不調改善

不快なおならやお腹の張り…食べ物やストレスが原因のことも 改善するにはどうしたらいい?医師が解説

お尻を押さえる人
おならには原因別の対策を
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腸内環境が悪化すると起こる不調の1つにおならがある。お腹が張るなど不快な症状をともなうおならを改善するには、腸内環境悪化の原因を知った上で対策が必要だと医師の木村眞樹子さんはいう。そこで、腸内環境が悪くなる原因、対策として食事や漢方薬について教えてもらった。

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おならの原因であるガスが溜まる理由

食事の際に飲み込んだ空気や腸内で発生したガスが、体外へ排出される際におならが出ます。おならの回数が増えるのは、腸内でガスの発生量が増えていることが主に関係しています。

胃や小腸などでの食べ物の消化が不完全なまま大腸に運ばれると、大腸の腸内細菌による分解が行われてガスが産生されます。腸内細菌は大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つがあり、このなかでも悪玉菌が増えやすい食事を続けているとガスが過剰に産生され、おならが発生しやすくなるのです。

お腹を押さえる人
腸内環境とおならの関係を解説
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また、腸のぜん動運動(腸の内容物を移動させ排便を促す腸の動き)は副交感神経が優位なときに活発になり、交感神経が優位な状態になると抑制されてしまいます。ストレスによって自律神経のバランスが乱れてしまうと、ぜん動運動が弱まって食べ物の消化に時間がかかるだけでなく、便秘になり、たまった便が異常発酵してガスが排出されやすくなります。さらに、たまった便が悪玉菌によって分解されガスが産生されるのも、おならが増える要因のひとつです。

ほかにも、空気の飲み込みすぎで起こる呑気症や、大腸癌や慢性胃炎、過敏性腸症候群などの胃腸の病気が原因で腸の機能が低下し、おならが増えることもあります。ゲップの回数も増えたり胃もたれを感じたりする場合は呑気症の可能性があり、おなら以外に下痢や腹痛など別の症状をともなう場合は胃腸の病気である可能性もあるため、気になる人は医療機関に相談してみましょう。

原因別おならの改善方法

おならを改善するには、ガスの発生を抑えるために腸内環境を整えることが必要です。

食べ物由来のおなら

脂肪分や食物繊維が多い食べ物を食べすぎると、消化不良や便秘につながり、腸内にガスがたまりやすくなります。

肉など動物性の食べ物を食べすぎると、胃や小腸で消化しきれず、消化が不完全な状態で大腸まで運ばれます。すると、大腸で消化される際に動物性たんぱく質をエサとする悪玉菌が増え、においのあるガスが発生しやすくなるため、肉は控えめに、とくにバラやホルモンなどの脂肪分の多い部位は避けるようにしましょう。

また、食物繊維は排便を促すため腸にいいイメージがありますが、便のかさを増やす不溶性食物繊維を摂りすぎると、便のかさが増えすぎて腸内をスムーズに進めなくなり、逆に便秘になる可能性があります。便秘時には不溶性食物繊維を多く含む豆類やきのこ類などの食べすぎに注意し、水溶性食物繊維が豊富な海藻類や果物類を摂ることを意識しましょう。

ストレス由来のおなら

アロマオイルのびん
アロマなどを活用してストレスを解消して
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前述のとおり、ストレスは自律神経のバランスを乱して腸のぜん動運動を低下させるため、便秘につながり、おならが出やすくなります。おならの原因となる便秘を改善、予防するには、日頃から心身の休息やリフレッシュを行い、ストレスをためないようにしましょう。

たとえば、アロマやハーブティーを活用したり半身浴をしたりするのがおすすめです。いずれも交感神経優位になった体をリラックスさせて、副交感神経を優位にする効果が期待できます。

アロマやハーブティーは自分が心地よく感じるものが一番ですが、迷ったらリラックス効果が期待できるラベンダーのアロマやカモミールのハーブティーを選ぶといいでしょう。半身浴では37〜39℃のぬるめのお湯に10〜15分程度浸かることで、副交感神経を刺激できます。

カモミールティー
カモミールティーにもリラックス効果が
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また、適度な運動は交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズにするため自律神経のバランスを整えることにつながり、さらに腸を刺激してぜん動運動も促します。ヨガやウォーキングなどのほか、仕事の合間や就寝前などに腹筋や股関節周りの筋肉を伸ばしたりひねったりする簡単なストレッチを行うのがおすすめです。

おならの予防・改善に役立つ食材

善玉菌を増やすことで腸内のガスを発生させる悪玉菌が減るため、おならの予防やお腹の張りの改善につながります。善玉菌を増やすには、ビフィズス菌や乳酸菌などが含まれる発酵食品や乳製品などを積極的に食べましょう。

また、善玉菌のエサになるオリゴ糖を含む食べ物をいっしょに食べると、より善玉菌が増えやすくなります。オリゴ糖を含む旬の食材のひとつが、りんごです。りんごに乳製品のバターやヨーグルトと合わせると効率的に善玉菌を増やすことができます。

りんごとヨーグルト
りんごと乳製品の組み合わせで腸活
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ほかにも、バナナ、キウイ、はちみつなどにもオリゴ糖が多く含まれています。脂肪分の多いお菓子をおやつに食べている場合は、オリゴ糖を含むフルーツに置き換えると腸内環境の改善につながるでしょう。

おならの悩みには漢方薬も役立つ

おならの悩みには、「お腹を温めて腸の動きを正常化する」「消化・吸収機能を整えて、ガスだまりや便秘を改善する」といった作用のある漢方薬を選び、腸内環境を整えます。

粉薬
おならの悩みに役立つ漢方薬を紹介
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おすすめの漢方薬

・大建中湯(だいけんちゅうとう)

血流をよくしてお腹を温め、腸の働きを活発にします。疲れやすくてお腹が冷え、ガスがたまりやすく急に腹痛が起こる人に向いている漢方薬です。

・平胃散(へいいさん)

胃腸の機能を整えて水分代謝をよくし、消化不良で胃や腸にたまったガスの排出を促します。胃腸の機能が低下し、げっぷやおならが多い人に向いている漢方薬です。

漢方薬を始める際の注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、効果が実感できないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用するときには漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:医師・木村 眞樹子さん

白衣を着た女性
医師の木村眞樹子さん
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きむら・まきこ。医師。

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。

自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でもサポートを行う。

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