
年々物価高が進行するなか、正規の金額よりも安価で販売され、ありがたい存在といえる見切り品。しかし、一見お得に感じても実は損につながることもあると話す、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、買うべき見切り品と買うべきではない見切り品について解説してもらった。
* * *
節約の味方として改めて注目されている「見切り品」
「見切り品」とは、お店が早く売りたいと考えている、見切っている商品のことです。物価が上がるなかで、これまでは小売店のプライベートブランド商品や広告の品などの低価格商品でやりくりをしていた人も多いと思います。しかし、最近はそれだけでは太刀打ちできないほど値上がりが進み、見切り品が改めて注目されています。
見切り品はスーパーなどで取り扱われているイメージが強いと思いますが、ドラッグストアなどでも、例えば旧パッケージ商品が見切り品として扱われていることがあります。

“本当にお得な”見切り品
基本的には定価より安価で購入できるのが見切り品のよいところですが、 “本当にお得な”ものもあれば、買わないほうがいい見切り品もあります。買ってもよい見切り品を見極めるポイントを紹介します。
発酵食品が最もお得
キムチ、納豆、ナチュラルチーズなどの発酵食品は、腐敗するのではなく発酵が進むため、期限間近のものでも基本的においしく食べられ、最もお得と言える見切り品でしょう。

傷みが少なく、加熱調理ができる生鮮食品もおすすめ
野菜や肉、魚介などで、傷みが少なく、かつ購入後にすぐ調理するものや、下味をつけて冷凍できる生鮮食品もおすすめです。見切り品は傷みかけている場合も多いため、基本的には加熱調理できる食材を選びましょう。
総菜なら揚げ物がおすすめ
調理済みの総菜であれば、とんかつなど揚げ物の見切り品がおすすめです。例えば、とんかつや天ぷらはだし汁、卵、ネギなどを加えて卵とじにし、ボリュームアップも可能。調理の工夫で、人数分購入しなくても充分なおかずにすることもできます。

調味料系は普段使っているものを
普段使っている調味料がパッケージ変更などで見切り品になっている場合も、お得な見切り品と言えます。塩や上白糖など賞味期限がないものは特におすすめです。
また、カレールーやシチューのルー、鍋の素なども、期間限定商品や季節限定パッケージが見切り品になっていることがあります。確実に使うと思えるものであれば、お得といえます。
日用品も普段使っているものならおすすめ
洗剤、柔軟剤、シャンプーなどの日用品も調味料と同様に、普段使っているものであれば見切り品としておすすめです。新パッケージが出る時は旧パッケージが見切り品として並びやすいので、新パッケージが出たときは意識しておくとお得に買い物ができるかもしれません。
買わないほうがいい見切り品
続いて、買わないほうがいい見切り品について解説します。
傷みが多く、可食部が少ないものは避ける
生鮮食品の中でもとくに、傷んでいる部分を切り落として食べることを想定する野菜は、可食部がどのくらいあるか確認しましょう。パッと見で見えない部分も傷んでいる可能性が高く、割高になるケースがあるので、可食部がはっきり確認できないものはあまりおすすめできません。

なじみがない食品は持て余しやすい
普段あまり使わないご当地食材や食品、海外の調味料など、なじみがないものや未知の食品はたとえ安くなっていてもおすすめできません。持て余しやすく、食べきれないままダメになってしまう可能性があるためです。
節約の観点からは安くても嗜好品はNG
節約という観点では、お菓子やジュースなどの嗜好品もおすすめできません。たとえ半額であっても、本来であれば”買う必要のなかった”出費になります。まずは自炊のための食材を買うことを意識しましょう。
元値が高いものも節約には向かない
国産和牛のような元値が高いものは、半額シールがついていても決して安くはないので、節約をするなら避けましょう。お肉の見切り品は、豚小間や鶏胸肉など、普段使い慣れているお肉であれば買っても問題ありません。

普段使っていない日用品も避けたほうがいい
日用品も、普段使っていないものであれば、見切り品でも避けたほうがベターです。いざ使ってみたら使用感が合わなかった、ということも考えられます。元々使ってみたいと思っていたものなどであれば、安く試せる機会になるのでいいでしょう。
見切り品は「普段使うものが安くなっていたら買う」のが鉄則
見切り品は普段より安く購入できるため、節約のことを考えるとついつい手が伸びやすいですが、あくまでも「普段使うものが安くなっていたら買う」という位置づけで利用することが大切です。
いくら安くても、おいしくなかったり、持て余してしまったりしたら元も子もないので、使うときのことを考えたうえで見切り品と上手に付き合っていきましょう。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/新藤まつり