ボディケア

「体臭」「加齢臭」「疲労臭」…イヤなにおいの原因は800種類の「皮膚ガス」 汗や皮脂が多いほどにおいは強くなる 遺伝や生活習慣、ホルモンバランスも影響

汗や皮脂が多いほどにおいは強くなる(写真/PIXTA)
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スーパーでふとすれ違った瞬間に、乗り合わせたエレベーターなど、ふわっと鼻に入る「イヤ〜なにおい」に思わず顔をしかめることが多いこの季節。他人のにおいが気になる一方、「自分もにおっていたらどうしよう」と心の中で思った人もいるだろう。そもそも、体臭はどのようにして生まれるのか。【前後編の前編。後編を読む

皮膚ガスは800種類

満員電車やエレベーター、混雑した雑踏などで気になるにおいは、汗をかきやすいいまの時期は特に鼻につく。強いにおいを発する人もいれば、季節にかかわらずにおいがしない人もいる。その差はどこにあるのか。体臭の原因について、東海大学理学部化学科教授の関根嘉香さんが解説する。

「私たちの体の表面からは、皮膚ガスというガスが出ています。成分はアンモニアやイソ吉草酸、ノネナールなどで、血液から直接、放散するものや、皮膚の表面で生成して放散するものなどいくつかのルートがあり、ガスの種類はいまわかっているだけで800種ほどあります。これがいわゆる体臭のもとです」

汗腺をルートとして出てくるガスがいわゆる汗のにおいで、皮膚の表面で生成されるものが加齢臭だ。たいや内科クリニック院長の加藤大也さんが続ける。

「つまり、体臭の原因は主に汗や皮脂。汗はエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類から分泌され、皮膚上の細菌が汗を分解することで特有のにおいが生じる。

また、真皮層にある皮脂腺から分泌される皮脂が酸化すると、ノネナールなどの物質が発生して加齢臭が生成されます。汗や皮脂の分泌が多いほど、体臭を強めることになる」

においの差を生むのは、汗や皮脂の量だけではない。

「まず遺伝的なものがあります。しかし、双子の人の皮膚ガスの検査をしても結果は異なります。体質のほかに、食事や生活、運動などの習慣が大きく影響しています。また、皮膚ガスは温度が高い方が活発に動きます。

外国人の体臭がなんとなく日本人と違うと感じるときがありますが、多くは食生活の違いによるものです。また、体温の違いも影響するでしょう」(関根さん)

男性の方が女性よりにおいが強い印象があるが、男女差について加藤さんはホルモンバランスを挙げる。

「男性ホルモンが多いとテストステロンが皮脂腺の活動を促進し皮脂分泌が増えるので体臭が強くなる。一方、女性も更年期以降、エストロゲンが減少してホルモンバランスが崩れることで皮脂分泌が増加して、加齢臭が強くなることがあります」

ツーンとしたアンモニア臭「疲労臭」

体臭や汗のにおいとともに、いま話題になっているのが「疲労臭」だ。

疲労でにおいが発生する場合がある(写真/PIXTA)
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「筋肉を使うためにエネルギーを消費すると、アンモニアが発生して皮膚ガスになります。また、精神的な疲れ、いわゆるストレスによっても血液中のアンモニアが上昇します。

血液由来なので、汗や皮脂の量に左右されるものではなく、老若男女を問わず出る可能性があります。それが逆に厄介で、体の内側から出るため皮膚表面を洗ったり拭いたりするだけでは抑えきれないのです」(関根さん)

本来、アンモニアは肝臓で解毒され尿素として排出されるが、疲労によって解毒作用は低下する。

「解毒されず、体内に蓄積したアンモニアが汗や呼気となって体外に放たれて、独特のにおいが生じます。

疲労臭はデスクワークや長時間労働によって慢性的な疲労が蓄積している現代人に多く見られる“現代病”ともいえます」(加藤さん・以下同)

調査の結果は女性の半数が体臭を気にしている結果となった
調査の結果は女性の半数が体臭を気にしている結果となった(出典/Femtur「夏の身体のにおい悩みに関するアンケート」(’2024年7月)
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※女性セブン2024年9月12日号

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