「コミュニケーション」に苦手意識を持つ人が多いなか、「顔を動かす」ことで“誰でも”コミュニケーション能力をアップさせることができるという、表情筋研究家の間々田佳子さん。その具体的な実践法を、間々田さんの著書『伝わる顔の動かし方』(光文社)から一部抜粋、再構成して紹介します。
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顔の上半分を動かすことを意識しよう
人間の顔は約50の表情筋で構成されています。私たちは体を動かすとき、肩やひじ、股関節など必要な関節を動かして筋肉を伸び縮みさせますが、顔の関節は、あごにある「顎関節」の1カ所のみ。
日本語が口もとだけで発音できる言語であることもあいまって、どうしても力を入れやすいあご周辺の筋肉を使いがちになり、逆に、顔の上半分の筋肉は放置しがちになります。
あごを使って顔の筋肉を横や下方向に引くので、頬や口角は下がり、加齢によっても顔の下半分が伸び……こうして、顔の下半分ががっちりした、三角形に広がった顔になっていってしまうのですね。
コアフェイストレーニング(*編注/間々田氏が考案した体ごと表情筋を鍛えるメソッド)では、ざっくり言って「上向きに走る筋肉群」をしっかり使えるようにトレーニングしていきます。
逆に、これまで無意識に使いがちだった「横や下向きに走る筋肉群」はできるだけ使わないよう、うまく力を抜けるように練習します。具体的には頬や目のまわりの筋肉、つまり、顔の上半分をもっとしっかり使うということ。
トレーニングを通して表情筋をコントロールできるようになれば、顔の表現力を高められますし、それこそ、コミュニケーションにおいて絶大な力を発揮する「TPO顔」をつくれるようになるのです。
意識したいのは「大頬骨筋」と「口角挙筋」
正面から見た顔の筋肉図をご覧ください。
「眼輪筋」と「口輪筋」はそれぞれ、両目と口をドーナツ状に取り囲んでおり、この3つは生命活動を送るうえで頻繁に使われます。
さまざまな筋肉があるなかで、積極的に使いたい筋肉はまず、顔を上方向へ引き上げる力をもつ「大頬骨筋」と「口角挙筋」。
また、目の閉じ開きをコントロールする「上眼瞼挙筋」と「眼輪筋」、口の締まりをよくする「口輪筋」。滑舌をよくする「舌筋」もコミュニケーション力アップのためには欠かせない、しっかりと動かしたい筋肉です。
これらを適切に使えるようになると、表情にバリエーションが生まれます。