
掃除に洗濯、食事作りと日々の家事に終わりはない。なかでも「汚れを落とす」という作業は、食器洗い、洗濯、拭き掃除、ほこりや菌を落とすなどいくつもの家事に広範囲にかかわる。だからこそ、環境にやさしいコツをつかむことで、SDGsを叶えるだけではなく、節水など財布にもやさしくなる。“手肌にも地球にもやさしい”を掲げ、『ヤシノミ洗剤』などのロングセラー商品を生み出してきたサラヤに環境にやさしい汚れ落としのコツを教えてもらいました。
植物系食器洗剤の先駆け的存在
ヤシの実由来の洗浄成分を使用し、“手肌と地球にやさしい”を掲げる『ヤシノミ洗剤』が誕生したのは、1971年。環境への負荷が少ない植物系食器洗剤の先駆け的存在だ。サラヤ株式会社 広報宣伝統括部 統括部長・廣岡竜也さんは、コンセプトはいまも昔も変わらないと話す。
「植物性の洗浄成分を使って、無香料・無着色・排水で環境を汚さない。これは開発時から一貫する思いです。環境に負荷をかけないことはもちろん、肌にもやさしい洗剤を作りたかった。そのため合成添加物も極力入れずに作っています。
洗剤の原料となる植物油は、無色透明で無臭の状態にするまで精製するのは手間もコストもかかります。だけど、色や香りをつけたところで洗浄力が上がるわけではないし、手肌にも環境にも負担となります。だったら不要なものは入れない、というのが結論です」

環境にやさしい洗剤を作るからこそ、“環境にやさしい洗い方”も啓発している。
「やはりこれも“ひと手間”なんです。洗剤を使って洗う前に、汚れはあらかじめ落としておく。それは食器でも衣類でも靴でも同じです。そのひと手間で、洗剤や水の使用量が減るばかりでなく、排水による汚染も軽減できます」
植物由来の洗剤は“汚れを落としにくいのでは?”という声もたびたび聞かれるという。
「洗浄成分の配合量には非常にこだわっています。ヤシノミ洗剤に限らず全ての洗剤には界面活性剤が使用されていますが、界面活性剤にはたくさんの種類があり、その組み合わせはメーカー独自の配合です。サラヤでは少ない使用量でもしっかり汚れが落ちるよう洗浄成分を配合しています。人と地球の未来のためにも、必要最低限の洗剤使用量でしっかり汚れが落ちるのが理想です」
汚れを落とすコツ:洗い物編

ボウルや洗いおけを活用して水につけておく。その際にほんの少しだけ洗剤を入れて。汚れが浮いて落としやすくなり、洗う手間も減り、水や洗剤の使用量も節約できる。

いきなり水で流したり、スポンジを使うのはNG。大量の水や洗剤が必要になるばかりか、排水に汚れが大量に混じり環境に負担がかかる。

炒めものをした後の油汚れや、カレーやミートソースなどのベトベトした汚れは水やスポンジを使う前になるべく落としておこう。キッチンペーパーを使用するのもいいけれど、新聞紙やキッチンスクレーパーなどを利用するとよりエコ。

洗い物は順番にもコツがある。比較的汚れが軽いものから洗うことで洗剤をつぎ足す回数が減る。汚れがひどいものから洗うと、油汚れがほかの食器にうつったり、スポンジを何度も洗ったりするなど洗剤も水も使用量が増えてしまう。

スポンジに汚れがついたままだったり不衛生なままだと、食器の汚れを落とすどころかかえって逆効果に。洗い物が終わったら、スポンジの汚れをしっかり落として清潔に保つようにしよう。

毎日使う調理器具は汚れが蓄積する。使うたびにスプレータイプの消毒液や除菌アイテムで、都度汚れを落としておくことで、洗い物の負担も軽減。
汚れを落とすコツ:掃除編

窓ガラスは定期的なスプレー掃除でクリアをキープ年末の大掃除など、窓ガラスの掃除は「年に1度」や「数か月に1度」という人は少なくない。しかし、汚れをためてしまうとそのぶん落とすのに余分な洗剤や水などを使うことに。窓ガラスの汚れの主な原因は「皮脂」「ほこり・砂」「水滴」なので、それらを定期的に拭き取っておこう。水拭きでは落ちにくいのでスプレータイプの洗剤を使うと◎。

庫内でジュースや牛乳をこぼしたり、保存容器から汁が漏れてしまったり、肉や魚のドリップがついてしまったりということは多々ある。雑菌の繁殖やにおいの原因にもなるので、定期的に消毒液などを使用して拭き取りを。その際には食品にかけても安全なアルコールスプレーなどを活用して。

テーブルの上や床、窓などを拭くときに意識したいのが「S字」と「一方向」。まず、S字で拭くことで拭き残しがなくなる。また、上から下、奥から手前など一方向で行うと汚れが広がらない。さらに食器洗いと同じで、汚れの少ない比較的きれいな場所から拭き掃除をすることで、使用する用具への負担が減らせるため、用具を洗う回数が減り、節水や時短につながる。なお、微生物や菌はほこりに付着するので、まずはほこりを取り除くことから始めて。
汚れを落とすコツ:洗濯・靴編

衣類も洗濯機に入れる前に「予洗い」しておこう。ぬるま湯につけるだけでも効果はあるが、洗濯用洗剤を少量入れておくとより効果アップ。いまの季節、汗で汚れた衣類は時間が経てば経つほど雑菌が増え、汗染みにもなりやすい。洗濯機に入れっぱなしだと洗濯槽の菌も増えてしまうので、洗いおけなどを活用してつけおきしておこう。


洗濯物は「たまってから洗う」のではなく「毎日洗う」のが基本。ためてしまうと、雑菌が繁殖したり、汚れが沈着して落ちにくくなってしまう。毎日洗う場合も、脱いだ衣類は洗濯機の中ではなく、風通しのいいかごなどに入れておくといい。

靴下の泥汚れ、襟や手首の汗染み、ソースやケチャップなどのしみは、洗濯機に入れる前に手洗いしておく。軽く水で叩いて落とすだけでも◎。

洗剤が使えるなら、洗剤でもみ洗いしておくと、洗い上がりが格段に違う。

衣類や靴の泥汚れは予洗いも大切だが、その前にまずは乾かそう。乾かすことで、繊維の中の土を出すことができる。洗剤は油汚れに効果を発揮するので、泥などの汚れはできるだけ取り除いておくことが大切。
ヤシノミ洗剤を製造するサラヤ工場に現地ルポ
2020年に開設した関東工場では、消毒液から洗濯用洗剤『アラウ.』、『ヤシノミ洗剤』、植物由来甘味料『ラカントS』まで取扱商品すべての製造を行う。工場開設からほどなく、新型コロナウイルスが流行し、サラヤ株式会社は政府からの要請を受け24時間フル稼働で消毒液の製造、出荷を行った。

「全国的に消毒液が不足していましたから、やるしかないと3交代制で増産体制をとり、工場一丸となって製造しました」(工場長・楠田和也さん)。東南アジアを中心とした海外からの技能実習生の力も借りて、コロナ禍を乗り越えた。「衛生・環境・健康」を軸にした商品が生まれる工場内に密着!

工場内施設の入り口に設置される手洗い場。そこにあるのも自社製品だ。

「手洗いは、石けん、水、消毒液がそれぞれ自動で出てきます。全国の病院や飲食店、給食センターなどで幅広く導入されています」(総務部長・山田隆雄さん)。

うがい専用の機械も。「自動で希釈されたうがい薬がペダルを踏むだけで出てきてコップいらずでうがいができます。うがいのあとは水で口をすすげるように、別のノズルからは水も出てくるんです」(山田さん)。


サラヤと地域連携
サラヤの関東唯一の工場が置かれるのが茨城県北茨城市。茨城県の最北端に位置し、今年の夏は“関東一涼しい街”として注目された。太平洋を望み、冷たい海水が雄大な山にぶつかって循環することで“天然クーラー”となり、豊かな自然を楽しめる。
「ヤシノミ洗剤」は北茨城市が誇る返礼品
サラヤの工場は市内の工業団地に誘致された。茨城県北茨城市長の豊田稔さんが話す。
「企業誘致のはじまりは、昭和40年代頃まで遡ります。石炭産業からの転換をはかった事業で、現在は市内の6つの工業団地に、80以上の企業が立地しています」(豊田さん・以下同)

サラヤの商品をふるさと納税の返礼品にと考えたのは、工場が創業してすぐのタイミングだった。
「環境保全に対する理念に強く共感したのがいちばんの理由です。昨今のふるさと納税では、日用品が好まれる傾向にあると聞いています。『ヤシノミ洗剤』や『アラウ.』は環境にやさしいだけでなく、手肌にもやさしいことから多くのかたにリピートいただいていて、『手湿疹や肌荒れがなくなった』『大容量の詰め替え用があるので使い勝手がよく、ゴミも減った』『無香料なので、気持ちよく使える』といったお声を頂戴しています」

海と山に囲まれた北茨城市には、徳川将軍家にも奉納したとされる「常磐もの」のあんこうや、大津港で水揚げされたしらす、銘柄牛である常陸牛のサーロインなど海の幸や山の幸がたっぷり。
「北茨城市のいちばんの魅力は、何より住まう人々です。歴史ある祭りや、災害や非常事態など有事の際には一致団結する絆とパワーがある。農耕と畜産を連動させた耕畜連携にも力を入れており、これからの季節は新米もおすすめですよ」
画期的な「衛生商品」がズラリ!北茨城市自慢のふるさと納税返礼品

寄付額23000円の『ヤシノミ洗剤 ポンプタイプ』(500ml×15本)。

寄付額14000円の『ヤシノミ洗剤 詰め替え用』(1000ml×8本)。リピーター多数!ボトルデザインもおしゃれ。赤ちゃんでも使える無添加せっけん。

寄付額24000円の『アラウ.洗たく用せっけん』(1.2L×8本)。

寄付額15000円の茨城あんこう鍋セット(4人前)。ぷりぷりの身とコラーゲン豊富な皮が、あん肝とみそを溶いた濃厚スープに絡んで美味。

寄付額10000円の大津港水揚げの釜揚げしらす 1kg(500g×2箱)。水揚げされた生しらすを天然塩で釜揚げ。
撮影/玉井幹郎、浅野剛 取材/小山内麗香、井上明日香
※女性セブン2024年9月19日号