手軽さや簡便さも重視され、健康食品やサプリメントなど、健康増進・病気予防に関連するビジネスが活況だ。しかし、「かえって体に害を与えかねない危険なビジネスも紛れている」と専門家らが指摘する。病気のリスクを減らすための「減塩」や「糖質オフ」といった健康・機能系食品にも注意が必要だ。
もはや「減塩」は「時代遅れ」
精神科医の和田秀樹さんは、そもそも減塩自体が「時代遅れ」だと指摘する。
「塩分の過剰摂取は高血圧を招き、脳卒中や心臓病のリスクが高まるといいますが、そうした病気を予防したいなら血管を強くすればいい。塩分は体にとって必須栄養素ですから、あまりにも減らしすぎると、かえって健康を損ねることもあります」(和田さん・以下同)
塩分過多な食事が腎臓へ負担をかけるなど心配される面があることは否めないとしたうえで、和田さんは「厚労省が推奨する2倍程度の塩を摂って」とアドバイスする。
「世界的に権威のある医学誌『NEJM』で、摂取食塩ベースが1日あたり10~15gの人の死亡率がもっとも低いというデータが報告されました。さらに、それより少ない塩分を摂った人は死亡率が急増していることが明らかになった。
減塩しすぎると、低ナトリウム血症になって頭痛や倦怠感などの症状が出ることもある。減塩食品をむやみやたらに選ぶよりも、自分が1日に摂る塩分摂取量を把握・管理した方がいいでしょう」
発がんの可能性が指摘された人工甘味料も
塩分同様、“健康の敵”とされているのが糖分。糖質制限ダイエットはブームを経て定着し、近年「糖質オフ」「低糖質」を看板にする食品が、お菓子や飲料、お酒、調味料などあらゆる分野でトレンドになっている。しかし、実はそれらの多くには砂糖の代わりに人工甘味料が使用されているケースが散見される。
砂糖に比べてごく少量で甘みが出て、血糖値の上昇に与える影響が少ないなどの利点が評価されてのことだが、人工甘味料について、WHO(世界保健機関)傘下のIARC(国際がん研究機関)は昨年、「アスパルテームに発がん性の可能性がある」との見解を示した。すなわち、糖質オフにすることが、がんのリスクを上げることになりかねない。
和田さんは、「そもそも加齢とともに糖は必要」だと言い添える。
「ブドウ糖が不足すると、脳の働きを鈍らせ、認知機能においてもデメリット要因となる。60才を過ぎたら、どんどん食事量は減って、むしろ低血糖の方がリスクになる。過剰な制限は絶対に避けて」
※女性セブン2024年8月8・15日号