
気温が上がることで電気代がかさみがちになる夏。快適さを維持しつつ、効率的に節電をするためにはおさえておくべきポイントがある。節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、夏の節電で意識したいことについて詳しく解説してもらおう。
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節約したい夏の3大家電
資源エネルギー庁の調査(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/media/data/2023_summer/setsudenmenu_katei02.pdf)によると、夏における家庭での電気の使用は、エアコンが38.3%、照明が14.9%、冷蔵庫が12.0%となっています。夏の節電は、合わせて約65%を占める3大家電であるエアコン、照明、冷蔵庫の電気代をいかに抑えられるかにかかっていると言えます。

エアコンの節電は冷房効率を上げる
夏の電気代の4割を占めるエアコンの節電では、まず温度と風向きをチェックしましょう。室温28℃を目安として、設定温度を下げすぎないようにしてください。空調メーカーのダイキンによれば、設定温度を1℃上げると、設定変更前より約10%の節電効果が見込めます(https://www.daikincc.com/faq/customer/web/knowledge2699.html)。
長時間外出したときなど、エアコンの設定温度を下げて一気に部屋を涼しくしたくなりますが、外気温と設定温度の差が大きいと電力の消費量も多くなります。換気をして、部屋にこもった熱気を外に出してからエアコンをつけると部屋が冷えやすくなり、節約になります。
風向きは水平、または上向きにし、冷たい風が天井や対面の壁上部にあたるように設定しましょう。冷たい空気は下がっていくので、部屋のなかで自然と空気が循環し、冷房効率が上がります。

フィルター掃除はマスト
ついサボってしまいがちなエアコンのフィルター掃除ですが、節電のためにはやはりマスト。資源エネルギー庁によれば、フィルターが目詰まりしている場合とフィルターを掃除した場合とでは電気代に約990円の差が出ます(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/airconditioning/index.html#1)。エアコンを使うシーズンは月に1~2回フィルター掃除をするようにしましょう。
日中35分以内の外出はエアコンはつけっぱなしでOK
また、空調メーカーのダイキンの調査(https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission05)によると、日中9:00~18:00の時間帯において35分以内の外出であれば、エアコンを切るよりつけっぱなしにするほうが消費電力は少なくなります。一方、夜間18:00~23:00の時間帯は、外出時間が18分以内であれば、つけっぱなしのほうが有利という結果が出ています。
私が外出時にしていることは、設定温度を上げて部屋のカーテンをすべて引いて、窓から熱が入らいよう、冷気が逃げないように対策をしています。人がいないのに、その間いつも通りに冷やしておく必要はありませんよね。帰宅して部屋が暑いようならエアコンの設定温度を下げたり、風を強くしたり、扇風機を付けるといった工夫をするのがおすすめです。

スーパーへの買い出しなど、日中のちょっとした外出であればつけっぱなしにし、夜の外食などではエアコンを切って出かけるようにするとよいでしょう。
室外機は放熱しやすい状態に
エアコンの室外機が放熱しやすいようにしておくことも大切です。意識しておくべきは、室外機の周りに物を置かないことと、直射日光を避けること。室外機の上に物を置いたり、柵で囲ったりしていると放熱の妨げになりますし、直射日光が当たっていると、放熱の効率が低下します。
室外機を移動させるのは難しいため、1mほど離れたところに植木などを置いたり、ベランダに設置できるシェードなどを使ったりして日陰を作ることを意識しましょう。
LED照明や掃除で照明も節電
照明の節電では、自宅の照明をLEDに替えるのがおすすめです。資源エネルギー庁によれば、54Wの白熱電球から7.5Wの電球形LEDランプに交換すると、年間2000時間使用する場合、約2883円の節約になります(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/lighting/)。

また、照明は電球や傘が汚れると1年間で5~15%明るさが低下すると言われているため、定期的な掃除も大切です。点灯時間を短くしたり、明るさを下げたりすることも節電には有効なため、不要な明かりはこまめに消したり、寝室を暗めにしたりするのもおすすめです。
冷蔵庫は庫内の温度が上がらないように
冷蔵庫の節電では、まずは庫内の温度設定を確認しましょう。資源エネルギー庁によれば、設定温度を「強」から「中」に下げるだけで、年間1910円の節約に(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html)。さらに、庫内の温度が上がらないよう、熱いものは冷ましてから入れたり、開閉を減らしたり、開けている時間を短くすることも大切です。
また、冷蔵庫は放熱しやすいよう、壁から少し離して設置しましょう。基本は側面を数cm程度離せば問題ありませんが、背面にも隙間が必要な場合もあるため、一度説明書などで確認することをおすすめします。

3大家電以外での節電は窓の断熱対策から
3大家電以外での節電では、見落としがちな窓の断熱対策に取り組むのがおすすめです。夏場の外気熱は約73%が窓から入ってくるため、簾(すだれ)や遮熱カーテンで窓からの熱を防ぎましょう。より手軽にやるのであれば、遮熱フィルムや遮熱シートを窓に貼るという手もあります。
扇風機やサーキュレーターも活用
エアコンを使うほどではないと感じる日は、扇風機やサーキュレーターを活用しましょう。扇風機は心地よい風を生むのに長けているので、自分の体に風が当たるように設置すれば体感温度が下がります。サーキュレーターは風を送ることに長けているので、室内の風を循環させられる位置や向きで置くといいでしょう。
サーキュレーターをエアコンと併用する場合は、エアコンの下あたりにエアコンの送風方向と同じ向きに置き、室内の風をしっかりと循環させるのがおすすめです。

少しの工夫でドライヤーも節電
3大家電ほどではないものの、意外と電気代がかさむドライヤーも重要な節電ポイント。消費電力が多い「強風」モードを使う時間を短くできるよう、ドライヤーを使う前にしっかりとタオルで水気をとりましょう。
ドライヤー中は、髪の水気をとるためのヘアドライ用の手袋を使ったり、乾いたタオルを頭に掛けた状態でドライヤーをしたりするのもおすすめです。タオルを掛けると温風が逃げにくくなり、熱の効率が上がるうえ、熱で蒸発した水分をタオルが吸収してくれるため、時間短縮につながります。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/新藤まつり