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66歳オバ記者がアイドルに「愛され力」を学ぶ 「“ラスボスおばさん”からクレームきたらどう対応する?」に現役アイドルの答えは?

オバ記者
『けんせつぴーあーる』というイベントに参加してきたオバ記者
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いくつになっても「愛される人」でいたいもの。ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)も、そう願うひとり。そこで、現役アイドルに「愛され力」を学ぶイベントが開催されると聞いて、潜入してきました。

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アイドルから愛され力を学ぶ

ほんと、長く生きていると面白いことが起こるよね。先日、「アイドルから愛され力を学ぶイベント、『けんせつぴーあーる』に参加しませんか?」というお誘いを受けたの。誘ってくれたのは大手建設会社に勤務している30代後半のG氏で、私は「ゲンちゃん」と呼んでいる。

もちろん私が若い人に混ぜていただく機会を逃すわけがないわよ。なのに、ふと思いついて口から出たのは「イケおじも来る?」だって(笑い)。即座に「それはないかと…」という返事が返ってきたわ。そりゃそうだよね。66歳。来月末には67歳の私に釣り合う“おじ”といったらたいがい引退しているし、現役なら役員だもの。このあたりの感覚が「60代は若造」と言われる国会でバイトしているとわかんなくなっちゃうんだよね。

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アルバイト先の国会では60代はまだ若者
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なんて前置きはいいとして、イベント会場は渋谷駅から直結しているビルの中。LINEで案内をもらったときから「これは覚悟だぞ」と緊張したわよ。私が渋谷に行くのは年に3〜5回で、ハチ公がいる方とは反対の再開発している方は、滅多なことでは足を踏み入れない。山手線のホームからして工事中だから方向感覚がおかしくなるんだって。実は私、青山に住んでいた40歳のころは渋谷は庭だったのよ、なんて口にするだけ虚しいわ。

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渋谷がもう分からない…
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さて、私は右に行くべきか、それとも左か。看板の前でスマホを開き、老眼鏡を取り出したあたりで、「ふん、新しい渋谷を作ろうとするのはけっこうだけど、66歳オバの立場になってみてよ」と毒づきたくなったところでグッとガマン。

工事にクレームを入れたことも

これから私が向かうのはビルをボンボン建てている建設業界の人たちが集まる会『けんせつぴーあーる』。そもそも参加しようと思ったのは、先日、虎ノ門ヒルズの魅力をゲンちゃんが教えてくれたからなの。その道のプロの話はなんでも面白い。で、「今回は愛されるプロのアイドルから愛され力を学びましょうというセミナーなんです」だって。

「それ、大事!」と思わずひざを打ったわよ。以前マンションのお隣が何の断りもなく、いきなり工事を始めたらうるさいのなんの。たまりかねてクレームの電話を入れたら工事の請け負い業者は「ああ、そうですかぁ」とまるで他人事。その瞬間、「あのね〜っ!」と、とてもここに書けないような罵詈雑言、イヤミ、皮肉が止まらなくなった私。「とにかく急ぎの原稿の締め切りが終わるまで工事を止めて!」と叫んでしまった。もし、あの時、工事業者の開口一番が私に寄り添うものだったら、あんなバトルはしなかったって。

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迫真の演技を見せたゲンちゃん(写真左)それを見守っているのが鍛治島彩ちゃん
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そんなことをイベント会場で思い出していたら、建築現場の映像を背景に、「どうしてくれるんだよ。わけがわからない男たちが出入りして、怖いっていう人もいるんだよ」と町会長がクレームを入れている様子を再現している。「すみません。当社の工事は…」と大きな体を2つに折ってていねいな説明をするゲンちゃん。その迫真の演技を横でじっと見守っていたのがアップアップガールズ(2)の鍛治島彩ちゃんだ。彩ちゃんは鼻でリコーダーを吹くという特技を持っているアイドルで私もテレビで見た記憶がある。

アイドルだったらどうしますか?

で、私が驚いたのはこの後よ。「こういう時、アイドルだったらどうしますか?」という投げかけに彩ちゃんは、一瞬のためらいもなく、「『いちばん怖い顔をしているのはたぶん職人のMさんだと思いますけど、Mさんは2人のお子さんのお父さんなんですよ』と言ったらどうですか?」だって。

その後も建設業の人が考えつかないアイドルのトーク力が続いて、すっかり感心してしまった私。つい本気出してしまい、「はーい、質問」と手を上げた。そして、「あのね。男のクレームなんて生ぬるいんだって。ラスボスおばさんのクレームはそんなもんじゃ済まないわよ。さあ、どう返すのよ」と、ぶっ込みました。

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オバ記者のぶっ込んだ質問にも笑顔で返してくれた彩ちゃん
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すると建設業界の若者はたちまち顔色を失い、会話がまとまらなくなって、日頃どれだけクレームおばさんにやられているのかと思ったら、ちょっと気の毒になっちゃった。さぁ、彩ちゃんはどうする!

「わあ。どうしよう。私の売りは毎日の生配信、連続2000日超えとか、泥臭く頑張っていますアピールなので、それを強調します。『こう見えて私も大変なんっすよ』と言って。おばさまは本音で話すと、すごく優しくしてくれますよ」って、いやいや、たいしたもんだわ。私だってこんな可愛い娘にふところに入られたら、なーんもいえませんもの。

あ〜あ、これから私も愛されるオバを目指して、トーク力を磨こうかしら。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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