加齢に伴うお困りごとは「地域包括支援センター」へ
老後の大きな心配事の2つ目は「健康」に関しては、「地域包括支援センター」に頼るのがおすすめだ。地域包括支援センターは、介護・医療・保険・福祉などの側面から高齢者を支える、いわば高齢者の暮らしを地域でサポートする「よろず相談所」だ。
「地域包括支援センターは、介護サービスの窓口ともなりますので、場所や連絡先など、元気なうちに確認し、担当者の方などと、つながっておくことです。そして、少しでも困ったことがあったら、連絡先の1つとして覚えておきましょう」
かかりつけ医・かかりつけ薬局を持っておく
最近では、かかりつけ医を持たない人も増えている。しかし、かかりつけ医を持つことは自分の体のことを把握している人を持つことであり、自分自身の「安心」につながる。かかりつけの薬局も持っておけば、さらに安心だ。
「医師は、自分の専門分野の薬には詳しいですが、専門外の薬を使用することになった場合など、『かかりつけ薬局』の薬剤師のアドバイスは有効です」
もしもの備えに筋トレを
もしものときの備えとして、黒田さんがもう1つすすめているのが、筋トレをすることだ。もしもの備えといえば「保険」がイメージされやすいが、保険は「必要な額だけ、必要な期間だけ」掛けるのが大前提。何かあったときのためを考えて補償の手厚い保険を選んだとしても、掛け捨ての保険の場合、病気にならなければ損をすることになる。
「それよりも、保険はほどほどにして、がん健診を受けたり、筋トレをしたり……『病気にならないほう』に時間とお金をかけたほうが合理的ではないでしょうか。どれだけ医療が進歩しても、病気にはならないのが一番ですから」
◆教えてくれたのは:CFP、1級FP技能士・黒田尚子さん
くろだ・なおこ。CNJ認定乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格。大学卒業後、日本総合研究所に入社。在職中にFP資格を取得し、その後FPとして独立。医療、介護、老後、消費者問題などに注力しながら、一般社団法人患者家計サポート協会顧問や城西国際大学の非常勤講師も務める。著書に『終活1年目の教科書 後悔のない人生を送るための新しい終活法』(アスコム)など。