
「100才まで元気でいるためには、酸素や栄養を体の隅々まで届ける血管をしなやかに保つことが不可欠。そんな“長生き血管”をつくる基本は、やはり運動なんです」と話すのは「血管先生」こと池谷敏郎さん。池谷さん考案の簡単エクササイズは、特別な道具不要で、息切れもなし! 無理なく続けられる体操で「100年血管」を目指しましょう!
高血圧は動脈硬化を引き起こす最大の危険因子
「血圧が高い状態が続くと血管のしなやかさが失われ、壁が厚く固くなっていきます。これがいわば、血管の老化。放置するとやがて血管内が傷つき、動脈硬化が進行して、脳卒中や心筋梗塞といった“血管事故”へとつながっていくのです。このような重篤な疾患を防ぐ一番の予防策が、運動なんです」(池谷さん・以下同)
体を動かすことで血流がよくなり、血管内皮細胞から一酸化窒素(NO)が分泌される。このNOが血管を拡張し、圧力を和らげることで血圧が自然と下がるという。
「運動は血管を若返らせる、天然薬です」と話す池谷さん考案の体操は、猛暑でも運動が苦手でも無理なく続けられるのもポイント。日常に取り入れて、血管から若返ろう!
ゾンビ体操は血管のための最強エクササイズ
池谷さんイチオシの「ゾンビ体操」は、血流を促進し、全身に血液をめぐらせることで血圧を改善。高血圧はもちろん、糖尿病、腰痛、ストレスの予防・改善などにも効果が期待できる。
「私はトイレまでの移動時に取り入れることで、毎日欠かさず行っています」

基本姿勢
《頭は真っすぐ前に向ける》
横から見て耳・肩・腰・足のラインが一直線に並ぶように。
《胸を開くようにして、張る》
胸を開くと肩に力が入りがち。力まずに姿勢をキープ。
《肩の力を抜く》
両腕はだらんと垂らしてOK。両肩が体の前に出ないように注意。
《お腹がへこむように力を入れる》
お腹に力を入れることで、背筋も伸びやすくなる。
《背筋を伸ばす》
背中は丸めずにスッと伸ばす。
《指の力は抜く》
指先は無理にそろえようとせずに、力を抜く。
ゾンビ体操を行う際の注意点
● 血圧が高い、起きてすぐは避ける。
● 夏場は涼しい屋内などで行う。
● 空腹時は避け、水分をしっかり摂ってから行う。
● 転倒の危険や血行がよくなりのぼせてしまうことがあるため、風呂場で行うのはNG。ゾンビ体操は入浴前が◎。
● 背中を丸めた姿勢では効果がないうえ、首や腰を痛める原因に。
● 力を入れるのはお腹だけ。ほかの部分に余計な力が入ると逆効果。
● 睡眠不足のときや体調が悪いときはやめておく。
【1】《60秒》足踏み~ジョギングしながら両腕をブラブラ
かかとを上げてその場で足踏み(慣れたらジョギング)をしながら、背筋を伸ばし、ゾンビのように両肩・腕・手の力を完全に抜いた状態で、上半身をねじる。子供が「イヤイヤ」と駄々をこねるような動きをイメージするとわかりやすい。
肩や腕の力を抜きつつ、お腹に力を入れると、上半身が支えられて基本の姿勢が保ちやすい。



・肩の力を抜いて両腕は自然にブラブラ
・肩をやわらかく動かして上半身をねじる
・腕の力は抜く
・このときの足踏みはかかとをつけてOK
・お腹はへこませた状態をキープ
・かかとはつけないつま先だけで足踏み~ジョギング
【2】《30秒》その場で足踏みしながら休憩
60秒の【1】動きを行ったら、30秒インターバル。両手を大きく振ってその場で足踏みしながら、呼吸を整える。

30秒後に再度の【1】動きへ。このように「イヤイヤ運動60秒+足踏み30秒」を3回繰り返すのが基本。

・呼吸を整える
・肩の力を抜いたまま両腕を大きく振る
【1】+【2】を1セットとして、1日3回!回数が多いほど効果アップ
《POINT》ひざはあまり高く上げなくてOK!
はじめは足踏みからスタート。慣れてきたらスピードアップして、ジョギングに近づけていく。

《上半身の運動効果》
血流をよくして冷えを解消。
こりを和らげて肩の動きをスムーズに。
背筋を鍛えて正しい姿勢に。
ウエストをひねってシェイプアップ。
ポッコリお腹を引き締める。
《下半身の運動効果》
血管が開いて血流アップ。
脚から全身へ血液がめぐる。
足先に温かい血液が流れ、冷え知らずに。
ふくらはぎの運動により、リンパ液や静脈の流れが改善し、むくみを解消。
足指を強化して転倒を予防。
背部痛や腰痛の予防に。
太ももを鍛えてひざ痛を予防。