マネー

お金が貯まる夫婦と貯まらない夫婦、どこが違うのか?「生活費を一定額出しあう」「費目別で分担する」がダメな理由

電卓と現金と通帳
貯金が貯まる夫婦と貯まらない夫婦の違いとは?(Ph/photoAC)
写真6枚

夫婦で協力してお金を貯めようとしているのに思うように貯まらない、という悩みを抱えている夫婦は多いのではないでしょうか。「お金が貯まりづらい夫婦には特徴がある」と話すのは、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さん。お金が貯まりづらい要因と、お金を貯められる夫婦になるために必要なことについて教えてもらいました。

* * *

家計の分担方法は大きく4つ

共働きの夫婦の場合、家計の分担方法は大きく分けて4つあります。

1つ目が「費目別で分担する」というもので、夫が家賃と光熱費を負担し、妻が食費などほかの生活費を負担するなど、家計の項目ごとにどちらが支払うかを決めておくやり方です。

2つ目は「生活費を一定額出しあう」パターンで、予め決めた一定額を出し合い、それ以外の収入はお互いに自由にするというものです。

3つ目は「片方の収入で生活し、もう片方の収入を貯蓄する」というもので、生活費の担当と貯蓄の担当で分ける形です。

4つ目は「お互いの収入を合わせてやりくりする」パターンで、夫婦共通の財布から生活費、お小遣い、貯蓄のすべてに回していくやり方です。

コインと豚の貯金箱
「費目別で分担する」がもっともダメ(Ph/photoAC)
写真6枚

最も貯めづらいのは「費目別で分担する」パターン

4つのうち、最もお金を貯めづらいのは、1つ目の費目別で分担するやり方です。自分が担当している費目以外は支出額を把握できないうえ、相手の収入額もわからないため、家計の全体像を把握できません。大きな買い物をするときにはどちらがお金を出すのかで揉めやすいというデメリットもあります。

貯蓄に関しても、相手がきちんと貯めていることを信じる相手頼みの貯蓄となり、いざ蓋を開けてみるとほとんど貯めていなかった、となる可能性もあります。

生活費を一定額出しあう方法も相手頼みの貯蓄となりやすい

2つ目の「生活費を一定額出しあう」やり方も、相手頼みの貯蓄となりやすいです。

費目別の分担と異なり、生活費全体は把握できますが、出しあっている生活費以外の相手の収入がどうなっているかは把握できません。大きな買い物を折半しようとしたら相手の貯蓄が足りなかった、ということが発生する可能性があります。

通帳と電卓
貯蓄を相手頼みにしないことが大切(Ph/photoAC)
写真6枚

自分が稼いだお金は「自分のお金」という意識が強いと貯まらない

貯まらない夫婦に共通するのは、「自分が稼いだお金は自分のお金である」という意識が強いこと。ひとつの家計として収入と支出を考えられないとなかなか貯めることができません。

子供が独立するまでは教育で何かとお金がかかるため、夫婦一体となってお金を貯められる場合もありますが、子供の独立後、妻は友人とのランチや推し活、夫は会社の人との飲み会やゴルフ、と自分自身のためにお金を使い始めると貯まりづらくなっていきます。

お金を貯めるなら「お互いの収入を合わせてやりくりする」が正解

お金をきちんと貯めることを目指すなら、4つ目の「お互いの収入を合わせてやりくりする」方法が最適解です。

ひとつの家計としていくらの収入があって、いくらの支出があり、いくら貯蓄できたのかをお互いに把握することができます。お金の流れを見える化できれば、家計の見直しもスムーズに進みます。

お金が貯まる夫婦は話し合いができている

お金が貯まりやすい夫婦の特徴はきちんと話し合いができることです。費目別の分担や生活費折半のケースでも、それぞれどの程度の収入・支出・貯蓄があるのかを日頃から話し合えていればお金は貯まっていくでしょう。どのような分担方法でも、お互いが納得できる落としどころを見つけることが大切です。

男性の肩に手をのせる女性
お金が貯まりやすい夫婦は話し合いができている(Ph/photoAC)
写真6枚

生活費折半なら家事負担割合なども考慮して落としどころを

不公平感が強いと、お互いが自分自身のためにお金を使ってしまいやすくなります。例えば、生活費を一定額出しあうケースでも、収入の差が大きかったり、家事の負担割合などに差があったりする場合、同額を出し合っていると収入が低い側や家事を多く負担している側の不満が大きくなる可能性があります。

出しあう金額は同額にする必要はなく、収入額や家事負担割合を考慮して、それぞれが納得できる金額を話し合って決めるといいでしょう。

早いうちに話し合うことが大切

お金の話し合いは、その都度、早いうちからしておくことで安心してライフイベントを迎えることができます。会社員や公務員といった第2号被保険者の老後の公的年金額は、現役時代の半分以下となり、やりくりがより重要になってきます。

電卓と家のオブジェと現金
ライフイベントを迎える前に貯蓄についての話し合いを(Ph/photoAC)
写真6枚

しかし、年金をもらって初めて家計について話をする場合と、50代くらいから話し始める場合とでは老後の生活も大きく変わってきます。とは言え、遅すぎることはありませんので、退職時やお子さんが独立するタイミングなどに改めて話し合う時間をもって、お金まわりの話し合いと見直しをしましょう。

家計にはどれだけの収入、支出、貯蓄があり、老後はどれくらい年金がもらえそうなのか、50代のうちからきちんと夫婦で話をしておくことをおすすめします。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

丸山晴美さん
節約アドバイザー・丸山晴美さん
写真6枚

節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/

構成/新藤まつり

●パートで働くときの「年収の壁」は5段階!手取りが減らないために注意すべきポイント

●「夫婦の価値観を揃えることはできない」という現実 結局、夫婦は「どちらが決めるか」を決めるしかない

関連キーワード