原始人の食生活を真似た「パレオダイエット」は、アメリカでも繰り返し流行しているダイエット法。

ハリウッドのセレブたちやオリンピック選手も実践し、成果をあげているという。そんな「パレオダイエット」の基本は、「人工物を摂らない」こと。味つけにも、天然素材を使う。
「例えば、納豆はタレも醤油も使わず、味つけはしらすとレモンで。刺し身も醤油を使わずにわさびのみで食べましょう。肉は焼くだけで、塩を振らないように」
と、『Dr.奥井式 原始人ダイエット』(ベースボール・マガジン社)の著者で医学博士の奥井識仁さんは説明する。
「物足りなかったら、塩分に代わる天然素材で代用を。うまみ成分の入ったあごだしは、ミネラルもたっぷりでオススメ。天然物だけを揃えることに大変さを感じるのなら、70%達成ぐらいの気楽さでやるといいですよ」(奥井さん、以下「」同))
朝・昼・夕の食事は、1:1:0.5で

夜に炭水化物や糖分を摂ると、体脂肪が落ちなくなる。夜の食事は早めにとり、量も減らして、少しお腹が空いている程度に。
「空腹に耐えられなくなったら、日本製のツナ缶をひとつ。油を捨てずに食べれば、便秘も解消します」
野菜→肉の順で食べ、米は副菜に。納豆と玄米を推奨
「パレオダイエット」では、野菜や肉、魚を中心に食べるけれど、肉(アミノ酸)ばかり食べると、体の中の酵素が変わって大腸がんになりやすくなる可能性が。また、動脈硬化性の心臓疾患の発生につながる有機化合物が、腸内に増えてしまう。

「肉食が増える分、腸内細菌を増やすために乳酸菌を一緒に摂る必要があります。その点、納豆はパレオダイエットの欠点を補う、日本人に最も合う食材です。炭水化物も運動量に合わせて摂りましょう。食べるなら食物繊維を含み腸の掃除もしてくれる玄米を」
まず野菜、肉(魚)の順で食べ、玄米は適量を副菜として食べるのがコツ。食物繊維から食べると効果的と実証されている「食べ順ダイエット」も、「パレオダイエット」からつながっているといえるのだそう。
→リバウンドなしで痩せる「パレオダイエット」については【こちら】
続いては、「パレオダイエット」の推奨食材について、『Dr.奥井式 原始人ダイエット』(ベースボール・マガジン社)の著者で医学博士の奥井識仁さんが解説。
たんぱく質(魚介類、肉)

◎ 放牧の豚、牛の赤身
○ 牛肉・豚肉の赤身、鶏肉、魚、貝、海藻、うなぎ白焼き(蒲焼きはNG)
△ 霜降り肉、ツナ缶、野獣、野鳥
× ウインナー、ソーセージ、ベーコン、塩辛、すじこ、明太子
養殖した魚は避け、なるべく天然のものを。魚も肉も、塩分の多い加工品はNG。肉は赤身の肉、特に放牧の肉が◎で、霜降り肉やフォアグラは×。オーストラリアやアメリカンビーフは、中には合成ホルモンが使われているものも。避けるのが無難。
食物繊維(果物、野菜、海藻、きのこ)
○ 果物、野菜、やまいも(でんぷんがあるが、性ホルモン分泌が良好になる)、ゴボウ
× じゃがいも、さつまいも、とうもろこし
野菜は、じゃがいも、さつまいも、とうもろこしといったでんぷん質のものを除いて、基本的にOK。特にごぼうとやまいもはオススメ。皮ごと食べるほど効果があるため、できるだけ農薬を使っていない食材を選んで。
食物繊維のある果物は食べてもいいが、果物のみはNG。ただし、甘みや酸味をソース代わりにして野菜や肉と一緒に食べるのならOK。
脂質
○ アマニオイル ココナッツオイル(ヴァージンココナッツオイルがベスト)、オリーブオイル
× マーガリン、キャノーラ油などの食用油
固体の脂より、体内に入って腸管で吸収された後、血管の掃除もしてくれる液体の油が◎。腸で吸収されなかった油は、排便の潤滑油として便秘解消にも。
また、魚の油は10度ぐらいの水中では固体でも、37度の人間の体に入ると液体になる。一方、豚と牛の脂は人間の体に入っても固体のまま。なるべく魚の油を摂りたい。
炭水化物(穀類、豆、豆腐)

○ ナッツ、納豆、玄米
× 小麦粉、白米、うどん、パスタ、そば
「原始時代にはあまり穀類がありませんでした。とはいえ、すべての炭水化物を摂らないことは、オススメしません」と奥井さん。
ナッツ類は優良な油である「オメガ3脂肪酸」を含むので◎。特にクルミは「ビタミンB1」や「ビタミンE」、「食物繊維」を含み、痩せる”性ホルモン”の元になる。納豆は腸内細菌のためにも特に推奨。豆腐もたんぱく質、脂質の割合がダイエットに適する。小麦粉を使った食品は体重が戻ってしまうため、食べるなら玄米を。
「パレオダイエット」中にNGの食材
□ 砂糖、調味料、塩分の多い食品(ドレッシング、みそ汁など)
□ トランス脂肪酸が含まれる商品(マーガリンやピーナッツバター、マフィンなど)
□ お菓子
□ ジュース、炭酸水、お酒
トランス脂肪酸は、摂り過ぎると悪玉コレステロールを増やすので×。調味料も基本的にNGだけれど、お酢と果実酢はOK。また、人工物の腸への適度な刺激のない食べ物は、ホルモン異常をきたしやすい。ノンカロリーの甘味料を含むものは、かえって太るとの研究も。お菓子や清涼飲料水には注意を。
パレオの食事で分泌される「性ホルモン」には、痩せるだけでなく更年期障害を防ぐ効果もあるとか。年齢を問わず健康に痩せられるパレオダイエットは、チャレンジして損はなさそう!
参考/『Dr.奥井式 原始人ダイエット』(ベースボール・マガジン社)
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監修:奥井識仁(おくい・ひさひと)

1965年生まれ。よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長。医学博士。東京大学大学院医学系修了。ハーバード大学臨床留学。国内外の患者への手術を年間800件行う女性泌尿器科の世界的外科医のひとり。神奈川医師会学術功労者や世界のトップオピニオンリーダーに選出されたり、運動とホルモン関係の受賞も多い。自身もダイエットの成功後、忙しい毎日の空いている時間を利用してトライアスロンに取り組み、数々のアイアンマン大会を完走している