健康・医療

夏バテ不調の改善に取り入れたい食材とは?漢方カウンセラーが不調別に教える“食薬プログラム”

夏バテ症状が気になるときは不調改善に働きかける食薬を取り入れて(写真/Photo AC)
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続く残暑のせいで、夏バテした体もなかなか回復しないもの。薬を飲むほどではない不調を改善するには、食材の力を借りるのも1つの手だ。そこで夏バテや体調不良を改善して健やかに過ごすための方法として、日本初の国際中医美容師で薬剤師の漢方カウンセラー・大久保愛さんにお悩み解決食材と活用レシピを教えてもらった。

いまある不調を改善する食薬プログラム

夏バテ症状があるなら、不調そのものを改善できる食薬を選ぶといい。

「漢方薬のような薬としての効果はありませんが、摂り続けることで悩みや症状を緩和し、予防効果が期待できるなど、薬に負けないくらいの威力を発揮します。心身ともに元気になりますよ」(大久保さん・以下同)

また、悩むほどではないが、「全身にだるさや体の重さを感じる」「ダラダラしてしまう」といった症状があれば、脳に疲労がたまっているかもしれない。

「脳は無限に活動できるのではなく、使える活動容量が限られています。仕事などの優先順位を事前に整理したり、スマホやパソコンなどから意識的に距離を置くデジタルデトックスを行って、シンプルに脳を使うように心がけましょう。高カカオチョコレートを食べると、脳疲労の回復に役立ちます」

【脳】体がだるくて、朝起きたときに疲れてぐったりしている

卵を食べよう!

「栄養が不足すると体のだるさを感じることがあります。そんなときは、卵料理がおすすめ。卵はたんぱく質、ビタミンB群、鉄、マグネシウム、亜鉛といったミネラルを含み、心身に最低限必要な栄養素をバランスよく含む食材。豆腐と一緒にみそ汁にし、朝食でいただくのがおすすめです」

《豆腐と卵のみそ汁》

「豆腐と卵のみそ汁」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】絹ごし豆腐150gはさいの目に切る。
【2】鍋に水2カップを入れて中火で熱し、沸騰したら【1】を入れ、溶き卵1個分を回し入れる。
【3】卵に火が通ったら、かつおぶしひとつかみとみそ大さじ2を溶き入れ、万能ねぎを添える。

【脳】立ちくらみやめまいがする

牛肉とトマトで鉄分を補給!

立ちくらみは脳への酸素供給量や貧血によって起きる。

「酸素や栄養は赤血球によって全身に運ばれるため、赤血球を構成している鉄の補給が必要です。この鉄とたんぱく質が豊富な牛肉に、ビタミンCが豊富なトマトを合わせれば、鉄の吸収率がアップします」

《牛肉とトマトのすき焼き風》

「牛肉とトマトのすき焼き風」のイメージ
「牛肉とトマトのすき焼き風」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】トマト2個はくし切りにする。そのほか、好みの具材を食べやすい大きさに切る。
【2】牛脂を熱し、牛薄切り肉200gを軽く焼き、すき焼き用の割り下1カップを加える。
【3】煮立ったら【1】を加え、火を通す。

【心】【脳】集中力が続かず、イライラしやすい

セロリで改善!

セロリの香りには鎮静作用があるためイライラを鎮め、自律神経も整えられる。

「抗酸化作用が高い葉の部分もきざんで一緒に食べましょう。また、鮭にはDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸が豊富で、脳の機能を改善する効果があります。ストレスを軽減するビタミンDも含まれるので一緒に食べて」

《スモークサーモンとセロリのサラダ》

「スモークサーモンとセロリのサラダ」のイメージ
「スモークサーモンとセロリのサラダ」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】ささみ2本にフォークで数か所穴をあけてポリ袋に入れ、塩少々と酒小さじ1をもみ込み、そのままレンジで2分弱加熱し、手でほぐす。
【1】みそ大さじ1、種を取ってたたいた梅干し1個分と【1】と和え、大葉を添える。

【胃】食欲がない

梅干しで食欲増進!

梅干しに含まれるクエン酸には胃の働きを助け、食欲増進効果があるだけでなく、疲労回復、肝臓の働きを助け、高温多湿でバテた体を癒す食薬だ。

「クエン酸のほかにも、リンゴ酸、ピクリン酸など多くの有機酸や、梅リグナンを含むため、抗酸化作用、抗ウイルス作用があり、夏風邪予防にもつながります」

《ささみの梅肉和え》

「ささみの梅肉和え」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】セロリ1本の茎は斜め薄切りにし、葉もきざんでおく。スモークサーモン200gは食べやすいようにそぎ切りにする。
【2】ボウルに【1】を入れて軽く混ぜ、オリーブオイルとレモン汁を各大さじ1弱と塩少々を加えて和える。

【胃】【腸】お腹の調子が悪い

大根が消化をお助け!

「大根にはでんぷんを分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するプロテアーゼ、脂肪の分解を助けるリパーゼなど、消化を助ける酵素が豊富。抗酸化・抗糖化作用があり、炎症を抑えるイソチオシアネートも含むため、お腹の不調全般に効果的です。長いもや納豆のネバネバもお腹にやさしい食薬になります」

《大根おろしとろろ納豆》

「大根おろしとろろ納豆」のイメージ
「大根おろしとろろ納豆」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】長いも(約5㎝)は皮をむいてすりおろし、大根(約5㎝)は皮をむかずにそのまますりおろす。
【2】器に長いものすりおろしを敷き、混ぜた納豆1パック、大根おろしの順に重ね、きざみのり適量をのせる。しょうゆやポン酢など、好みの調味料で食べる。

【肌】春よりもシミやしわが増えた

緑黄色野菜で抗酸化

紫外線は目に入ると脳内で活性酸素を大量に発生させ、全身のメラノサイトを活性化させるため、紫外線を直接浴びていない皮膚までも黒く日焼けさせ、老化を加速させる。

「太陽を目にしない日はほとんどない。この季節はとにかく抗酸化作用のある食材を取り入れ、紫外線ダメージを全身に広げない対策が大切。緑黄色野菜がおすすめです」

《かぼちゃとにんじんのポタージュ》

「かぼちゃとにんじんのポタージュ」のイメージ
「かぼちゃとにんじんのポタージュ」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】かぼちゃ150gとにんじん1/2本を耐熱性のジッパー袋に入れ、レンジで5分加熱。
【2】みそとすりごま各大さじ2を加え、袋の上からつぶす。
【3】【2】を鍋に入れ、無調整豆乳2カップを加えて中弱火でひと煮立ち。塩、粗びき黒こしょうで調味し、好みのオイルを。

【脳】よく眠れていない

帆立でぐっすり

帆立には、睡眠を深くする作用があるとされるアミノ酸の一種グリシンが含まれており、睡眠の質を高める効果が期待できる。

「帆立にはミトコンドリアに必要なたんぱく質、鉄、マグネシウム、ビタミンB群も含まれるため、不眠によって生じた疲労から、心身を回復させる効果もあります」

《帆立とえのきたけのソテー》

「帆立とえのきのソテー」のイメージ
「帆立とえのきのソテー」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】キャベツ1/8個分はざく切りに、えのきたけ1袋分は根元を切り落とし、半分の長さに切ってほぐす。
【2】フライパンに油大さじ1を熱し、にんにくのみじん切り1片分と【1】、帆立200gを炒め、塩こしょうで調味する。

【脳】体の疲れはさほど感じなくても、なんだかボーッとする

鶏胸肉で活性酸素を消去

「私たちは本来、活性酸素を消去したり、酸化した細胞をすぐに修復するシステムを持っていますが、処理が追いつかずに活性酸素が蓄積し、脳疲労が慢性化してしまいます。抗酸化作用があり、イミダゾールペプチドが多く含まれる鶏胸肉は、脳と全身の疲労回復に役立ちます」

《鶏胸肉とピーマンの炊き込みご飯》

「鶏胸肉とピーマンの炊き込みご飯」のイメージ
「鶏胸肉とピーマンの炊き込みご飯」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】鶏胸肉150gはしょうゆ・酒各小さじ1で下味をつけ、細かく切る。
【2】まいたけ1パックも細かく切り、干ししいたけ2枚は水で戻して薄切りにする。
【3】炊飯器に米2合、みりん・酒各大さじ1、しょうゆ大さじ3を入れ、分量まで水を入れたら、上に【1】【2】をのせて炊く。
【4】炊けたら7~8㎜角に切ったピーマン1個分を入れて混ぜ、蒸らす。

【胃】【腸】【肌】熱はないのに熱っぽい

トマトで熱を冷ます!

トマトは、漢方医学の薬膳では「寒性」に属し、体内の熱を冷ます働きがある。

「夏野菜は全般的に水分が多く、熱を冷ます作用があるため、夏に積極的に食べた方がいいんです。特にトマトには抗酸化作用のあるビタミンA・C・Eも豊富。油と炒めることで吸収力が高まります」

《ラタトゥイユ》

の作り方

「ラタトゥイユ」のイメージ
「ラタトゥイユ」の作り方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】なすとズッキーニ各1本と、トマト1個はヘタを取って角切りにする。
【2】フライパンにオリーブオイル大さじ1とすりおろしにんにく小さじ1/2を入れて弱火にかけ、香りが出てきたら、皮をむいて角切りにした玉ねぎ1個分を加えて炒める。
【3】しんなりしてきたら【1】を入れ、コンソメ顆粒、塩こしょうで調味。バジルを添える。

高カカオチョコレートは、脳を省エネ化する

今年2月に理化学研究所と明治による最新の共同研究は、高カカオチョコレートを摂ることが、認知パフォーマンスの維持や脳活動の効率化、「脳の省エネ化」につながる可能性があるという研究結果を発表している。

(左)「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>18枚入り」86g 367円/森永製菓、(右)「チョコレート効果 カカオ72% 26枚入り」130g 480円/明治
(左)「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>18枚入り」86g 367円/森永製菓、(右)「チョコレート効果 カカオ72% 26枚入り」130g 480円/明治 ※価格は編集部調べ
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「チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには、抗酸化作用や血管内皮細胞の機能を向上させる働き、脳血流量を増大させ、認知機能を改善する働きがあるといわれています。暑さで疲れやすく思考力や集中力が低下する夏は特に、疲れを感じる前から高カカオチョコレートを食べる習慣をつけるといいでしょう。カカオの配合率は70%以上が目安です」(大久保さん)

◆教えてくれたのは:薬剤師、国際中医美容師・大久保愛さん

薬剤師で国際中医美容師の大久保愛さん
薬剤師で国際中医美容師の大久保愛さん
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北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人初の国際中医美容師資格を取得。著書に『体がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。https://x.com/ai_loveflower?lang=ja

取材・文/山下和恵

※女性セブン2024年9月5日号

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