不調改善

40〜50代でも注意が必要な「フレイル」、要介護にならないための早めの対策とは?

 

ひざに手をのせている人
40〜50代から要介護の予備軍のフレイルへの対策を
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フレイルとは加齢によって心身が衰えた状態で、要介護状態の手前といわれています。65歳以上の高齢者がなりやすい傾向にあるため、親の健康状態について気にかけたいところですが、「40〜50代でもフレイルや、フレイルの手前の状態であるプレフレイルになる可能性があり、若いうちから注意が必要です」と薬剤師の山形ゆかりさん。そこで、山形さんにフレイルの診断基準や予防のための生活習慣食事、漢方薬といった対策を教えてもらいました。

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フレイルとは心身が衰えた状態のこと

フレイルの状態になると、体重減少や筋力の低下、疲労感、気力の低下などが見られ、病気にかかりやすくなったり転倒によるけがをしやすくなったりします。以前は2、3日で治っていた風邪をこじらせて入院したり、転倒による骨折がきっかけで寝たきりになったり、生活の質がいちじるしく下がってしまう可能性があります。

フレイルは早めの対策で改善可能

フレイルは病気ではありませんが、放置すると健康な人よりも介護が必要になる可能性が高くなります。そのため、早めの対策で健康な心身を取り戻すことが必要だといえます。

腰を押さえる人
フレイル予防には早めの対策がカギ
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また、フレイルの前段階を「プレフレイル」といい、こちらも早めの対策をすることが老後の健康につながります。

フレイルの改善には社会との関わりも重要

肉体的な衰えと精神的な衰えの両方を指すフレイルの原因は、運動不足や栄養不良、ストレス、うつなどのさまざまな身体的、精神的問題や、他者と関わる機会の減少など社会的、環境的な要因が挙げられます。そのため、体作りの基本となる生活習慣だけでなく、他者や社会との関わり方も変えてみるといいでしょう。

フレイルの診断基準

「2020年改定 日本版CHS基準(J-CHS基準)」では、以下のようにフレイルの診断基準が示されています(国立長寿医療研究センター「2020年改定 日本版CHS基準(J-CHS基準)」(https://www.ncgg.go.jp/ri/lab/cgss/department/frailty/documents/J-CHS2020_230427ver.pdf)

体重減少…6か月で、2kg以上の(意図しない)体重減少
筋力低下…握力:男性<28kg、女性<18kg>
疲労感…(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度…通常歩行速度<1.0m/秒>
身体活動…【1】軽い運動・体操をしていますか?【2】定期的な運動・スポーツをしていますか?上記2つのいずれも「週に1回もしていない」

この5つの評価基準のうち、3つ以上当てはまるとフレイル、1~2つが当てはまるとプレフレイル、いずれも該当しないと健常に分類されます。

高齢者に多いフレイルですが、このように40〜50代でもフレイルの初期段階やフレイルの手前のプレフレイルの状態の可能性もあります。

将来、要介護状態になるのを防ぐためには、「フレイルの自覚症状や診断の該当項目があるなら早めに対策する」「親の健康を気遣いながら、自身も予防に努める」など、若いうちから気をつけることが有効です。

いすに座る老人
親の健康を気にしながら、自分のことも考えてみて
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フレイルの予防法

フレイルを予防するには、適度な運動や社会参加、バランスのよい食事を心がけることが大切です。この3つの視点で、フレイルを予防するための方法を紹介します。

適度な運動

適度な運動をすることで筋力を維持し、身体機能の衰えを防ぐことがフレイルの予防につながります。

筋力が低下して足腰が弱ると転倒しやすくなり、打撲や骨折のリスクが高くなります。けがで体を動かせなくなるとさらに筋力が低下して足腰が弱り、介護が必要になるという状態に陥りかねません。

外出した際に、エスカレーターやエレベーターばかり利用せず、なるべく階段を使う、いつもより早歩きをするなど、日常生活のなかで運動量を増すことからはじめましょう。

階段を登る女性
運動量の増加はエスカレーターやエレベーターより階段を使うなど日常でできることから
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また、外出しない日も、自宅で簡単なレジスタンス運動(筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動)をして、体を動かすことを習慣にするのがおすすめです。自宅でも行いやすいレジスタンス運動としては、スクワットや腕立てふせ、上体起こし、かかと上げやもも上げなどがあります。

社会参加

身体機能だけでなく、気力や活気がなくなることでフレイルは進行しやすくなります。そのため、フレイル予防には気力や活気の維持に役立つ社会的なつながりをつくるために社会参加をすることが大切にしましょう。

他者とのコミュニケーションは脳の刺激になり、交流のための外出は身体機能の維持に役立つので、フレイル対策にはいいことばかりです。

高齢になると定年退職やパートナーとの死別などによって、人や社会とのつながりが減少しやすくなるため、職場や家族以外の自分の居場所を作っておくことを意識するとよいでしょう。

そういった場をこれから増やすのであれば、地域のボランティアや町内会に参加する、同じ趣味をもった人と集まるなど、人との交流の場に積極的に参加してみてください。

並んで座っている人
社会参加をすることが気力や活気の維持につながる
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バランスのよい食事

フレイル予防には、1日3食食べ、適切な量のエネルギーを摂取することも重要です。年齢が上がると、食が細くなるだけでなく、栄養素を吸収しにくい体に変わっていきます。それにより、栄養不足になりやすいため、若い頃よりもバランスのよい食事を心がけることが重要になります。

厚生労働省・農林水産省が定めている「食事バランスガイド」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/ido-kihon.pdf)では、バランスのよい1日分の食事とは、主食(ごはん中盛り4杯程度)、副菜(野菜料理5皿程度)、主菜(肉・たまご・魚料理3皿程度)、牛乳・乳製品(牛乳瓶1本程度)、果物(みかん2つ程度)とされています。

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