健康・医療

《更年期は要注意》加齢とともに「頭のニオイ」が気になる…その理由と改善法は?

頭を触っている
歳を重ねると悩みがちになる頭皮のニオイ
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更年期になると、頭皮から分泌される皮脂以外に加えて、女性特有の体臭変化によって頭皮臭が起こりやすくなります。「年齢を重ね、頭皮のニオイが気になってきた」という悩みに、薬剤師の山形ゆかりさんから、頭皮臭の対策について教えてもらいました。

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更年期の頭皮臭の原因は過剰な皮脂と体臭変化

頭皮臭の主な原因は、頭皮から分泌された皮脂です。皮脂は頭皮を保護するために不可欠なものですが、皮脂が過剰に分泌され、空気に触れて酸化したり、雑菌のエサになって分解されたりすると不快なニオイの発生源となります。

さらに、女性の体臭変化には「ラクトン」と「ノネナール」というふたつの物質が関わっています。

ラクトンは若い女性特有の、甘い香りを発する物質です。ラクトンは桃の香りに似たよいニオイがするのですが、10代をピークとして加齢とともに減少します。ノネナールは男女ともに分泌される「加齢臭」の原因物質の一種で、体内の抗酸化力が弱まる40代ごろから分泌量が増加します。

年齢を重ねた女性は、ラクトンの減少とノネナールの増加という2つの原因によって頭皮臭や体臭が強くなりやすいのです。

頭皮臭を改善する方法

頭皮臭の対策としては、皮脂と原因物質の増加にアプローチするのが有効です。

頭皮を丁寧に洗い余分な皮脂を落とす

頭皮臭の原因となる余分な皮脂を落とすには、丁寧な洗髪が不可欠です。入浴前にブラッシングを行い、シャンプーをつける前にシャワーでしっかり流す、予洗いをすると、頭皮に付着している皮脂や汚れがより落ちやすくなります。

シャンプーとリンス
丁寧に洗髪して過剰な皮脂をきれいに
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ただし、1日に何度も洗髪したり、ごしごし強く洗いすぎたりして皮脂が落ちすぎると頭皮が乾燥し、頭皮を守るために過剰に皮脂が分泌されてしまいます。

洗髪は基本的に1日1回とし、すすぎ残しのないように優しく丁寧に洗いましょう。

脂肪分が多いものを食べ過ぎない

揚げ物やスナック菓子のような脂肪分の多い食品を食べ過ぎると、皮脂の過剰分泌につながり、頭皮臭が悪化する原因となります。

また、栄養バランスの悪い食生活は、頭皮を含めた皮膚のターンオーバーへの悪影響を及ぼす原因のひとつです。頭皮のターンオーバーの乱れは乾燥や皮脂の過剰分泌などにつながり、頭皮臭の悪化を招きやすくなります。

腸内環境を整える

脂質の多い食生活や便秘、不規則な生活、ストレスなどは、腸内の悪玉菌を増やし、腸内環境を悪化させる原因になります。腸内環境が悪いとニオイの原因物質が腸内で過剰に産生されて血中に溶け込み、体臭や頭皮臭を悪化させます。頭皮臭を改善するには、悪玉菌の増殖を抑えて善玉菌を増やし、腸内環境を整えることが大切です。

そのため、乳酸菌やビフィズス菌などを含む食品を意識的に摂り、腸内の善玉菌を増やしましょう。漬物やヨーグルトなどの発酵食品、乳酸菌飲料などを摂り、善玉菌を食べ物から直接体内にとり入れるとよいでしょう。

さまざまな発酵食品
腸内環境を整えることが体臭改善の対策に
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善玉菌のなかでも、ビフィズス菌の量が多いとラクトンの放散量も多くなることがわかっているので、ビフィズス菌が増えて腸内環境が良好になると、よい香りを増やす効果も期待できます。

また、腸内の善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維の摂取によって、効率よく善玉菌を増やすことができます。善玉菌を直接摂ることができる食品と併せて、オリゴ糖が豊富なごぼうやバナナ、アスパラガス、食物繊維を多く含む海藻やきのこなどを食べましょう。

頭皮臭の改善には抗酸化作用の高い食材

頭皮臭の改善には、脂質を摂りすぎていないかなど食生活の見直しに加え、抗酸化作用のある食材を積極的に摂るのがよいです。抗酸化物質を摂取して体内の活性酸素の働きを抑え、酸化を防ぐことが、ノネナールの分泌を抑えることにつながります。

キウイを入れたヨーグルト
頭皮臭の改善に有効な栄養素
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ビタミンC、ビタミンE、ビタミンAなどのビタミン類や、ポリフェノール、β-カロテンやアスタキサンチンなどは抗酸化作用のある栄養素です。

ビタミンCはキウイフルーツやパプリカ、ビタミンEはナッツ類などに豊富です。β-カロテンはにんじんやかぼちゃなどの緑黄色野菜類に多く含まれており、摂取すると体内でビタミンAに変換されます。

ポリフェノールは赤ワインや豆類、アスタキサンチンは鮭のほかにエビ・カニなどの甲殻類から摂取できます。すべてを一度に摂るのは難しいですが、3食の食事で上手に組み合わせて摂ることができると理想的です。

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