
いよいよ本格的な冬に突入した韓国ですが、寒さに関係なく日本からの旅光客は増え続けています。今回はそんな旅行者さんたちにおすすめしたい魅力的な韓国土産の新定番を、韓国ソウル在住のライター田名部知子さんに紹介してもらいました。
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円安と物価の高騰で、体感はコロナ前の2.5割高
一度来るとすぐにまた来たくなるほど魅力的な韓国ですが、現在は渡韓歴100回超えの私もかつて経験したことがないほどの円安で、11月末には一時100円 = 838ウォンまで落ちてしまいました。コロナ後、数年ぶりに日本からきた旅行者たちは、食事や買い物などを通して物価がはね上がっている様子を目の当たりにし、皆さん一様に驚いています。
私の体感としては、ソウルは何を買うにしても円安と物価高でコロナ前より2.5割高のイメージです。10月からはソウル市の地下鉄料金も1250ウォン→1400ウォン(交通カード使用時の料金)に値上がりしました。そんな円安の状況でも楽しく買える、プチプラでかわいくておいしい、そしてまだあまり知られていない韓国土産をご紹介します。
女性に嬉しい効能がたくさん!『ナツメチップス』
私は現在、西江(ソガン)大学が運営している韓国語の語学専門学校に通っていますが、授業の合間の休み時間の間食として、市場で買ったナツメチップスを毎日ポリポリおいしく食べています。

やさしい甘みのナツメチップスですが、なつめには葉酸や鉄分、ミネラル、ビタミンB群、食物繊維、たんぱく質などの栄養素がバランスよく豊富に含まれていて女性のおやつにピッタリ。ビタミンCも豊富で、中国でははるか昔から、「1日に3粒のナツメを食べると一生老いない」といわれ、かの楊貴妃が好んで食べていたという話でも有名です。私はヨーグルトと一緒に食べたり、紅茶に入れてアップルティーのような味わいを楽しんだりしています。

市場やデパート、マートなどあちこちで買うことができますが、私が足繫く通うのは、乾物市場として有名な中部市場の心興商会(シヌンサンフェ)という乾物屋さんです。食べ歩き市場として有名な広蔵(クァンジャン)市場から徒歩5分ほどのところにあります。ナツメチップスは、陳列用のビニールから出して高級感のあるジップ袋に詰め替えてくれるのでお土産としての見栄えはいいのですが、かさばることとちょっと重い点がデメリットです。

商品をぼんやり見ていると、かわいいおばあちゃん社長が飛んできて試食をすすめられます。フルーツや野菜自体の味が凝縮されたさまざまなドライフルーツやドライベジタブル、普通の味と辛い味の2種類があるさきいか、熟した度合いが異なる干し柿も常時数種類並んでいるので、ぜひ試食してみてください。
オクラやゴーヤといった珍しい野菜のチップスもあるのですが、中には検疫の問題で日本へ持ち帰れないものもあるので、詳しくは日本の植物防疫所のHP(https://www.maff.go.jp/pps/index.html)で確認してください。ちなみにナツメチップスはドライフルーツなので持ち帰りOKです。

◆DATA
店名:新興商会(シヌンサンフェ)
商品名:ナツメチップス
価格:7000W
住所:ソウル特別市中区 五壮洞 127-1 中部市場内
アクセス:地下鉄2号線乙支路4街(ウルチロサガ)駅7番出口 徒歩3分 地下鉄5号線東大門歴史文化公園(トンデムンヨクサムナゴンウォン)駅7番出口 徒歩6分
営業時間:5時~20時(日によって異なる)
定休日:不定休/旧正月、秋夕(チュソク)ほか
フランス小麦を使ったユニークな韓国フィナンシェ『BRICK SAND』
ソウルでは、江南(カンナム)駅、ソウル駅、三清洞(サムチョンドン)仁寺洞(インサドン)の4店舗(2023年12月現在)を構える焼き菓子店『BRICK SAND』は、2020年にオープンした韓国発祥のスイーツブランドで日本未上陸。レンガをモチーフにした小ぶりのフィナンシェが人気でいつも行列が絶えません。

外はカリッ、中はしっとりとした食感のフィナンシェは、アーモンドの香ばしさとバターの風味を楽しむことができ、焼きたてがおいしいのはもちろんですが、時間が経ってさらにしっとりさが増した状態もまたいいのです。
常時12種類のフレーバーがありますが、私が特におすすめしたいのはフィナンシェと分厚いチョコレートバーが一体化したシリーズ。フィナンシェにチョコレートバーだなんてしつこい味なのかと思いきや、食べてみたら見事な味のバランスに感動します。日本のフィナンシェに比べて小さいので、さらにもう1個食べたくなるおいしさです。常々、韓国のスイーツの味には疑いの目を向けがちな私ですが、ここは本当におすすめできる品のいい味です。

店内はイートインもできて、写真映えするスポットもたくさん。韓国でもまだあまり知られていないブランドなので、韓国人へプレゼントしても喜ばれます。材料にもこだわっていて、フランス産小麦粉やゲランドのバターなどを贅沢に使用していて、初めて食べた時は新宿伊勢丹の地下にある有名フィナンシェ店の味を思い出しました。1つ1つ個包装されていてかわいいい箱やラッピングもできるので(有料)、特別な人へのお土産にいかがでしょうか。

◆DATA
店名:BRICK SAND
価格:ベーシック2000W、ダークブリック(チョコレート)、ダルコムブリック(塩キャラメルチョコ)各2600W、ココブリック(ココナッツ)2800W
店舗:ソウル市内では江南駅、ソウル駅、三清洞店、仁寺洞店
営業時間:10~19時/日、月定休(店舗により異なる)
フィナンシェの賞味期限:製造日から7日(冷凍庫保存で14日)
パッケージよし味よし!バラマキ土産の新定番に兵隊クッキー『ビチョビ』
次にご紹介するのは、ビスケットに柔らかい板チョコが挟まった『ビチョビ』というお菓子です。これは授業中に先生がクラス全員の生徒に配ってくれたお菓子なのですが、あまりのおいしさに、私含めクラスメイトの日本人3人全員が即クパン(Amazonのようなショッピングサイト)で大量購入したというほどです。

コンビニだと置いていないところも多いのですが、大型マートにはたいてい置いてあります。ビスケット+チョコ+ビスケット=ビチョビ、というのがネーミングの由来なのですが、チョコレートは硬すぎず、ビスケットはサクサクで美味。外側のパッケージはいたって普通なのですが、中の個包装のパッケージの絵柄がなかなかのインパクトでかわいくて、1個がかなり大きいので(約15㎝×5㎝:袋の大きさ)、ばらまき土産として渡しても決して貧相ではありません。 外箱の形状が薄くてパッキングしやすく、軽くてかさばらない点も魅力です。もちろん割れてしまうこともあるのですが、このビスケットの特性上、粉々にはならないので割れてもおいしく食べられます。

◆DATA
商品名:ビチョビ(オリオン)
価格:5個入り~3600W(店舗により異なる)
オリーブヤングの大ヒット商品! 洗練されたパッケージと味が魅力の『ハニーヤックァ』
韓国版マツキヨとして知られるコスメショップ・オリーブヤング(注・医薬品の取り扱いはありません)。手頃な価格で最新の韓国コスメが買えることから、日本人観光客にも年齢を問わず人気です。そんなオリーブヤングでコスメと同じぐらい注目を浴びているのがオリーブヤングオリジナルのお菓子シリーズ。
様々な味のベーグルチップスが有名ですが、今回ご紹介するのは韓国伝統菓子「ヤッカ(薬菓)」をひと口サイズにしたかわいい『ハニーヤックァ』。あまりの人気で品薄店続出なため、見かけたらぜひ買っていただきたいです。
パッケージもかわいくて、中身は普通のヤックァに比べてかなり小ぶり。さらにはちみつがたっぷり絡めてあるので、手がベタベタになるのを覚悟で食べてください。甘さ控えめでカロリーも6個で395kcalとヤックァにしては低め。少し温めても冷蔵庫で冷やしても違ったおいしさが楽しめます。

ヤックァとは、花をモチーフにした韓国の伝統揚げ菓子です。見た目は中国の月餅に似ていますが、小麦粉、ごま油、はちみつで作られた生地を型抜きし低温の油で揚げているので、食感はしっとり。味はちょっと甘めのしっとりドーナツといったところでしょうか。韓国ではコロナ前からZ世代を中心にレトロブームが起き、昔からあるおばあちゃんのお菓子ともいえるヤックァに注目が集まり、ヤックァを使ったカフェメニューもブームとなっています。

◆DATA
商品名:HONEY YAKGWA(ハニーヤックァ/オリーブヤング)
価格::4600W(6個入り85g)
夜食にも最適!罪悪感の少ないヘルシーな『カップヌードル』
韓国人も日本人に劣らず無類のラーメン好きな国民ですが、韓国のダイエット女子に大人気なのが、春雨を使ったヘルシーカップ麺『カップヌードル』。どこかで聞いたことがあるようなネーミングですが、手軽に食べられておまけにカロリーも低く(120kcal/37.8グラム)、食べると意外に満腹感があります。

私は卵を落としたりネギを入れたり茹でたもやしを乗せてかさ増しして、立派な一食の食事として食べることもあります。魚介だし風のスープがおいしくて、私はたいていスープを全部飲み干してしまうほど。お土産としてはかさばるのですが、軽いので日本から来た友達へ気軽なお土産として渡しています。
味のバリエーションも辛い味(写真)、チムタク味、ロゼ味、チャジャン味、ベトナム風サルグッス味・・・など豊富で、コンビニ、マート、デパートなどどこでも買うことができます。
◆DATA
商品名:「カップヌードル」(オットゥギ)
価格:約1800W(37.8グラム)
韓国語を勉強している友人に喜ばれるプチプラノート
ソウルには可愛い文具店や雑貨店が、日々どんどん増えています。そこで韓国語の勉強をしている友人へのお土産として喜ばれるのが、雑貨店や大型書店の文具コーナーで買える韓国っぽいノートたちです。女性はいくつになっても文房具好きですよね。韓国っぽいちょっとかわいいノートを使うと勉強のモチベーションも上がると評判です。
薄手のノートならかさばらないし、1000Wでもキュートなカカオフレンズのノートなどを買うことができるんです。房具・雑貨などを取り扱う大型チェーンの「ARTBOX」や、韓国を代表する大型書店「教保文庫(キョボムンゴ)」の文具コーナーなどで、探してみてください。

円安と物価高の韓国では今、かつてのように市場でプチプラ衣類やアクセサリー、コスメの爆買いを楽しむことは難しくなってしまいましたが、今回紹介したような安くて軽くて見栄えのいいお土産もまだまだたくさんありますので、韓国に遊びにきたら、ぜひ探してみてください。
※商品の価格、営業時間や定休日などは変更の場合があります。
※1000ウォン=約108円(2023年12月現在)で計算
◆ライター・田名部知子

『冬のソナタ』の時代からK-POP、韓国ドラマを追いかけるオタク記者。女性週刊誌やエンタメ誌を中心に執筆し、取材やプライベートで渡韓回数は100回超え。韓国の食や文化についても発信中。2023年1月、韓国ソウルで留学生活と人生初めての一人暮らしをスタート。大学が集まる新村(シンチョン)にある西江(ソガン)大学の語学堂に通う。twitter.com/t7joshi
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