといわれていたミャクミャクだが、いまとなっては大人気。万博会場では、トイレや自動販売機など、あちこちにミャクミャクのデザインを見つけることができる。カチューシャなど、身に着けて万博を楽しめば、よりテンションも上がる。
以前訪れたときはおみやげを買うのも一苦労で、とくにオフィシャルストアはいつも行列ができており、ミャクミャクグッズを買うのにも並ぶ必要があったが、いまは、そこまでの行列はない。miyaさんによると、会場内で公式グッズを買える販売スポットが増えたらしいので、購入しやすくなった。

とはいえ、品揃えはやはり東ゲートと西ゲート近くにあるオフィシャルショップが充実。各ゲートに各2店舗、計4店舗があり、ミャクミャクのぬいぐるみやキーホルダー、お菓子などを販売している。レジの台数は多く設置されているが、新しいグッズが出ると並ぶことも。東、西各ゲートとも、夜間なら比較的空いている。支払いには現金が使えないので、クレジットカードや電子マネーなどを用意していこう。
やっぱり万博は、夕方以降が狙い目
以前から「夜は比較的空いている」と言われてきたが、この日も17時以降は多少昼間より空いている印象。人気のパビリオンも夜なら入れることも。
記者は19時過ぎに東ゲートをうろうろしていると、大人気の「大阪ヘルスケアパビリオン」から、「いまなら予約なしで入れますよ〜」と呼び込みの声が聞こえた。大阪ヘルスケアパビリオンは予約必須と言われていたが、これはチャンスと入場口へ行くとすんなり中に入れた。それ以外も夜なら、並ばずに入れるパビリオンもあるので、時間が許すのであれば、予約が入れられなかったからといってあきらめず、夜まで粘るという手も。
また、夕方になるとパビリオンの前でダンスや生演奏が行われることもある。イタリア・バチカンパビリオンや、マレーシアパビリオンでは建物前に特設ステージが設置され、伝統的な音楽に合わせた踊りが披露されていた。万博自体がちょっとした海外旅行のような感じだが、ショーはその気分をより高めてくれる。並んでパビリオンに入らなくても見られるショーは、お得さ◎!

夜は比較的涼しく、外でビールを飲むのもオススメだ。「大阪ヘルスケアパビリオン」では生ビールが500円で販売され、外に設置されたイートスペースで飲食ができるので、ちょっとしたビアガーデン気分も味わえる。
夏休み中、毎日上がる花火も話題だが、大屋根リングから、各パビリオンの個性的な夜景を眺めるだけでも十分贅沢な気分になり、満足度が高い。万博のいいとこどりをするならやはり、夕方以降が狙いめだ。


泣いても笑っても、万博は残りあと2か月弱。できるなら、もっと長く開催してほしいと思うほど内容は濃く、見切れないほど充実している価値のあるイベント。ここでしか味わえない、期間限定の世界のお祭りを、いまからでもぜひ味わってみてほしい。
取材・文/廉屋友美乃