円安やインフレで物を買いにくい時代。何でもできるだけ安く抑えたい、と考えがちだが、お金をかけたほうが長期的に見るとコスパがいいものもある。そこで、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんがお金をかけてもよいと考えるものについて教えてもらった。
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お金をかけるべきは「長く使えるもの」
お金をかけるべきものの筆頭は「長く使えるもの」です。例えば、私の場合は20年以上前にいい革のバッグを20万円ほどで購入しましたが、今も問題なく使えており、長期的に見て安い買い物だったと感じます。また、冬には機能性に定評のある「モンベル」のダウンコートを愛用していますが、破れても正規店で修理してもらえるため、こちらも長く使えています。
質がいいものは修理して使い続けることができますし、正規店で安価で修理対応を行っている場合もあるので、購入時に調べておくとよいでしょう。初期費用が多少高くても、使い続けることができれば、長期的にはお得な買い物と言えます。
長時間使う「寝具」
使う時間が長いという観点では「寝具」、とくにマットレスもお金をかけていいものだと思っています。多くの人は、1日の3分の1に近い時間を布団やベッドの上で過ごします。
しかし、体に合わない寝具を使うことで睡眠の質が下がると、疲れが取れなくなったり不調が現れたりする可能性があります。不調で病院に通うのは余計な出費ですし、体に合った寝具を使い、日中のパフォーマンスが上がると、コスト面だけではないメリットが得られるでしょう。そのため、お金をかけてでも自分の体にあったマットレスを使うことは有益だと考えています。
実施が早いほど短期間で済む「歯列矯正」
子供の歯列矯正も、きちんとお金をかけてやっておいてよかったと感じることの1つです。歯並びが悪いと虫歯になりやすかったり、将来的に歯槽膿漏の原因になることもあったりと健康リスクにつながることもあります。また、大人になってからするよりも短期間で終わることが多いので、通院コストも下がると考えられます。
ただし、矯正のベストなタイミングは、お子さんの状況によって異なります。息子の場合は顎のスペースがしっかりあり、小学生で矯正したとしても、その後に永久歯が生えてきて噛み合わせが再びずれてしまう可能性があったと歯科医に言われため、永久歯が生えそろう中学生からスタートしました。
また、子供の歯列矯正は医療費控除の対象になるため、確定申告をすれば払いすぎた税金(所得税)が戻ってくる場合があります。
時短と利便性に寄与する「家電」
家事の時間を短縮したり、家事が楽になったりする「家電」もお金をかけていいものだと考えます。
私の場合は圧力鍋、パナソニックのオーブンレンジ、ドラム式洗濯機は特に買ってよかったと感じています。圧力鍋やオーブンレンジは多少値段が張るものの、料理の幅が広がり、QOLが上がることに加え、外食が減るため長期的に見れば節約になります。
特に我が家では、KALDIの冷凍のクロワッサンを焼く際にオーブンレンジが大活躍。子供が気に入って毎日のように食べていますが、お店でクロワッサンを買うより安く済みますし、家で焼いたとは思えないほどおいしいです。
ドラム式洗濯機はヒートポンプ式を選びましたが、節電効果が高く、非常に便利で買ってよかったと感じます。最近の家電は節電や節水の機能に優れているものが増えているため、電気代や水道代がかさんでいるのであれば、使っている家電が古くないか、見直してみましょう。一時的な出費にはなりますが、新しい機種に買い替えることで、長期的には節約になる可能性もあります。
基本は「今あるものを大事にする」こと
お金をかけるといいものはさまざまあるものの、必ずしも今あるものをすぐに買い替える必要はなく、基本的には「今あるものを大事にする」という考え方が大切です。
特に今は、円安とインフレの影響により、物の値段は上がっている一方で質は悪くなっているものも増えてきています。デフレの時代に購入したものを大切に使い、買い替えのタイミングではよりよいものを探すように吟味しましょう。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/新藤まつり