タレントとして仕事の幅を広げるも、プレッシャーに押しつぶされた
さまざまな葛藤を乗り越えて果たしたグラビアデビューは功を奏し、写真集を出版し、芸能事務所に所属してタレントとしても活動するようになった。
「過去に有名な芸能事務所さんに書類を送ったことがあるのですが、全く相手にされなくて。今ならチャンスかもって、もう1回掲載誌と履歴書を送って所属事務所を探したところ、ホリプロから連絡があったんです。
すぐにレギュラーのお仕事が決まって、出だしは順調でした。バラエティ系のお仕事が多かったので、これがテレビの世界か、とウキウキした気持ちでお仕事をさせていただきました」
一方で、成果をあげている手ごたえを感じられず、だんだんプレッシャーに押しつぶされていく。
「タレントは1回1回結果を出していかないと次の仕事につながりません。ありきたりな発言をしていると、マネージャーからダメ出しをされることもありました。マネージャーが一生懸命に私を売り込んで取ってきてくれた仕事だからこそ失敗できない、そう意気込むほど、気の利いた言葉が出てこなくて……」
芸能界で仕事が続けられるのかと悩んだ結果、それから数年で芸能活動に幕を下ろした。のちに別府さんはいくつか転職をして、現在は自身の経験を活かして、芸能人のパラレルキャリア、セカンドキャリアのサポートを行っている。
「バラエティ番組に出演するなど芸能界の仕事は決して気楽なものではなく、スキルが必要です。みなさん頭の回転が速いし、人を惹きつける話術もあります。数年でも才能ある人たちが集まる世界に身を置けた経験は、今の仕事にも生きています」
◆タレントキャリアアドバイザー・別府彩さん
1975年5月30日生まれ。東京都出身。大学卒業後、フリーアナウンサーとして活動。31歳で写真集『彩色』(竹書房)を出版してグラビアデビューし、バラエティ番組やラジオパーソナリティーなどに活躍の場を広げた。33歳で芸能界を引退。現在は自身の転職経験を活かして、株式会社エイスリーで芸能人のパラレルキャリア、セカンドキャリアのサポートを行っている。https://twitter.com/a3_ayabeppu
撮影/浅野剛 取材・文/小山内麗香