健康によいイメージのあるしょうが。野菜ソムリエプロの福島玲子さんは、「体をポカポカさせるだけでなく、しょうがにはさまざまな栄養素が含まれています」と話す。そこで、しょうがの詳しい栄養効果に加え、おすすめだというしょうがを使った炊き込みごはんのレシピを教えてもらった。
* * *
しょうがで不調を改善!吐き気や口臭改善に効果も
新しょうがは夏から秋にかけて出回ります。みずみずしい新しょうがと通年出回る根しょうがは、栄養成分にほとんど違いはありません。ただし、新しょうがは水分を多く含むため、100gあたりの栄養価は根しょうがのほうが少し高くなります。
4つの効果がうれしいしょうがの辛味&香り
しょうがのピリッとした辛味はジンゲロールやショウガオール、さわやかな香りはジンギベロールやシオネールなどの栄養素によるものです。
辛味成分のジンゲロールやショウガオールには殺菌作用があり、食中毒予防の効果があります。ジンゲロールは生のしょうがに含まれていて、加熱すると一部がショウガオールへと変化します。
また、血行をよくして体を温めるのも、辛味成分のジンゲロール、ショウガオールなどによる効果です。夏の冷房による冷えに悩む人は積極的に摂るとよいでしょう。
さらに、ジンゲロールやショウガオールなどの辛味成分には、消化を促進する効果もあります。海外の研究によれば、吐き気の緩和にも効果があることがわかっています。神経伝達物質の働きを阻害して、二日酔いなどの吐き気緩和に効果的なのだとか。ほかにも、ジンゲロールには口臭を軽減する効果もあると、近年の研究で明らかになりました。
むくみ解消や便秘にも効果を発揮!
しょうがは、ほかにもむくみの解消に効果的なカリウムも多く含まれます。水分とともに余分な塩分を排出するため、むくみだけでなく高血圧の予防効果もあります。また、便秘を予防する不溶性食物繊維も多く含まれています。
リンやカルシウムとともに働き、歯や骨を作るのに必要なミネラルであるマグネシウムも豊富です。カルシウムと協力して筋肉の働きを調整する役割もあり、体内の酵素の働きを助けて体のエネルギーをつくることにもかかわっています。
おいしい新しょうがレシピ&豆知識
今が旬の新しょうがは、みそをつけてそのまま食べるのもおいしいですし、甘酢漬けにするのもおすすめです。スライスや刻んだものを肉と合わせたり、天ぷらやパスタに使ったりするのもいいでしょう。
このようにさまざまなアレンジができる新しょうがですが、おすすめはさわやかな香りと風味が味わえる炊き込みご飯です。
「新しょうがと鶏ひき肉の炊き込みご飯」のレシピ
《材料》(3合分)
新しょうが…70g 鶏ひき肉…150g 塩…少々 米…3合
【A】しょうゆ…大さじ1 みりん…大さじ1 酒…大さじ1 和風だし…5g
《作り方》
【1】米は研いで水に浸しておく。【A】はボウルで合わせておく。
【2】新しょうがを5cm程度の千切りにする。鶏ひき肉は塩を少々振りかける。
【3】炊飯器に米、【A】を入れ、混ぜ合わせる。
【4】鶏ひき肉、新しょうがの順に加え、炊飯器の表示に合わせて必要な分の水をたしたら、炊飯器のスイッチを入れる。炊き上がったらよく混ぜ合わせる。
しょうがを加熱して冷えを改善!
先ほど述べたとおり、しょうがの栄養は加熱することで変化します。しょうがは加熱して水分を飛ばすと、ジンゲロールの一部がショウガオールに変化し、体を温める働きが高まります。体の芯から温まることで、免疫力を高めることもできますよ。冷えが気になる人には、特に加熱するレシピをおすすめします。
ショウガオールに変化させるには、ただ温めるだけでは不十分なので、炒め物ならじっくりと火を通したり、オーブンで焼いて乾燥させたりするといいでしょう。加熱加工を経て粉末にした商品を使うのも手軽です。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ