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極貧生活から「歩く百億円」になった88歳女性社長に学ぶ、お金儲け上手になる考え方「100円でも余計な散財はしたくない」

ピンクの服を着た女性
吉川幸枝さんが明かす「お金に対する考え方」
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88歳の今も社長として活躍する吉川幸枝さんが上梓した『人生は80歳からがおもしろい』(アスコム)。本書では、吉川さん流の楽しく人生を送るための考え方が綴られています。貧しい家で育ちながらも、リアリティ番組『¥マネーの虎』に出演し「歩く百億円」と呼ばれるまでになった吉川さんのお金に対する考え方を学び、これからの人生を充実させるヒントにしてみませんか?

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定年後も働くことのメリット

人生100年時代に楽しく人生を送るにはお金と健康が必要と語る吉川さんは、「時代の変化をイメージしたら、『80歳はもう働けない』という固定概念を外した方がいい」と、定年後も働き続けること推奨します。

「歳をとって働くことは、大変です。わかります。でも、それ以上に、『生きがい』を見つけるって、けっこう大変なことなんです。しかし、働くことで誰かに必要とされていることを感じられる。これは生きる力になります」

また、定年後は家族以外と関わる機会が減ってしまう、ということもあるでしょう。それも、仕事のために外に出たら、いろいろな世代の人と触れ合うきっかけになると話します。

ハートを手のひらにのせている
定年後も働くことはお金だけでなく人とのふれあいを増やすことにも(Ph/photoAC)
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お金を稼ぐ方法は収入を得ることだけではない

ただし、吉川さんの考える「お金を稼ぐ」ということは、働いて「収入を得ること」だけではないのだそうです。

「稼ぐということは、『入ってくるお金』の話だけじゃありません。『出ていくものを少なくする=節約』も、れっきとしたお金儲けです」(吉川さん・以下同)

では、社長である吉川さんが実践している節約とは、どんなことなのでしょうか。

出ていくお金を減らすのが金儲け上手

「頭を使って、出ていくはずのお金を出ていかせずに済ませるのが、本当の節約であり、金儲け上手というものです」と語る吉川さんが教えてくれたのは、仏間に飾る提灯を買いに行ったときのエピソードです。

伝統工芸として名高い岐阜提灯を買いに行った吉川さん。提灯は2つセットで買うと16万円となかなかの金額に…。しかし、その店ではバラで売れた提灯の売れ残りが1個3万5000円で売られていたそうです。

「色違いで不格好かもしれませんけど、提灯そのものの品質が劣るわけじゃなし、色を揃えないと仏様に対して失礼にあたるというわけじゃなし。だとしたら、『色をそろえて16万円』より、『色違いで7万円』のほうが、出費を9万もおさえられてはるかにお得。そう考えたの」

「ちょっと考えることで節約できるものは節約することも、お金を増やす方法の1つです」と話す吉川さんは、生活を切り詰めたり、ほしいものを我慢したりということは、心を貧しくする単なる我慢だと語ります。

自動販売機
社長が説く、節約と我慢の違い(Ph/photoAC)
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一方で、外出先で喉が渇いたとき、自動販売機で飲み物を買うか、家に帰るまで我慢するか、というとき、吉川さんは後者を選ぶそうです。

「具合が悪くなるほど我慢してはいけないけれど、そうでもないなら、100円でも余計な散財はしたくないというのはお金儲けとしては正しい発想。こういうことの積み重ねが、大きな財につながっていくんですよ」

節約は脳トレ感覚で楽しむ

吉川さんは「お金持ちほどケチ」だと話しますが、それは「稼ぐことがどれほど大変か、わかっているから」なのだそうです。

「『たった100円』と思うか、『されど100円』と思うかで、お金に好かれる人になれるかどうかが決まってきます」

「歩く百億円」と呼ばれた社長が100円にこだわるのは、意外でしょうか。

「はたから見れば、何億と稼いで、バケツに水がいっぱい入っているように見えるかもしれないけれど……出ていくものを考えたら、純利益はバケツをパッパと振って、底に残った一滴、二滴に過ぎません」

続けて、吉川さんはこう語ります。

「その一滴、二滴を守るために、工夫して、節約して、赤字を出さないようにする『一旦赤字になったものを取り戻すのは並大抵ではない』と自分に言い聞かせて、1円でも黒字になるよう、日々努めていく。経営者だろうとそうでなかろうと、お金に対しては、常にこのような向き合い方をするようにしたいものですよね」

コップから飛び出す水滴
吉川さんは、純利益は一滴二滴に過ぎないと語る(Ph/photoAC)
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そして、節約の成功体験が増えることで、「あなたの脳みそちゃんは、節約脳になっていきます」と吉川さん。脳トレ感覚で楽しんで実践するのが、楽しみながら節約をするコツのようです。

卑屈にならずに気概をもってお金に向き合う

13人きょうだいの末っ子として生まれ、早くに父を亡くしたことで、吉川さんはとても貧しい幼少期を過ごしたそうです。それでも泣き言の1つも言わず、子供たちを育て上げた吉川さんの母親は「金がないのは、首がないのと一緒」とよく口にしていたそうです。

人間にとって一番大事な頭がないのと同じ、それがなければ何もできないくらい大変なことだと受け取っていた吉川さんは、自身の解釈を語ります。

「私なりの言い方に変えたら、『お金がないのは脳みそがないのと一緒』『脳みそがなければ、何も考えられなくなり、今よりもっと貧しくなってしまう』となります」

つまり、「お金がないならなおのこと、頭を使って考えることが大切」ということです。

「頭を使って知恵をつけて、『首』をなくさないようにすることが、やがてお金につながっていくんだって、そう思えてきます」

頭のイラストと本や勉強道具
頭を使って知恵をつけることがお金につながっていく(Ph/photoAC)
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「今さら金持ちになれない」などと卑屈になってしまえば、儲けるチャンスも遠のいてしまうというのが吉川さんの考え。お金に困っているときほど、自分を奮い立たせ、「何歳になっても、『このままじゃ終わらないぞ』っていう気概を持ってほしいんです」と吉川さんは話します。

「私が、貧しさから這い上がって稼げるようになったのも、この気持ちがあったから。お金をたくさん稼ぐのは、その人の能力や運もあるでしょうが、逆に能力や運を連れてくるのも、あなたの心1つなんですよ」

◆教えてくれたのは:吉川幸枝さん
よしかわ・さちえ。愛知県出身。株式会社よし川代表取締役社長。歯に衣着せぬトーク力と数々の大きな宝石を身にまとうスタイルで『¥マネーの虎』をはじめ、多くの番組に出演。メディアで人気者になり、「歩く百億円」と呼ばれるように。現在88歳ながら、骨年齢20歳、臓器年齢20代前半、血管年齢子ども、髪ふさふさ、虫歯なしの体で現役社長として活躍している。https://yoshikawa-sachie.co.jp/

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