物価高によって家計の負担は増える一方。通信費や住居費など固定費の削減は家計を守るために大事だが、それとともに変動費の削減もポイント。セール品やファストファッションの購入など、一見節約になる買い物術の中にはマネーのプロがあえてやらないものもあるという。その理由を教えてもらった。
バーゲンに行かないことでムダ遣いが減る
一度「やめる」ことを選択すれば、固定費はその後もずっと節約効果が続く。工夫が必要なのは食費や洋服などの「変動費」だ。専門家たちはここでも「やらない」ことを明確にし、効果的に出費を抑えている。
金融・投資コンサルタントの永田雄三さんは、買い物の考え方を変えた。
「“バーゲンに行かない””デリバリーアプリをスマホから削除する”といった少しの工夫で、ムダ遣いは減らすことができる。どんな買い物でも『安いかどうか』ではなく『必要かどうか』で考えるべきです」(永田さん)
海外の激安ファッション通販も100円均一も避けるべき
近年注目を集めている「SHEIN」などの海外の激安ファッション通販サイトなども“安物買いの銭失い”になりやすいと、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは語る。
「そうしたサイトは見ないことにしています。手持ちの洋服を登録・管理できる『XZ』というアプリを使ってみると、自分のファッションの好みや長く着られる洋服の価格帯と“賞味期限”がわかったので、ユニクロやGUといったファストファッションもまったく興味なし。同様に100円均一もめったに利用しません」(黒田さん)
「即決」を避けることがムダ遣い予防に
家計再生コンサルタントの横山光昭さんは、欲しいものがあっても「即決」しないことでムダ遣いを防いでいると話す。
「深夜は判断能力が鈍っているので、夜にネットショッピングのサイトを見るのはやめました。
何か欲しいものがあっても、カートに入れて1日おき、本当に欲しいかどうか検討します。また衝動で食べ物を買わないよう、空腹時にはスーパーに行かないことをおすすめします」(横山さん)
スーパーのはしごは時間もムダに
食費を抑えるためにスーパーをはしごするのも、プロから見れば節約効果に乏しいと黒田さんは言う。
「探し回る時間がもったいないのでやめました。その代わり、いまは必然的に安くなっていて栄養価も高い旬のものを中心に買うようにしています。また、子供が高校を卒業して毎日お弁当をつくらなくてよくなったのを機に、冷凍食品を買うのをやめました。便利ですがやはり割高なので、コスパがいいとはいえません」(黒田さん)
「いつもの」と当たり前化した買い物こそ見直しを
「いつもの牛乳」「いつものティッシュ」など、それまで当たり前に買っていたものを思い切って安いものに変えたり、習慣化していた行動を見直したりするのは、節約上手への第一歩。消費生活アドバイザーの丸山晴美さんは、
「休日のレジャー代わりに家族でショッピングモールに行くのはムダ遣いが増えるのでやめました。
以前は夢中だった『推し活』も、有料チャンネルがいくつもあったり、ファンミーティングの3万円もする席が“見切れ席”だったりと、ただ好きでいるだけでお金がかかるビジネスモデルに冷めてしまって卒業しました」(丸山さん)
年賀状やお中元もメールやLINEで済ませる
年賀状やお中元、お歳暮といった季節ごとの挨拶も、いまやメールやLINEで済ませる人は多い。
「外食をやめた分、少しいい食材を買ってきて家で調理するなど、出費を抑えつつも生活の質を落とさない工夫をするのが、無理なく節約を続けるコツです」(黒田さん)
プロが実践「買い物でやめたこと」
【セール、バーゲンでまとめ買い】
値引き率につられて必要ないものまで購入し、安物買いの銭失いに。
【安い食品を求めてスーパーをはしごする】
時間のムダ。いちいち探し回って選ばず、旬のものだけを買えばいい。
【激安ファッション通販】
安くても品質が悪いことがあるうえ、本当は欲しくないものまで買ってしまいがち。
【ユニクロ、GUなどファストファッション】
「安いから」とつい手に取ってしまうが、買っても着ないことが多い。
【レジャー代わりにショッピングモールへ行く】
家族が欲しがるものを買ってしまい、余計な出費に。「ついでだから」と外食も増える。
【冷凍食品】
子供の弁当づくりには重宝したが、コスパは悪い。
【年賀状、お中元】
感謝を伝えたり季節の挨拶はメールやLINEで充分。
【推し活】
動画視聴チケットやファンミーティングのプレミア席など、「好きでいるだけでお金がかかる」のはおかしい。お金をかけなくても推すことはできる。
※女性セブン2024年8月1日号