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《マネー専門家が実践する家計見直し術》キャッシュレス決済の賢い使い方、あえて「ポイ活をやめる」という手も

黄色い財布にお札や小銭がはいっている
家計を守るためには、実は「余計なことをしない」方が効果的(Ph/イマージマート)
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物価高が続くなか、家計の見直しは急務だ。実は、家計を守るためには、「余計なことをしない」方が効果的。固定費や変動費と並行して“支払い方法”も見直すべきだ。当たり前になりつつあるキャッシュレス決済にも見直すべき点がたくさんあるとマネーのプロが教えてくれた。

クレジットカード支払いを固定費に限定

例えば、ついクレジットカードで衝動買いをしてしまう人は一度「クレジットカード」をやめてみるのも手だと、家計再生コンサルタントの横山光昭さんは言う。

パソコンのキーボードとスマホの近くにおもちゃのショッピングカートがあり、カートの中にクレジットカードが数枚入っている
ついクレジットカードで衝動買いをしてしまう人は一度「クレジットカード」をやめてみるのも手(Ph/PIXTA)
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「実は昔は浪費しがちで、お金があればすぐに欲しいものを買ってしまっていました。浪費家にとって“お金を使った感”が薄く、使いすぎても翌月までわからないクレジットカードは危険。いまも日常的にクレジットカードは使わず、通信費や水道光熱費の引き落としなど、基本的に固定費の支払いのみに使用しています」(横山さん)

財布を持ち歩くこと自体を減らす

浪費の心配がないなら「現金払い」をやめてキャッシュレス決済を活用する方がお得だ。いまでは現金をほとんど使わなくなったというファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは、財布を持ち歩くことすら減ったという。

「キャッシュレス決済で貯まるポイントの還元率はいまや見逃せないほど大きい」(黒田さん)

多くの決済方法は還元率が1%ほど。例えば10万円使えば1000円分のポイントがつく。食費や光熱費を1000円節約するのはそう簡単ではないことを思えば、キャッシュレスを使わない手はないだろう。

キャッシュレス初心者には「交通系ICカード」がおすすめ

ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは、キャッシュレス初心者の“デビュー決済”として、Suicaなどの「交通系ICカード」をすすめる。

「電車やバスに乗るときは使いこなしているのに、買い物には使わないという人が多い印象です。

駅のきっぷ売り場のほか店のレジでも現金でチャージでき、かざすだけで決済できるので、コンビニで飲み物などを買うときやスーパーで会計するときなど、キャッシュレス決済にチャレンジしてみましょう」(山崎さん)

「クレカ」よりも「デビット・プリペイド」を使いこなす

また、キャッシュカードに「デビットカード」の機能がついていることに気づいていない人も多いと、山崎さんは続ける。

財布からクレジットカードを出している手元
浪費の心配がないなら「現金払い」をやめてキャッシュレス決済を活用する方がお得(Ph/イマージマート)
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「手持ちのキャッシュカードにクレジットカードのロゴとICチップがついていたら、そのままクレジットカードとしても使うことができる。これをデビットカードといいます」(山崎さん)

デビットカードの特徴は、支払った金額が即時に銀行口座から引き落とされること。クレジットカードのように翌月払いではないので、使いすぎて後から困るようなことが少なく、キャッシュレスと現金払いの“いいとこ取り”の決済方法だ。

クレジットカードよりもデビットやプリペイドを使いこなしたほうがお金上手という図
キャッシュカードに「デビットカード」の機能がついていることに気づいていない人も多い
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キャッシュレス決済を使いこなすコツは「いくつも手を出さず、厳選すること」だと、山崎さんは言う。

「Suicaなどの電子マネー系と、PayPayなどのQRコード決済系を1つずつ設定するだけで、日常生活のほとんどでキャッシュレス決済ができるようになります。

QRコード決済なら、使える店が多いPayPayかd払い、楽天ペイなどがおすすめです。レジに決済方法が表示されているので、普段使う店でチェックして、自分の行動範囲内で使える店が多いものを1つ、導入してほしい」(山崎さん)

ムダ遣いが増えるなら「ポイ活」もやめるべき

ただし、ポイント欲しさにどんどん買い物をしては本末転倒。金融・投資コンサルタントの永田雄三さんは「ポイ活をやめる派」だ。

「そもそもお金を使わなければポイントはもらえません。『ポイント10倍デー』などにつられて余計な買い物をしていては“ポイ活貧乏”になる。ポイントカードをたくさん持っている人ほど気をつけてほしい」(永田さん)

「残し貯め」ではなく「天引き貯蓄」を

プロに倣って「やめどころ」を把握できれば大きく出費を削ることができる。だが、ただやみくもに支出を削っては、お金も貯まるがストレスもたまる。

無理なく老後資産寿命を延ばすためには「○年後までに○○○万円貯めたい」と、具体的な目標金額を決める「貯蓄計画」が必須だ。毎月の収入で生活し、残った分を貯める「残し貯め」はやめて「天引き貯蓄」を実践しよう。

「残し貯めは自分の意思に頼った“根性論”なので、現実的ではありません。収入の額にかかわらず『毎月5万円』を天引き貯蓄してほしい。毎月の収入が一定である保障はどこにもないので“手取りの○%”という割合で考えるのもやめ、『定額、天引き』にしましょう。

理想は『毎月5万円×10か月+ボーナス月25万円×2』で、年間100万円貯めることです」(永田さん)

天引き貯蓄には財形貯蓄や社内預金など、給与から自動で天引きされる方法を選ぶのがいい。

「毎月自分で口座に振り込まなければならない定期預金は手間がかかる一方で利息が少ないのでやめました。老後資金など、長期で必要なお金は基本的に国民年金基金やロボアド投資などで備えながら増やすようにしています」(消費生活アドバイザーの丸山晴美さん)

永田さんによれば、貯蓄には「200万円の壁」と「450万円の壁」があるという。

「まず、200万円貯められなければ、それ以上のお金を貯めることは一生かかっても難しいでしょう。

一方で、450万円貯められれば、1000万円が見えてくる。マラソンと同じで、折り返し地点を乗り越えられれば自信と勢いがついてくるものです。

間違った買い物の仕方や意味のない節約をすべてやめることで、5年で1000万円の貯金を達成した人は少なくありません」(永田さん)

ムダなものを削ぎ落とせば、効果的な老後資金計画が実践できるのだ。

※女性セブン2024年8月1日号

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