コーラ500mLには角砂糖14個分の糖質
気をつけてほしいのは、健康に良さそうな野菜ジュースやスポーツドリンクにも糖質がたくさん含まれていることです。実際に、学校の部活動でスポーツドリンクを多飲していた中学生が、いきなり高血糖で昏倒し、救急車で搬送された事例も報告されています。
こうしたケースを「ペットボトル症候群」と呼びますが、若くして重症の糖尿病を発症しているわけで、実に深刻な問題です。たとえば、コカ・コーラはペットボトル500mLの場合、56.5gの糖質を含んでいます。これは、角砂糖14個分に相当します。
とくに炭酸が入っている飲み物は、清涼感にごまかされ甘さに気づきにくくなります。しかし、ためしに蓋を開けたまま放置し、炭酸が抜けた状態で飲んでみると、砂糖水のような甘さに驚くはずです。つまり、清涼飲料水は、自分が想像しているよりも遙かに多くの砂糖を摂ってしまう飲み物なのです。
缶コーヒーも、ほどよい苦みがあるがゆえに、甘すぎることがわからなくなります。こうしたものを日常的に口にしていると、簡単に“糖質中毒”に陥ります。
仕事を途中で抜け出し、限られた喫煙所で一心不乱にタバコを吸っている人たちは、ニコチン中毒(依存症)に陥っています。同様に、あるタイミングで缶コーヒーなどを飲むのが決まりになっている人もまた、“糖質中毒”である可能性が高いのです。
まずは、液体の糖質を「厳禁」とし、ペットボトルの飲料でも、ミネラルウォーターや糖質の入っていないお茶類を選ぶ癖をつけてください。清涼飲料水のシュワシュワした刺激が好きな人は、炭酸水を飲んでもいいでしょう。なんの味付けもしていない炭酸水なら、余計な糖質を摂ってしまう懸念はありません。
※牧田善二著『疲れない体をつくる最高の食事術』より抜粋して再構成
◆教えてくれたのは:医師・牧田善二さん
AGE牧田クリニック院長、医学博士、糖尿病・合併症治療・アンチエイジング専門医。北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されるAGEの研究を約5年間行う。血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、『The New EnglandJournal of Medicine』『Science』『THE LANCET』などのトップジャーナルに論文を発表する。北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を経て、2003年から糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。