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「歩く百億円」88歳女性社長が語る人生を充実させる方法「生前整理や老後整理には賛成できない」理由

ピンクの服を着た女性
吉川幸枝さんが語る人生を充実させる方法
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リアリティ番組『¥マネーの虎』など数々のメディア出演をきっかけに「歩く百億円」と呼ばれ、88歳の今でも現役社長として活躍している吉川幸枝さん。著書の『人生は80歳からがおもしろい』(アスコム)で、120歳まで生きるつもりだと語った吉川さんですが、これまで積み重ねてきたたくさんの経験を踏まえて、どんなことを大切にして生きているのでしょうか? これから先の人生を充実したものにするための心得を、吉川さんから学びます。

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吉川さんが気分を上げる方法2つ

「88年をご機嫌に過ごしてきた」という吉川さん。どうしても孤独になりがちなシニアは「楽しくいられるよう、自ら努力することが必要になってくる」と話します。

とはいえ、ものすごく頑張る必要はないそうです。吉川さんが自分を楽しませるために行っていることとは「大好きなものを食べながら、大好きなドラマや映画のビデオを観る」ことだそうです。

「シンプルですけど、手っ取り早く気分を上げるには、もうこれに限ると言っても過言じゃありません」(吉川さん・以下同)

笑いが体に与えるいい効果

笑いはいい効果を与えてくれるため、観るなら特に大笑いできるものがいいそうです。その効果とは、例えば「脳が活性化」「血行促進」「自律神経が整う」「筋力アップ」「幸福度アップ」など。

大笑いする女性
笑いにはたくさんの健康効果がある(Ph/photoAC)
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また、大阪府立健康科学センターの研究で、笑いは認知機能にも関わることがわかったそうです。ほぼ毎日笑う人と、ほとんど笑わない人とでは、後者は前者よりも1年後に認知機能が低下した人が3.6倍以上もいたといいます。

「とりわけ、嫌なこと、忘れたいことがある場合は、頭を使うことを一切やめて、自分のすべてをテレビに預けるようなつもりで観るといいです。悩みや嫌なことが脳みその外に追い出されて、自然と気持ちがラクになるはずです」

悩みごとをあれこれ考えて、気分が沈んでしまう前に、意識して頭を空っぽにしてみることを意識してみましょう。

大好きな食べ物は自分へのご褒美にも

また、生ハムメロンが好物という吉川さんは、元気を出したいとき、半分に切ったメロンに生ハムを乗せて「ガブガブと大胆にかぶりつく」という豪快な食べ方をしているのだそうです。

生ハムメロン
吉川さんのご褒美は大好物の生ハムメロン(Ph/photoAC)
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落ち込んでいるときの自分を引き上げてくれる食べ物によって、「あなたの五感を喜びで満たしてあげてほしいの」と吉川さん。苦しんで、悩んで、消耗しているのだから、医者に止められていない限りは、「多少食べすぎたって構いやしません」と力強いメッセージを送ります。

さらに、大好きなものを食べることをご褒美にして、何かやってみたいことをやるのもよいそうです。例えば、気になる店に行ってみる、行ってみたい場所を調べてみるといったことです。というのも、歳をとると、すぐ疲れてしまったり、いろいろなことをするのが億劫になったりするからだといいます。

「疲れてしまった自分を想像すると、何事もエネルギーを必要とすることをやるのは後回しにしちゃう。そんな気持ちわかります。でも、ご褒美があれば、あなたの背中を押してくれる力になるんじゃないかしら」

自分なりの心身の調子を上げる方法を見つけることが、孤独にならない自分を作ることにつながります。

チャレンジのイメージ
自分の背中を押してくれるものを見つけて(Ph/photoAC)
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生前整理や老後整理に賛成しない理由

吉川さんは、注目され続けている「片付け」に対して、思うことがあるそうです。

とくに、生前整理や老後整理としてモノを処分することに、「ちょっと賛成できない」と話します。それはなぜなのでしょうか?

思い出の品は自分の一部のようなもの

何の思い入れもないただのゴミや、いらないものを捨てて整理整頓することは必要、子供や親戚に余計な手間をかけさせないための配慮も大事だといいますが、古くても使わなくても、「思い出のある大切な品々を簡単に捨てられるわけがない」というのが、その理由。

「大切なものまで無理して捨てる必要なんかない。『迷惑をかけるから、捨ててしまおう』なんて考えなくていい。それは、自分がいなくなってから、誰かにやってもらえばいいんです」

母や息子の思い出の品など大切に思うモノは、吉川さんにとって、「ただのモノじゃなく、もう自分の一部みたいな気がする」のだそうです。

便箋とペン
生前整理は必要なないと吉川さんが考える理由(Ph/photoAC)
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本当に捨てるべきなのは心

「自分が大事だと思ったら、古着でも紙切れでも宝物です」と語る吉川さんは、こう続けます。

「1年以上使わなかったものは、役に立たないもの、今の自分に必要ないもの、だから捨ててしまいましょう、みたいな話もあるようです。でも、役に立つかどうか、使うかどうかだけで割り切れないものもたくさんあると思います。使わないけど、なんとなくもったいない、使ってないけど、捨てる勇気がないものだったら、無理して捨てなくてもいいと思うの」

そして、本来捨てるべきなのは、モノではなく心だと吉川さん。

「古くなった物品より、積年の恨みつらみや誰かを責める心を捨てたほうが、ずっと風通しよく心豊かに暮らせるじゃないですか」

人から嫌な目にあわされたり、苦しい思いをさせられたりした、という心の澱(おり)を手放すことが、老後を健やかに迎えることにつながるといえそうです。

◆教えてくれたのは:吉川幸枝さん

よしかわ・さちえ。愛知県出身。株式会社よし川代表取締役社長。歯に衣着せぬトーク力と数々の大きな宝石を身にまとうスタイルで『¥マネーの虎』をはじめ、多くの番組に出演。メディアで人気者になり、「歩く百億円」と呼ばれるように。現在88歳ながら、骨年齢20歳、臓器年齢20代前半、血管年齢子ども、髪ふさふさ、虫歯なしの体で現役社長として活躍している。

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