目が悪い人でも、眼鏡やコンタクトなどを使用することで日常生活は問題なく送ることができます。一方で、見えてさえいれば、目の不調には気が付きづらいもの。そんな気が付きづらい目の不調が、実は全身の不調の引き金になることをご存じでしょうか? 眼科専門医・森下清文さん監修の元で著書『歳をとっても目が悪くならない人がやっていること』(アスコム)を上梓した、わかさ生活代表取締役社長の角谷建耀知さんに、目と全身の不調の関係性と、目の健康を守るポイントを教えてもらいました。
* * *
目の不調は日常生活に悪影響を及ぼす
目が悪くなっても、眼鏡やコンタクトレンズの使用などで視力を矯正すれば、普段の生活で目の悪さを感じることはありませんが、視力を矯正してもよく見えなかったり、物が歪んで見えたりなど、視界に異常があると日常生活にも影響が出ます。「ものがちゃんと見えなくなると生活に支障をきたすのは、私たちは情報の約9割を目から得ているからです」と角谷さん。
「目からの情報に頼っている私たちは、ものがちゃんと見えなくなると、とにかく生活が不便になります。目の前や左右にあるものをうまく認識できなければ、うまく歩くことさえできません。注意しながら歩いても、つまずいたり、転んだり、ぶつかったり……。そんなことが続けば、外出するのも面倒になります」(角谷さん・以下同)
目が悪くなり、やりたいことができなくなる「アイフレイル」
目は加齢とともに衰えますが、それによりちゃんと見えなくなると、やりたいことがイメージ通りにできなくなります。この状態を、「アイフレイル」といいます。フレイルとは、「加齢によって体や心が衰えた状態」のことで、介護は不要であるものの、自分のやりたいことが思うようにできなくなりつつある状態を指します。そして、アイフレイルはその入り口のようなもの。
「何もせずにフレイルが進行すると、やがて誰かの手を借りなければ生活できなくなります。いわゆる要支援、要介護状態になるということです」
目の健康チェックリストで自分の目をチェック
見えてさえいれば、なかなか気が付きづらい目の不調。日本眼科啓発会議のホームページに掲載されている、目の機能低下をチェックする項目に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
《目の機能低下のチェックリスト》
・目が疲れやすくなった
・夕方になると見にくくなることがある
・新聞や本を長時間見ることが少なくなった
・食事のときにテーブルを汚すことがある
・メガネをかけてもよく見えないと感じることが多くなった
・まぶしく感じやすい
・まばたきしないとはっきり見えないことがある
・まっすぐの線が波打って見えることがある
・段差や階段で危ないと感じたことがある
・信号や道路標識を見落としたことがある
「該当する項目が1つもなければ、あなたの目は今のところ健康です。正しく見えています。1つでもあれば、目の健康が怪しくなってきているかもしれません。2つ以上ある人は、一度、眼科専門医に相談することをおすすめします」