タレント、そして作家として活躍する青木さやかさん(50歳)が、9月に『50歳。はじまりの音しか聞こえない: 青木さやかの「反省道」』(世界文化社)を上梓。50歳を迎えて執筆した最初の著書ということで、本書に込めた思いや50代をどう過ごしていきたいかという思いについて、憧れの先輩の話題を交えながら語っていただきました。
同世代の生き方から勇気をもらっている
50歳目前の失恋エピソードを軸に、自身の生い立ちから近況までをウィットに富んだ表現で軽快につづった本書。“青木さやかの「反省道」”という副題は、もともと表題予定だったことが出版記念イベントで明かされたほど、この1冊のカギといえる言葉です。
仕事や生活の中での気づきから生まれた、「嘘つかない」「悪口言わない」「顔つき(柔和に)」「態度(優しく)」「言葉づかい(丁寧)」「約束を守る」「感情を出さない(怒りなど)」「不貞腐れない」という、8つの決め事を5年ほど前から心がけると決めたのだとか。
自己肯定感が低かったと語る青木さん。「反省道」の先には、自分で褒められる自分になることで「もっと自信をもって50代を過ごしたい」という思いがあるのだといいます。
「一歳上の先輩の光浦(靖子)さんがカナダに留学されたとき、そういう思い切った選択もあるのか、と思いました。私は自信がないからか、他人軸で生きてきたからか、自分が一番やりたい、楽しいことを選択することが苦手。というか、何がやりたいのかも、よくわからなくなった30代、40代でした。50代という年齢で思い切って何かをスタートする人たちの存在には勇気をもらっています」(青木さん・以下同)
同世代の生き方から勇気をもらうこともある青木さんが、未来の自分の姿として掲げるのは“堂々として生きていく”ということ。では、50代になったばかりの青木さんが、人生の先輩として憧れる存在は?
「年上のかたとお話させていただく機会も多いので、自分の糧として取り入れていきたいと思っているんですが、例えば、大地真央さんはとてもスマートなかた。舞台で共演させていただいたときに、誰に対しても態度や話しかたを変えることなく、一定でいらっしゃることがすごく印象的でした。
常に機嫌がよくて、楽しい雰囲気をもっていらして。おしゃれでかわいくて、やっぱり、かっこよくて。身なりも姿勢も。背筋がスッと伸びる感じがします」
自分のことがわかってきて自分と付き合いやすくなった
また、過去に肺がんやパニック症などの病気を患っていた青木さん。わざわざいうことではないと病気について黙っていたそうですが、「隠しているときの方が疲れてしまった」といいます。
「少しの嘘をつくと、また嘘をつかなくてはならなくて、だんだん本当のことを話せなくなるなぁと思いまして。だから自分がバーンと言っちゃうっていうのが、自分が楽になる秘訣」と、話します。そんな青木さんから名前が上がったもう一人の先輩が清水ミチコさんです。
「清水さんはとてもひょうひょうとしているというか、彼女が書いたり喋ったりすると、結構重たい話題も、とても軽やかに聞こえてくるところがあるんです。こっちが重たい話をしても、すごく軽やかに受け止めて、笑いに変える技術というんでしょうか。もうダメだなって思っちゃうようなことでも、話したこちら側も大した問題じゃないような気がしてくる、あの感じがすごく素敵だなと思いました。深刻にしないという気遣いが素敵です」
青木さんは、尊敬する先輩たちから「年を重ねることがとても楽しくなってくるよ」と言われていたそう。40代の頃にはピンとこなかったといいますが、50代になってその言葉の意味がわかってきたような気がする、と話します。
「自分自身のことがちょっとわかってきて、自分と付き合いやすくなったのかもしれません。こういうことにストレスを感じるとか、こういうことにやたら興奮するとか、これがうれしい、これに傷つく、ということが具体的にわかってきた。それによって問題を回避できるようになってきたので、以前より気が楽になったように思います」
◆タレント・女優・青木さやかさん
1973年3月27日生まれ。愛知県出身。タレント・俳優・エッセイスト。大学卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントになり、「どこ見てんのよ!」のネタでブレイク。2007年に結婚、2010年に出産、2012年に離婚。現在はバラエティー番組やドラマ、舞台などで活躍し、動物保護活動にも力を注いでいる。著書に『母』(中央公論新社)、『厄介なオンナ』(大和書房)、『母が嫌いだったわたしが母になった(KADOKAWA)など。最新著は『50歳。はじまりの音しか聞こえない: 青木さやかの「反省道」』(世界文化社)。https://twitter.com/aokisayaka0327
撮影/黒石あみ