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《骨格補正メイク専門家として注目》池田曜央子さん「夢中になれるものを選んできた」、美容業界に転身するまでに歩んできた意外なキャリア

メイクブラシを持った女性
建築士から美容家に転身した池田曜央子さんにインタビュー
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40代以降の大人向けの美容講座で、1000人以上の“女性のきれい”をサポートする骨格補正メイク専門家の池田曜央子さん。30代の終わりにメイクの道へ進むまでは、別のキャリアを歩んできたのだそうです。インタビュー第1回は、キャリアの選択や仕事との向き合い方について語っていただきました。

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学生時代から「自分で選ぶ」がアイデンティティ

現在、骨格補正メイク専門家として活躍する池田さん。華やかな容姿で、学生時代からメイクを楽しんできたのかと思いきや、意外にもそうではなかったのだと話します。

「こういった仕事をしていると、学生時代からメイクが好きで…と思われがちなのですが、むしろメイク=チャラチャラしている、というイメージを持っていました。メイクの仕事をしている人は、高校を卒業したら専門学校に行ってメイクアップアーティストを目指してという過程を経ている人が多いですが、私は大学に進学して平凡な学生生活を送っていました」(池田さん・以下同)

選択できない状況から一念発起した大学受験

中学時代は勉強が得意ではなく、「下から数えたほうが早いくらいの成績で…」と話す池田さん。

「小中高とエスカレーター式の学校に行っていたので、あまりプレッシャーもなかったんですよ。ただ、大学進学の話が出てくる頃に、成績がいい人はたくさんの選択肢から学校を選べるけど、私のような成績が悪い生徒は先生から『ここを受けたら』と言われて、進学先を選択できない現状が嫌だなと感じたんです。

自分もやればできるのに、先生は何を言ってるんだろうと、妙な自信だけはあったんですよね(笑い)。そこからは真面目に勉強をし始めて、青山学院大学経済学部に入学できました」

就活時から「楽しいと思えるもの」を選んできた

そんな池田さんは、上京して一人暮らしがスタートしたことでインテリアの楽しさに目覚めたと言います。

「小さな部屋をなんとか素敵にするため、色々と考えて工夫することに充実感を覚えて。もともと子供の頃から美術や華道など、そういったものが周りの人から上手だねと言われていたので、インテリアも美術的な観点につながるものがあったのかもしれません。

経済学部だったので、周りの同級生は銀行や商社に就職が決まっていったんですが、私は正直『経済学部って格好いいな』くらいの気持ちで進学先を決めていたんです。女の子って文学部あたりに行きがちだけど、経済学部のほうが将来役に立つことが多そうだな…と思う程度だったので、経済学部で学んだことを活かした就職先に行きたいというこだわりもなくて」

笑顔の女性
就職先にこだわりがなかったという池田さんが選んだ道は…
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そこで池田さんが就職先に選んだのは、上京したときに楽しさを覚えたインテリアの会社。

「就活をしていた時期にちょうど『劇的ビフォーアフター』が流行っていたこともあって、活気のある業界になっていたんですよね。せっかくなら輸入家具を扱っているような会社に入って、将来は外国で家具を買い付けたりして…といった夢を描いていました。楽しいと思えるもの、夢中になれるものを選んできたのは、当時からずっと変わっていないですね」

論理的な“骨格補正メイク”につながる建築士の仕事

新卒で入社したインテリア商社での仕事は、ショールームでの案内からはじまったそうです。

「社内研修では、お客様をご案内するときのために、簡単にですが図面の勉強もしました。新築で家具を一式買い揃えるようなお客様は、図面を持ってきたり、設計士を連れてきたりします。そこで、この間取りで、この縮尺だから、この家具ならここに入って、人が通る幅もこれくらいあって…ということをお話しできるようになって。

仕事をするにつれて、設計士と話していて、リフォームの場合ならこの家具を置くために壁を抜きましょうかとか、新築の場合ならここをもうワンスパン広げて…といった、もっと自由に提案できることを知って、私もこの資格を取れたら仕事の幅が広がるんじゃないかなと思ったんです。家具やインテリアを突き詰めてみたら、もっと自分で作ったり動かしたり、空間をより工夫できるように、建築をもっと勉強したくなったんですよね」

二級建築士を目指して退社、社会人学生に

設計や建築の資格取得を目指すものの、仕事は夜遅くまで続いてハード。資格の勉強をしながら働くというのはとても考え難く、池田さんは入社から3年で退社を決意します。退社に迷いはなかったのでしょうか?

白いブラウス姿の女性
仕事と勉強をかけ持ちしていた当時を語る池田さん
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「ハードだったこともあって、だいたいの女性は3年ほどで体調不良か結婚かで辞めていく会社だったんです。しかも、続けていても、本社でバリバリ働く先輩はみんな男性で、女性は基本的に社歴があっても経理などの事務作業の部署。40半ばで建築士の資格を持っている経験豊富な女性の先輩でも、ショールームで未だに新卒と同じ案内係だったりして。

今はきっと変わったとは思いますが、当時は自分の思い描く未来が見えなくて、これ以上この会社にいてもしょうがないのかなと、退職に後悔はありませんでした」

退職後は、定時で終わる派遣の仕事をしながら、設計の勉強をするために夜間の専門学校へ通う生活を続けていたのだそうです。

「社会人向けのキャリアスクールで、手書きの図面とパソコンでCAD(コンピュータ支援設計)を学んで、一通り知識を身に着けました。二級建築士を受験する資格は大学で建築に関する学科を卒業していればすぐに取得できるんですが、そうでない学科の場合は7年の実務経験が必要だったんです。なので実務経験を積みながら、30歳を過ぎた頃にやっと資格を取得できました」

論理的な説明や資料を作り込む力はどんな仕事にも活きる

インテリアコーディネーターの資格を取得していた池田さんは二級建築士の資格を取得し、念願の仕事がスタートしました。

「建築士の仕事はとても楽しかったです。大工さんと話しながら、天井裏を覗いてここなら抜けるとか、配管をこう回せばフラットになるとか、空間を作る仕事ができることに喜びを感じていました。ただ、仕事量はインテリア商社よりもさらにハードになって、家に寝に帰るだけの生活でした。

現場は男性ばかりで、私が言っても聞いてくれないのに、年配の男性が同じことを言えばすぐに聞いてもらえて解決するということもよくあって、やっぱり男性社会なんだなぁと思うこともありましたね。毎日何かしらクレームがあり、休みもあまりなくて、楽しさの中にもストレスは多かったです。当時は分業がなく、営業以外のもろもろ、例えば工程管理や業者の手配、部材の搬入の日程なども全て設計担当者が決めていたので、力は付きましたが大変なこともたくさんありました」

当時は仕事が忙しくてメイクは二の次だった池田さんは、今この仕事をしているとは予想もしていなかったそうです。

「けれど、論理立てて現場のスタッフやお客様に説明するために、資料を用意したり、図面をきっちりと作り込んだりといったことは、今のメイク講師としての仕事に活きているなと思えますし、キャリアは意外とつながっているんですよね」

◆教えてくれたのは:骨格補正メイク専門家・池田曜央子さん

本をもつ女性
骨格補正メイク専門家の池田曜央子さん
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青山学院大学経済学部卒業。建築士として活動後、美容・ファッションを学び、メイク講師の道へ。好印象な美人に近づける“骨格補正メイク”を考案し、1000名を超える女性を劇的に変身させる。一般社団法人日本骨格バランス協会代表理事を務めるほか、池田曜央子メイクアップアカデミーを開講。著書に『骨格補正メイク「顔の比率」を描き変えて、一生美人!』(主婦の友社)。https://ameblo.jp/nyankosan0916/

撮影/黒石あみ 取材・文/イワイユウ

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