新天地、ロサンゼルス・ドジャースの指名打者として高打率を続ける大谷翔平選手(29才)。「基本的な睡眠時間は10時間、最低でも8時間眠る」と公言しているが、眠りは彼にとってどれほど重要なものなのか。そして、眠りのための武器とは?
大谷翔平は「深い眠り」「質」を重視
「外食はほとんどせず、遠征先でも出歩かず、時間があれば寝る」
そんな大谷選手の生活が紹介されて以来、その“睡眠力”に注目が集まっている。彼の“眠り好き”は、いまに始まったことではなく、過去のインタビューで(※1)、
《小学生の頃は毎日夜9時から朝7時まで寝ていた。昼寝もしますし、半日くらい寝ていたかもしれない》と“快眠児”ぶりを語っている。それが、現在の大谷選手を作ったといっても過言ではない。
昨シーズンまでは“投打の二刀流”として肉体を酷使してシーズンを走り抜き、MVPを獲得できたのも、眠りの力があったからだろう。
別のインタビューでも、《もし1日が1時間増えるなら、睡眠じゃないですかね。単純にそこで1時間増えるだけで起きている時間のクオリティーが上がるので(※2)》 《やはり深い眠り。質も大事なので、量と合わせてそこは大事かと思います(※3)》
と、睡眠の大切さを繰り返し発言している。
(※1)…アシックスジャパンの動画インタビューより(2021年7月)(※2)…SEIKOの動画インタビューより(2023年3月)(※3)…nishikawaの動画インタビューより(2022年4月)
久保建英、羽生結弦も認める眠りの大切さ
大谷選手に限らず、一流のアスリートにとって「いかに眠れるか」は自身のパフォーマンスを左右する最重要事項。
スペインで活躍する久保建英(たけふさ)選手(レアル・ソシエダ所属)は、
《遠征先に前泊し、夜にゲームが行われるようなときはシエスタ(昼寝)をしないと体がもたないので、短い時間でパッと眠れるように心がけています。コツは、携帯も見ずに部屋を真っ暗にして、あとは目を閉じて自分にがんばってもらいます(笑い)》と、インタビューで語っている。(※4)
2014年ソチ(ロシア)と、2018年平昌(ヒョンチャン)(韓国)の2つのオリンピックで金メダルを獲得したプロスケーターの羽生結弦も、現役中(2016年)のインタビューで(※5)、《試合前夜に緊張して眠れず、体が動かなかった感じとか、(睡眠不足が)不調の原因になることは小さい頃からわかっているので、眠りを大切にしようと思っています》と語っている。
また、将棋の藤井聡太八冠は、リラックス法を聞かれた際に、こう答えている。 「まずは寝ること。何より対局にいい状態で臨むのが大切なことなので(※6)」
(※4)…nishikawaの動画インタビューより(2023年10月)、(※5)…nishikawa &Freeの動画インタビューより(2016年10月)、(※6)…静岡県牧之原市で行われたトークショーより(2023年9月)
大谷翔平が愛用する最先端の睡眠アイテム
大谷選手は4月、2017年から愛用している寝具メーカー『nishikawa』と共同で、全国の子供たちにマットレス2500枚を無償提供することを発表。
「子供の頃から大切にしていたのは睡眠。しっかりした睡眠があったからこそ、いつも前向きな行動が実現できていると思う」というメッセージを送っている。
大谷選手の躍動には、陰で支える最先端の「スリープテック」の存在も大きい。これは、テクノロジーの技術で眠りを分析し、改善に導く製品やサービスだ。寝具選びはどれほど進化しているのか。大谷選手がマットレスと枕を作るときと同様の機器を備える『日本橋西川』(東京・日本橋)を訪ねた。
「大谷選手は、計測できるタイミングで当社に来られ、体に合った寝具を選んでいらっしゃいます」と言うのは、同社広報の森優奈さん。
「計測方法は、まず全身120万か所をミリ単位でスキャンし、筋肉量や骨格、体の歪(ゆが)みなどを測定します。このデータと『ピマピッタ』という寝具測定システムを使い、体に合ったマットレスと枕の高さを導き出し、最後に、選んだマットレスや枕に寝ながら体圧測定器で微調整していきます」(森さん・以下同)
主観ではなく、科学的に「自分の体に合った寝具」とはどんなものなのか?
「しっかりと正しい寝姿勢が保たれ、かつ、腰や肩など一点に負荷が集中せず、体圧が分散された状態です」
大谷選手は背中と尻のカーブが強いため、この凹凸を受け止めて体圧を分散できる構造のマットレスを、そして、大きな肩幅でも負担なく寝返りを打てる高めの枕を愛用しているという。
「大谷選手の睡眠時間が長いのは、疲労を回復させ、翌日のパフォーマンスを高めるためだと思います。寝具はそれを支える重要なアイテム。これはアスリートに限らず、一般のかたも同様です。健康に生きるためにも、寝具の重要性を知っていただきたいですね」
◆教えてくれたのは:日本橋西川 広報 森優奈さん
※女性セブン2024年5月30日号
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