大胆な振る舞いに見え隠れする、繊細な心配り。尋常じゃない負けず嫌いがもたらした、数々の伝説。辛辣なのになぜか憎めない唯一無二の存在である、高嶋ちさ子さん(55歳)。現在の心境や未来への予想図とは? 高嶋さんは、発売中の大人女性に向けたムックシリーズ『reShine』の表紙を務めている。映える&効きめがある&気分が上がるおしゃれ・美容・趣味・暮らしの実例やヒントを紹介する同誌から、高嶋さんへのインタビューを一部抜粋します。
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ヴァイオリンと運動神経
「運動神経バツグンだった子供時代。腹筋バキバキ少女でした」
私はよくヴァイオリンを運動神経で弾いている、と言われます。結局、楽器を弾くのは筋肉だから“やったことをどれだけ再現できるか”という能力が必要になるところでは、アスリートと似ているかもしれないですね。アスリートにトレーナーさんがいるように、音楽家にもフィジカル面をサポートしてくれるトレーナーがいればいいのに、と思っています。演奏家は体力勝負。体が資本ですから。
最近は筋肉を目覚めさせる練習をしています。曲を弾くというより指とか腕の筋肉を起こして、そこを強くして活発にするトレーニング。今はSNSで世界中の演奏家たちの練習法とか見られるでしょう? それを見るとそういったトレーニングをしてる人も多いので、今のトレンドなんだなあと思っています。
若い時はほっといても練習すればその分うまくなったけど、今は下手にならないための、衰えないための練習と思ってやっています。練習するというより鍛えるという意識。そこが以前とはちょっと違うな、と思っています。
未来予想図
喜怒哀楽の「喜」と「怒」しかない人生から「楽」もある未来へ
最近、小さいことでイライラするのがもったいないと思うようになりました。これからは今までよりも楽しんでいきたいなと思っています。私の親友の木佐彩子さん(フリーアナウンサー)は楽天家で、「人生楽しもうよ」とばかり言ってる人。そんな彼女に影響を受けているのかもしれないです。 だけど“時間を大事に使う”というのは一生変えられない。1人で3役、役やるのが趣味だから(笑)。マルチタスクな自分に酔いしれていたいんです。
60歳に向けて、楽しみというのもあります。というのも私が中学生の時は女子大生ブーム、高校生の時はおニャン子ブームと、いつもちょっと先を生きる人達が楽しげな未来を見せてくれていたんですよ。今も「この人が60歳?」みたいな人達がいますよね。先人たちが新しい道を広げてくれているし、“歳だから”という雰囲気が世間的にもなくなってきてる。年齢関係なくできることもいろいろ増えていきそうだから楽しみでしかないですね。
◆ヴァイオリニスト・高嶋ちさ子さん
6歳からヴァイオリンを始め、これまでに徳永二男、江藤俊哉、ショーコ・アキ・アールの各氏に師事。1997年よりスタートした「めざましクラシックス」ほか「12人のヴァイオリニスト」など、常にお客様の目線で考えられたコンサートを企画・プロデュースし年間100本近いコンサートやイベントに毎年参加。著書に『ダーリンの進化論』(小学館)ほか。
撮影/土山大輔(TRON) ヘアメイク/豊田千恵 スタイリスト/小笠原靖子 構成・文/加治かおる
※『reShine』2024年夏号