
秋風が心地よくも、肌寒さを感じる日も増えてきたこの季節。少しだけ暖を取りたいけれど、まだまだ本格的なエアコン暖房は早い気も…。そんなときに役立つのが、通年部屋に出して置けるタイプの暖房器具です。この時期におすすめの、それも暖房以外にも使える機能がついた1台2役以上の暖房器具を家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらいました。
温風+涼風、サーキュレーター+温風etc.ーー1台2役の暖房器具
今、通年部屋に出しておける、温風も涼風も出せる1台2役以上の家電が増えているとのこと。具体的にはどのような機能の組み合わせがあるのでしょうか。


「1台2役の組み合わせはいろいろですが、1台で温風と涼風が送風できるもの、サーキュレーターにヒーター機能が搭載されたもの、ヒーターに空気浄化(清浄)機能が搭載されたもの、ヒーターに衣類乾燥機能が搭載されたものがあります。
これらは冬の寒い時期だけでなく1年中使えるので、オフシーズンにしまう手間が省けたり、機能の異なる家電を複数台用意したりする必要がないことが大きな魅力です」(田中さん・以下同)
ヒーターゆえに電気代は高いが、サーキュレーターとして使えば節約に
さて、気になる電気代は。エアコン暖房に比べて消費電力は少ないのでしょうか?

「残念ながら、答えはNO。1台2役の暖房家電の多くが温風を出すためにヒーターを使用しています。ヒーターは消費電力が1000Wを超えるものが多いので、電気代は高くなってしまいます。あくまでエアコンやストーブのような全体暖房を使うとき以外の“サブ暖房”と考えたほうがいいでしょう。
ただし温風を遠くまで送風できる『サーキュレーター×温風』タイプなら、全体暖房と同時に使用することで暖房効率が上がるので、エアコン暖房の設定温度を下げるなどして、電気代や燃料代を抑える効果が期待できます」
数ある多機能型のヒーターの中でも、田中さんが今注目しているものは、次の2つの新製品。どちらも扇風機とヒーターの機能があり、場所を取らないコンパクト設計で、1年中出しっぱなしにしておけます。
【1】パナソニック『ナノイーX搭載ファンヒーター Hot&Cool DS-FWX1201』

9月下旬に発売したこちらの製品は、ヒーター、扇風機、空気清浄やニオイ除去などの空調として、1台3役で使えます。
ひざ下を包み込むように暖めながら、「ナノイーX」で空気の汚れやニオイを抑制

「直径16cm、高さ54.5cmとスリムなので、場所を選ばずに置きやすいセラミックファンヒーターです。本体近くを流れる空気を、本体に沿って引き込む『コアンダ効果』を活用し、左右のスリットから広範囲に広がる気流を生み出します。首振り運転をしないでも左右に風向きを変えてくれるので、足元に置いておくとひざ下を包み込むように暖めてくれます。
さらに『ナノイーX』が菌やウイルス、アレル物質、PM2.5などの空気の汚れを抑制し、ニオイも除去。『暖房+ナノイーX』のほか、『涼風+ナノイーX』『ナノイーなし』などの組み合わせで運転できます」
風量の切り替えも可能で、温風(ヒーター)時は5段階、涼風(扇風機)は7段階、調節可能。温風時の消費電力は、510W~1200Wです。
【2】シロカ『HOT&COOL サーキュレーター ポカクール』

シロカより10月5日に発売された新製品。扇風機、サーキュレーター、ヒーター、衣類乾燥機と、1台4役をこなす空調家電です。冬はヒーターとして、「温風」運転。3段階で暖かさを調節できます。夏には「送風」運転で扇風機として、7段階の風量調節をしながら使うことができます。
ヒーター、扇風機、サーキュレーター、衣類乾燥機の1台4役

「風の質にもこだわりがあります。同社独自の『ふわビューンUZU(うず)』構造で、温風(ヒーター)は約3.5m先まで、送風(扇風機)運転では20m以上先まで風を届けることができます。
衣類乾燥モードとサーキュレーションモードは、季節によって送風と温風を選べ、同時に2つの機能を使えます。例えば冬場はサーキュレーションモードで温風を出せば効率的に空気を循環でき、節電にもつながります。部屋の隅まで温風が届くので、リビングのサブ暖房や小部屋のメイン暖房として使えます。
衣類乾燥モードで温風を選ぶと、自然乾燥と比べて最大82%、乾燥時間を短縮。約2kgの洗濯物を約120分で乾燥できます。さらに衣類乾燥モード時には、マイナスイオン発生器『イオニシモ』からマイナスイオンとオゾンを発生させ、空気中のニオイ成分やカビ菌、さらにアレル物質を軽減して生活臭や部屋干し臭を抑制できます」
消費電力は、送風時は約2W~38W、温風時は約400W~1200Wです。
どちらの製品も、冷えがちな足元をダイレクトに暖めてくれるので、冷え性の人には最適です。真冬にはもちろん、少しずつ冷え込み体調を崩しやすい今の時期にも、デスクやソファの前などに置いておきたいもの。持ち運びができるので、部屋間の移動にも困らないでしょう。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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